道議会質疑 予算特別委員会(4年10月4日)
(道議会 2023-01-26付)

【Q 質問Question A 答弁Answer P 指摘Point out O 意見Opinion D 要望Demand】

【質問者】

▼林祐作委員(自民党・道民会議)

【答弁者】

▼倉本博史教育長

▼唐川智幸学校教育監

▼山本純史総務政策局長兼幼児教育推進局長

▼山上和弘生涯学習推進局長

▼堀本厚学校教育局長兼ICT教育推進局長

▼荒川裕美教育政策課長

▼桑原知己社会教育課長

▼田口範人幼児教育推進センター長

▼山城宏一高校教育課長

▼岡内誠道立学校配置・制度担当課長

◆道教育推進計画

Q林委員 道教育推進計画をはじめ、個別の施策である方針等の素案が、先日の委員会に報告された。

 主な改正点について、計画では、施策項目の最初に、SDGs・ESDの推進を掲げるとともに、各項目の中で、関連するSDGsの目標を示している。また、ICTの活用についても各施策で触れられているが、ねらいについて伺う。

A荒川教育政策課長 改正のねらいについて。新たな教育計画の策定に当たっては、前年度、条例に基づき設置する道教育推進会議に諮問し、これまで議論を重ねてきており、その中で、委員から、近年の世界情勢や気候変動等の地球規模の課題を踏まえた、持続可能な社会の実現を目指す教育活動の重要性に関する意見があった。

 こうした意見を踏まえて、新計画では、SDGs・ESDの推進を新たな施策項目として設け、22の施策の冒頭に位置付けるとともに、全ての施策項目の中に、関連するSDGsの目標を示し、持続可能な社会づくりに関する幅広い意識の醸成を図ることとした。

 また、ICTについても、様々な分野で活用が拡大する中、教育においても、個別最適な学びや協働的な学びの実現のため、さらなる活用が必要という趣旨の意見があり、各施策項目におけるICTの効果的な活用方法を明記し、取組を一層進めることとした。

Q林委員 指標および目標値の考え方について、計画の指標は、施策の進捗状況を客観的かつ的確に把握できるものとすることが必要だ。現在の指標についてどのように評価しているのか伺う。

 また、素案では、今後の指標については、いずれも例示とされており、具体的に示されていない。新たな指標やその目標値は、どのような考え方で設定する考えなのか、併せて伺う。

A荒川教育政策課長 指標などの考え方について。現行計画においては、進捗状況を把握するため指標を設定しているが、その中には、策定当時からの教育を取り巻く状況等の変化によって評価などが難しくなっているものもあり、課題であると認識している。

 新計画における指標の設定の基本的な考え方としては、進捗状況を着実に把握できるよう見直すほか、教育推進会議での議論において、個別的、具体的な取組ではなく、各施策項目が目指す方向性の進捗を図るものであること、目標指標はこれまでの実績の推移等の根拠に基づくべきであること、現状を踏まえつつ、一段高い目標を設定することで、現場の教育関係者の意欲、取組をけん引するものであることなどが重視されたことを踏まえるとともに、上位計画に当たる北海道総合計画の指標との整合性を図りながら、検討を進めている。

Q林委員 計画が実効性のあるものとなるよう、毎年度、教育推進会議において点検評価し、次年度以降の施策や取組の改善に反映させることとしている。

 これまで評価に基づき、どのように施策に取り組んできたのか、今後どのように点検評価結果を反映していこうとしているのか。

A山本総務政策局長兼幼児教育推進局長 計画の進捗管理について。現行計画に関し、毎年度実施する点検評価において、各項目の進捗状況を指標の達成度などから把握し、効果や課題を分析するPDCAサイクルによって各取組を検証してきており、これまでの結果では、計画どおりに進められている施策がある一方で、数年にわたって評価の度合いに進捗がみられないなど、課題が指摘される施策もあることから、教育推進会議委員からの点検評価に関する意見も踏まえながら、事業内容や施策の推進体制などの進め方を見直し、改善を図っている。

 今後もこうした検証を不断に行うとともに、点検評価については、庁内で改善策を検討する場を設け、取組に反映させることで実効性を高め、教育施策のさらなる充実に努めていく。

Q林委員 道および道教委では、ゼロ歳から小学校等就学前までの子どもの育成のため、平成30年11月に北海道幼児教育振興基本方針を策定するとともに、令和元年6月に幼児教育推進センターを設置し、公私の別や施設の種類を超えて、幼児教育施設の保育者に対する研修や、知識、経験の豊富な相談員の派遣事業を実施するなど、オール北海道で幼児教育の質の向上に向けた取組を実施している。

 また、国は、3年1月の中教審答申の中で、全ての子どもの健やかな育ちを守り支えていくために、幼児教育の内容、方法の改善充実や、人材の専門性の向上などの必要性が示されており、本道においても幼児教育のより一層の質の向上を図る必要があると考える。

