道議会質疑 一般質問(4年9月22日)
(道議会 2023-01-20付)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】

【質問者】

▼植村真美議員(自民党・道民会議)

▼田中英樹議員(公明党)

▼檜垣尚子議員(自民党・道民会議)

▼山根理広議員(民主・道民連合)

【答弁者】

▼鈴木直道知事

▼藤原俊之総務部長兼北方領土対策本部長

▼森隆司環境生活部長

▼倉本博史教育長

◆部活動の地域移行

Q植村議員 4年6月に運動部活動の地域移行に関する検討会議の提言が示された。

 小さなまちでは、地域に指導できる人材がいないので、地域移行を進めたいと考えても難しい状態である。また、指導できる人材がいたとしても、ボランティアとしての関わりでは長続きしない。指導に対する適切な対価が支払われることで、持続可能なスポーツ環境につながるものと考える。

 こうした状況をどのように受け止めるのか、また、道として人材バンクを設置するなどの対応が必要だ。教育長の所見を伺う。

A倉本教育長 部活動の地域移行について。部活動は、生徒の自己肯定感を高めるなど、大きな役割を担っているが、少子化に伴い、部活動数が減少している現状などから、全道各地域において持続可能なスポーツ環境を整えることが大変重要であると認識している。

 そのためには、十分な指導者の確保や、適切な対価の支払いなどが課題と考えている。

 道教委としては、指導者の確保に向けて、協力いただける地域の方々や希望する教員の人材バンクを整備するとともに、先進地域における取組事例を取りまとめるほか、指導者の対価の在り方についても、国の動向を十分に見極め、中学校長会や中学校体育連盟、市町村教委、PTA連合会、スポーツ協会などの代表者で構成する部活動関係者会議で意見を伺うなどしながら、必要な対策の検討を進め、地域移行に向けた推進計画を策定していく。

◆スポーツ・文化振興

Q田中議員 道においては、文化振興条例および文化振興指針に基づき、各種施策を展開しているが、社会情勢の変化や関係法令の改正などに対応するため、文化振興指針の改正を行うこととしているものと承知している。

 ポストコロナを見据え、道民が心豊かに暮らせる社会を形成し、地域社会を活性化させるため、文化芸術の振興にさらに取り組んでいく必要があると考えるが、どのような考えに基づき、文化振興指針を改正するのか。

A鈴木知事 文化振興指針について。道では、社会経済情勢の変化や関連法令の改正などを踏まえ、文化振興指針を改正することとし、現在、文化審議会の意見を伺うとともに、本年度で終期を迎える国の文化芸術推進基本計画の改定作業の動向も見極めつつ、検討を進めている。

 文化芸術は、人々の創造性を育み、その表現力を高めるとともに、われわれの暮らしに潤いと豊かさをもたらし、あすへの希望と活力を与えてくれる、かけがえのないものであり、コロナ禍のような困難に直面したときこそ、その果たす役割は大きいものと認識している。

 道としては、子どもたちが文化に触れる機会の充実や地域文化の継承、歴史・文化資源の観光への活用などを通じて、道民が文化の恵みを享受し、心豊かで活力ある社会が構築されるよう取り組んでいく。

Q田中議員 世界の大舞台で活躍するアスリートの育成には、選手個々の過酷なトレーニングの積み重ねはもちろん、各国のトップアスリートと競い合うためには、最先端の科学的トレーニングやサポートなどを受けられる環境が必要不可欠である。

 現在、科学的なサポート体制を備えた環境としては、夏の競技については、東京都にナショナルトレーニングセンターが設置されているが、冬の競技については、国内に総合的な施設が設置されていない。

 北海道は、地域の特性から、冬季競技のトレーニングを行うのに適した地域である。東京や北京のオリパラ開催によってスポーツへの関心が高まる今こそ、世界に羽ばたくトップアスリートを育てる環境づくりのため、北海道に拠点施設を誘致し、北海道から冬季スポーツのさらなる振興を図っていくべきと考える。所見を伺う。

A森環境生活部長 選手の育成について。北海道は、夏は冷涼な気候、冬は良質な雪といった豊かな自然環境を有し、これまで、オリンピックをはじめとする冬季競技大会で活躍する多くの選手を輩出してきており、道では、こうした本道の特性を生かし、競技力向上のため、将来有望な選手の発掘、育成や、指導者養成などの取組を行っている。

 現在、夏季競技のトップアスリートがトレーニングを行う中核拠点は東京に設置されているが、冬季競技についてはこうした施設がないことから、道としては、こうした本道の優位性を生かし、引き続き、関係団体と緊密に連携しながら、冬季スポーツの競技力向上のための拠点施設の道内整備を国へ働きかけていく。

Q田中議員 知事を会長とする本道スポーツの振興に向けた新たな官民連携組織である、北海道スポーツみらい会議が設立された。

 今後、この組織を通じてどのように本道スポーツの振興を図っていくのか、知事の決意を含めて伺う。

A鈴木知事 今後のスポーツ振興について。4年3月に制定された北海道スポーツ推進条例では、全ての道民のスポーツを通じた健康で豊かな生活の形成や、魅力ある人づくり、地域づくりを推進し、将来にわたる持続可能な社会の実現を目指している。

 道では、こうした条例の理念の実現に向けて、4年7月、道内の179市町村をはじめ、教育機関やスポーツ団体、プロスポーツチーム、経済界など、幅広い立場にある方々によるオール北海道の官民連携組織として、北海道スポーツみらい会議を設立した。

 私としては、この会議に参加する方々と連携しながら、道民と、北海道スポーツみらい憲章でうたっている、スポーツをする喜びや見る感動、応援する楽しさや支えることによる一体感を共有し、長期的な視点を持って、本道スポーツの一層の振興に取り組んでいく。

◆私立学校の耐震化

Q檜垣議員 道は現在、3期目となる北海道耐震改修促進計画を3年4月に策定した。道内の私立学校についても、本計画等を踏まえ、耐震化に取り組む必要がある。

 また、本計画では、道の役割として、住民の安全・安心を確保することは道の責務であるとし、耐震診断、耐震改修への支援や環境整備等に努めるとされている。

 道は、私立学校の耐震化に向けて、これまでどのような取組を行ってきたのか、耐震化の現状をどのように認識しているのか伺う。

A藤原総務部長兼北方領土対策本部長 私立学校の耐震化に関する取組について。道ではこれまで、国の事業も活用しながら、耐震診断や耐震補強に対する補助制度を設け、各学校に対し、様々な場面を通じ、その積極的な活用を働きかけるなど、私立学校の耐震化を促進してきた。

 また、本年度は耐震化が完了していない各学校に対し、道独自の調査、ヒアリングを実施し、建物の状態や利用状況のほか、耐震化の検討状況などの実態把握に取り組んできた。

 一方で、国が公表した3年4月現在の道内の私立学校の耐震化率は86・4%となっており、前年より1・9%増となっているものの、全国平均の93・2%を下回る状況にあるなど、私立学校の耐震化は喫緊の課題であると認識している。

Q檜垣議員 児童生徒等の安全・安心な学習環境を確保するためには、できるだけ早急に耐震化を進める必要がある。

 道の計画では、耐震化の目標を定めており、現計画においては、多数利用建築物、耐震診断義務付け対象建築物については、7年度までに耐震性の不十分な建築物を概ね解消することを目標としている。これにはもちろん、私立学校も含まれている。

 道は、私立学校の耐震化を促進するため、今後どのように進めようとしているのか伺う。

A藤原総務部長兼北方領土対策本部長 今後の取組について。私立学校の耐震化は、設置者である学校法人が自らの判断によって行うものであるが、学校施設は、公立、私立にかかわらず、児童生徒が一日のうち多くの時間を過ごす場であるとともに、災害時には地域住民の避難所としての役割も果たすことから、北海道耐震改修促進計画に基づき、耐震化を着実に進めていくことが重要であると認識している。

 このため、道としては、引き続き、各学校法人に対し、道の補助制度や私学団体による融資制度の活用を促すほか、国に対し、一層の財政支援の充実について要望を行うとともに、各学校の実態を踏まえ、他都府県の取組も参考にしながら、効果的な取組の検討を進めるなど、子どもたちが安心して学べる環境の確保に努めていく。

◆専門学校の職業実践課程

Q檜垣議員 専門学校における職業実践専門課程は、企業等と連携し、より実践的な職業教育を行う学科を文部科学大臣が認定し、その取組を推進する制度である。本制度の取組を一層推進するため、4年度から都道府県が補助を行った場合、特別交付税措置が講じられることとなった。

 職業実践専門課程の一層の推進を図るため、速やかに支援措置を設けるなど、道として対応すべきと考えるが、見解を伺う。

A鈴木知事 職業実践専門課程の推進に関し、専修学校への支援について。専修学校における職業実践専門課程では、企業等と連携し、より実践的な職業教育を通じて、本道の未来を担う優れた専門的職業人材の輩出に大きく貢献していると認識している。

 こうした中、本年度から、専門課程の認定校に係る都道府県補助に対し、特別交付税措置が講じられることとなり、道では各学校に対する調査や現地視察を行い、学校の運営実態の把握に努めるとともに、他都府県の状況も参考にしながら対応を検討してきた。

 道においては、これまでも、管理運営費や教員研修の取組に対する補助金などによって支援を行ってきたところだが、職業実践専門課程の取組を一層推進するため、このたびの国の財政措置や学校の運営実態、道議会での御議論なども踏まえ、管理運営費補助金に新たな加算措置を設け、支援をすることとした。

 道としては、今後とも、本道の未来を支える多様な人材の育成が図られるよう、限られた財源を効率的かつ効果的に活用し、私学助成の充実に努めていく。

◆送迎バスの安全確保

Q檜垣議員 静岡県牧之原市の認定こども園で、園児がバスに取り残されて亡くなるという大変痛ましい事故が起きた。3年7月にも、福岡県中間市において、同様の事故が起きている。

 二度とこのような悲劇が繰り返されることがないよう、再発防止に取り組む必要がある。再発防止に当たっては、あらためて、子どもたちの送迎バスの安全管理を徹底することはもとより、例えば、教員に対する研修で取り上げることや、先進的な取組を行っている園の事例を横展開するなども考えられる。

 私立幼稚園などの子どもたちの送迎バスの安全確保に向けて、道はどのように取り組んでいく考えなのか、所見を伺う。

A鈴木知事 送迎バスの安全確保について。このたび、園児が送迎バスに置き去りとなり、亡くなるという大変痛ましい事案が発生をしたことは大変残念であり、亡くなった園児や、家族の方々にお悔やみ申し上げる。

 国においては、本事案の発生後、バス送迎に当たっての安全管理に関する通知を発出し、道ではこの通知を受け、道内全ての認定こども園、幼稚園、保育所などに対し、バスの乗降時の人数確認や職員間での情報共有などの徹底について周知するとともに、安全確認のためのチェックシートを配布したほか、送迎バスの状況について、4年9月末までに緊急点検を行い、実地調査についても年内をめどに実施することとしている。

 道としては、このような事案が二度と起こらないよう、国の動向なども注視しながら、再発防止に向け、安全管理マニュアルの整備や事故防止に係る研修、優良事例の横展開といった必要な対策の検討を行い、送迎バスの安全管理の徹底を図っていく。

A倉本教育長 送迎バス等の安全確保について。子どもたちが安心して幼稚園や学校での生活を送るためには、登下校や教育活動でのバス利用における安全確保の徹底が重要である。

 道教委は、このたびの事案の重大性に鑑み、こうした事故が再び起こることがないよう、乗車時および降車時での人数確認はもとより、出欠状況の担当者間での共有など、あらためて安全管理の徹底について緊急に通知をし、危機感を持って、市町村教委と連携し、対応している。

 今後、道教委としては、各管内で実施している学校安全推進会議等を通じて、市町村教委と連携を図りながら、バス利用での安全確保や危機管理対策について、その運行状況や乗車児童生徒の確認など、道内や他県の優れた事例も活用しながら教職員等の研修において周知徹底するなど、子どもたちの安全確保に万全を期していく。

◆ひきこもり等適切な支援策

Q檜垣議員 滋賀県では、3年4月から、ひきこもりや発達支援上の特別な支援を必要とする児童生徒が切れ目のない支援を受けられるよう、市町、市町教委、県、県教委の4者で協定を締結し、県と市町、教育委員会と福祉部局の枠を越えて、支援を必要とする児童生徒の情報を共有する支援事業を推進している。

 この協定によって、不登校等にある児童生徒や、発達障がい等の背景から休みがちとなり、特別な支援を必要とする児童生徒、退学等が心配される児童生徒等を対象に、必要に応じ情報共有を行うなど、関係機関で連携した対応策の検討や支援を行っていると聞いている。

 私としても大変重要な取組と評価をしているところであり、道としても滋賀県のような体制を構築すべきと考える。知事および教育長の見解を伺う。

A鈴木知事 ひきこもりの方々への支援について。ひきこもりに至った背景や求められている支援も様々であることから、一人ひとりの状況を十分に把握し、適切な支援につなげていくことが重要と考えている。

 このため、道では、北海道ひきこもり成年相談センターにおいて、児童生徒も含めたきめ細かな相談対応に努めており、専門的観点から対応することが必要な方については、学校、市町村や保健所などが参画しているセンターのひきこもり支援者連絡会議において、その方の状況や課題を共有した上で、適切な支援につなげる体制を構築しているところ。

 一方、各学校では、特別な支援を必要とする不登校などの児童生徒に個別の支援計画を策定しており、今後は、こうした情報を道教委とひきこもり成年相談センターで共有することを検討するなどして、ひきこもり状態となることが心配される児童生徒に寄り添った支援に努めていく。

A倉本教育長 ひきこもり状態等にある子どもへの支援などについて。ひきこもり状態にあるなど、不登校となっている子どもへの支援は、学校に登校するという結果のみを目標にせず、子どもが社会的に自立することを目指す必要があり、学校は、家庭はもとより、福祉や医療などの関係機関と連携して対応することが重要である。

 道教委としては、現在、子どもの実情に応じてスクールソーシャルワーカーを学校に派遣し、学校、児童相談所、医療機関等の関係者が参画するケース会議などにおいて情報を共有し、必要な支援を進められる体制が整備されるよう取り組んでいる。

 今後も、国の動向を注視しつつ、他県の事例も参考にしながら、ひきこもり状態をはじめとする不登校の子どもへの支援について、道関係部局が市町村教委と連携した支援体制の一層の充実に努めていく。

Q檜垣議員 少子化の進行によって、子どもたちが減少する中で、特別支援学校をはじめ、特別支援学級や通級による指導を受ける児童生徒は年々増加傾向にあるが、その状況は様々で、一人ひとりのニーズに応じたきめ細かな支援が求められる。

 道教委では、平成30年に策定した特別支援教育に関する基本方針に基づき、各種の施策を推進しているが、この間、国においては、高校への通級指導の制度化、国の専門会議から、今後の特別支援教育の方向性や教員養成の在り方に関する報告が出されるなどの取組が進められてきた。

 先日、国連の障害者権利委員会から、日本政府に対して、障害者権利条約に係る取組について勧告がなされたとの報道もあった。

 こうした状況を踏まえ、小・中学校、高校等の全ての教職員の専門性の向上が求められると考える。道教委はどのように取り組んでいく考えなのか伺う。

A倉本教育長 教職員の専門性の向上について。特別支援教育における個別最適な学びと協働的な学びに関する知見や経験は、児童生徒等の障がいの有無にかかわらず、教育全体の質の向上に寄与するものであり、全ての教職員に対し、特別支援教育への理解促進を図るとともに、専門性の向上に努めることが必要であると認識している。

 このため、道教委では、今後、全ての教職員が子どもたち一人ひとりの教育的ニーズに応じた指導を行うことができるよう、校内の通常の学級と特別支援学級等との相互の授業研究や事例研究を一層充実させるとともに、特別支援教育の知見や経験を蓄積するため、北海道における教員育成指標ならびに研修内容等の見直しを図るなど、組織的かつ効果的な専門性向上のための新たな方策の検討に着手していく。

Q檜垣議員 特別支援教育に関する専門性の向上を図る上では、重度・重複障がいのある子どもたちに対する支援の充実も不可欠であると考えている。

 特に医療的ケア児への支援については、3年9月に施行された「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」の趣旨を踏まえた、医療的ケアに関する体制整備に重点を置いた取組が必要と考える。

 保護者は、わが子のことを思い、どんなささいなことにも一生懸命になり、頑張り過ぎてしまうことも多く、精神的な負担に追われる日々と思う。

 このため、各学校における校内体制の整備はもとより、通学時の送迎に係る保護者の負担軽減や高度な医療的ケアを必要とする児童生徒の学校生活への付き添い等に係る保護者の負担軽減、看護師配置の拡充などの取組が重要と考える。道教委はどのように取り組んでいくのか見解を伺う。

A倉本教育長 医療的ケア児の支援について。いわゆる医療的ケア児支援法は、学校の設置者に対し、保護者の付き添いがなくても適切な医療的ケアやその他の支援を受けられるようにするため、具体的な措置を講ずることなどについて定めている。

 こうした法の趣旨を踏まえ、道教委では、本年度設置した、学校における医療的ケアに関する検討会議での議論や、保護者など関係者の意見を踏まえながら、地域や学校の実情に応じた看護師配置や保護者の負担軽減を図るための通学支援等の新たな支援の在り方について検討を進め、医療的ケア児が安心して教育を受けることができるよう、教育機会の保障に努めていく。

◆部活動地域移行

Q山根議員 部活動の地域移行に関わって、休日の部活動から段階的に地域移行し、5年度から開始され、3年後の7年度末を目標時期としている。

 地域間格差が大きい本道において部活動の指導者をどのように確保していくのか、教職員の働き方改革を進める一つとして部活動の地域移行の議論が進んでくると、教職員以外に頼れるのは各自治体職員しかいないと話す首長もいる。

 地方の部活動指導者を具体的にどのように確保していくのか、所見を伺う。

A倉本教育長 部活動指導者の確保について。国の有識者会議の提言では、生徒にスポーツや文化芸術に親しむ機会を確保するためには十分な指導者の確保が課題とされており、求められる対応として、部活動指導員や競技経験がある保護者の活用、希望する教員の兼職兼業による活用、適切な指導者がいない地域ではICTを活用した遠隔指導などが挙げられている。

 道教委としては、道内の各地域において指導者を確保していくことが重要と考えており、今後、協力いただける地域の方々や希望する教員の人材バンクの整備、先進地域における取組事例の取りまとめを行うとともに、関係者の意見を伺うなどしながら、必要な対策を検討していく。

P山根議員 休日の部活動指導を希望する教員の兼職、兼業を求めるのであれば、大きな問題となってきている教職員の長時間勤務との兼ね合いをいかに整理していくのか、早急に考えなければならない。

 また、休日の部活動指導を希望しない教職員に対する考え方の整理も必要となる。

 早急に整理する必要があることを強く指摘する。

Q山根議員 部活動の意義として、スポーツ、文化芸術に親しむ機会の確保、自主的な活動を通じた自己肯定感を向上、参加生徒の状況把握や問題行動の抑制が掲げられているが、参加生徒の状況把握や問題行動の抑制はいかがなものなのか。

 スポーツ庁や文化庁の提言に、参加生徒の現状把握や問題行動の抑制が記載されているが、これを北海道の部活動の意義として入れていくのか、所見を伺う。

A倉本教育長 部活動の意義について。道教委としては、部活動は生徒一人ひとりの人間性のかん養に資するものであると考えている。

 今後、中学校長会や中学校体育連盟、市町村教委、PTA連合会、スポーツ協会などの代表者で構成する部活動関係者会議から意見をいただくとともに、道民を対象としたパブリックコメントを行いながら、部活動の推進計画を策定していく。

Q山根議員 道教委は、部活動の意義として、問題行動の抑制を求めるのか。求めるのか求めないのか、端的に答弁を求める。

 併せて、そう考える理由についても伺う。

A倉本教育長 学習指導要領では、部活動について、学習意欲の向上や責任感、連帯感のかん養等に資するものとされていることなどから、道教委としては、部活動は問題行動の抑制を目的とするものではなく、生徒一人ひとりの人間性のかん養に資するものであると考えている。

Q山根議員 過日実施された北海道高校運動部活動指導者研修会の中で、室伏広治スポーツ庁長官は、日本の子どものスポーツ環境について、早期に競技を絞り込まれていくため、他の競技を経験できないなど多くの課題がある、複数の競技を楽しめるレクリエーションなどの環境整備が必要などの重要性を強調している。

 現在ある学校部活動の指導者を地域に移行するだけの形では、部活動の持続可能性は非常に厳しいと言わざるを得ない。

 今ある部活動を、子どもたちが継続的にスポーツや文化芸術に親しむ機会を確保できる社会体育へ移行させることが必要であると考える。所見を伺う。

A倉本教育長 部活動の地域移行について。国の調査では、運動部や地域のスポーツクラブに所属していない生徒であっても、男子生徒の約8割、女子生徒の約9割が、自分のペースで行えたり、興味のある運動やスポーツを行えたりするなどの状況があれば運動部活動に参加したいと考えていることが明らかとなっている。生徒のスポーツの機会を確保する際には、体力や技量が高い競技志向の生徒もいる一方で、スポーツを楽しむことを重視するレクリエーション志向の生徒や運動が苦手な生徒、障がいのある生徒などがいることを踏まえ、生徒の志向や状況に応じた対応が必要であると考えている。

 こうしたことから、道教委としては、部活動の地域移行に当たって、異なる学校種や様々な世代の方々との交流、自主的、自発的な活動など、様々な取組が重要であると考えており、地域の様々な人々が参加して活動するスポーツの場づくりも含め、複数の選択肢を示しながら、今後、多くの方々の意見を伺い、生徒の志向や地域の実情に応じた取組の在り方を取りまとめていく。

Q山根議員 問題行動の抑制のために部活動を利用する風潮があったことは否定しない。

 しかし、このことが大きな弊害を生み出していた部分がないのか。子どもたちが問題行動を起こさないために、毎日のように部活動を実施し、学校に拘束してきた事実はなかったのか。部活動は自主的・自発的参加と言いながら、全員加入という強制や強要はなかったのか。

 推進計画の骨子に、参加生徒の現状把握や問題行動の抑制は入れるべきではないと考えるが、所見を伺う。

A倉本教育長 推進計画の策定について。部活動は、スポーツ、文化芸術に親しむ機会を確保するほか、生徒の自主的な活動を通じて自己肯定感を高めるなど、有意義な教育活動であり、地域移行を進めるに当たっては、こうした考え方を、指導に当たる方々はもとより、広く地域の皆さんと共有しながら、より良い環境の中で行われることが重要である。

 道教委としては、こうした地域移行を含めた部活動の在り方を部活動関係者会議等においてあらためて確認し合い、地域移行のために必要な方策などを取りまとめ、広く道民から意見をいただきながら、推進計画を策定していく。

Q山根議員 土日の部活動の遠隔指導について、具体的にどのような取組を考えているのか、所見を伺う。

A倉本教育長 ICTを活用した遠隔指導について。例えば、部活動の様子を撮影した動画を大学などの外部の指導者に送信し、休日においても具体的な技術指導を生徒一人ひとりが受け、主体的にスキルアップを図ることによって、競技経験がない教員の負担軽減につなげるなどの取組が考えられることから、今後、こうした全国の事例を取りまとめ、市町村に情報発信していく。

P山根議員 ICTを活用した休日部活動の指導について、外部指導者の遠隔指導によって、競技経験がない教員の負担軽減につながる仕組みが考えられるとの答弁だった。

 しかし、これは、教員の休日部活動における兼職、兼業が前提となっており、教職員の長時間勤務が解消されるものではない。

 休日の部活動を地域に移行する意義を今一度考え、今後の早急な対応の必要性を強く指摘する。

(道議会 2023-01-20付)

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