 保育者の資質・能力の向上について、方針で示されている4つの施策の方向性の一つである、保育者の資質・能力の向上は、幼児教育のより一層の質の向上を図る上で重要である。

 これまでどのように取り組み、今後どのように取り組んでいくのか。

A田口幼児教育推進センター長 保育者の資質・能力向上について。質の高い幼児教育を提供するためには、研修の充実等による保育者のスキルアップが必要であることから、道教委では、幼児教育振興基本方針において、保育者の資質向上を基本的な方向性の一つとして位置付け、多忙な保育者の研修機会を確保するため、オンライン公開保育の実施や、園内研修用資料およびオンデマンド教材の作成、施設内における研修リーダーの育成などに取り組んできた。

 今後も、保育者が、こうした機会を活用しながら、キャリアステージに応じた多様な資質・能力を身に付けられるよう、園や保育者の様々な要望を参考としたオンデマンド教材の拡充や、保育者が子どもに接している場面を題材とした、写真を使った新たな園内研修用教材の作成など、幼児教育施設のニーズを踏まえた取組を一層推進し、全ての保育者の資質・能力の向上に努めていく。

Q林委員 幼児期の子ども一人ひとりの発達や特性を把握し、その後の教育活動に確実につなぐためにも、幼小連携・接続は極めて重要と考える。

 今後、具体的にどのように推進していくのか。

A田口幼児教育推進センター長 幼小連携・接続の取組について。道教委では、幼児教育と小学校教育の接続の円滑化モデル事業を実施するとともに、幼小連携・接続ハンドブックを配布して、市町村の福祉部局や教育委員会のほか、小学校や幼児教育施設での積極的な活用を図ることなどを通して、幼児期からの一貫した教育が推進されるよう努めている。

 今後は、新たな方針において、方向性の一つとして位置付ける、幼児教育の振興を支える体制づくりの推進に向け、本年度から、モデル地域における幼小接続の指導計画や教育課程の開発などの取組を通して、関係機関の連携強化を図り、その成果を道内各自治体に広く周知するなど、全ての地域において、幼小連携・接続の実践が推進されるよう取り組んでいく。

Q林委員 幼児教育の質の向上を図るため、幼児教育に関する知識、経験を有する外部人材を活用した助言が重要と考える。

 助言体制の整備に向け、幼児教育推進センターとして、今後どのように取り組むのか伺う。

A田口幼児教育推進センター長 外部人材の活用について。道教委では現在、幼児教育施設の現職の施設長や、保育に関する専門的知識を持つ大学教授等を、幼児教育相談員として、本年度、45人を委嘱し、各幼児教育施設に派遣している。

 相談員は教育課程の編成、実施の在り方や、特別な配慮が必要な幼児への対応、幼小連携・接続の推進など様々な課題に対し、園の実態を踏まえた助言を行っており、派遣先の園からは幼児一人ひとりに応じた保育のポイントが理解できた、客観的な視点によって幼児の育ちをあらためて捉え直すことができたなどの声が寄せられている。

 道教委では、各園の幼児教育相談員の活用がこれまで以上に進むよう、本年度、新たにリモートによる助言を可能とする制度へと見直しを図ったほか、相談員の派遣回数や派遣先の拡大にも取り組んでおり、今後もこうした取組を通じて、保育者の資質・能力向上につながるよう、外部人材のさらなる活用を図る。

Q林委員 国は新年度からこども家庭庁を新設し、一元的に子どもに係る施策を推進することとしている。本道においても、これまで以上に道と道教委が一体となって対応していくことが求められる。

 今後、どのように本道の幼児教育の振興に向け取り組んでいくのか伺う。

A山本総務政策局長兼幼児教育推進局長 今後の取組について。幼児教育を充実させていくため、行政などの関係機関が連携し、幼児教育施設における公私の別や施設種にかかわらず、情報の共有や地域事情に応じた取組を推進することが極めて重要であり、現在策定中の幼児教育振興基本方針においては、研修や助言体制などの各施策に関し、それぞれの機関に求められる役割を示している。

 今後、これまで以上に幼児教育関係団体や保育者養成大学等と緊密に連携するとともに、振興局、教育局および市町村首長部局と教育委員会などで構成する管内幼児教育振興ネットワーク会議を通じ、方針に掲げる幼児教育の充実に向けた基本的な方向性について関係者間で広く共有を図るなど、就学前の全ての子どもの育ちが確実に保障されるよう、道内各地域における幼児教育を推進する体制の一層の整備に取り組む。

◆読書活動推進計画

Q林委員 学校図書館図書標準および学校司書について、現在の図書標準の達成状況はどのようになっており、今後どのように取り組むのか伺う。

 また、学校図書の整備、活用に当たっては、学校司書の役割が大きいと考えるが、現在の学校司書の配置状況はどのようになっており、今後どのように配置促進に取り組んでいく考えなのか、併せて伺う。

A桑原社会教育課長 図書標準の達成状況などについて。2年度の国の調査では、学校図書館図書標準を達成している学校の割合は、小学校で全国平均71・2%に対し49・4%、中学校で全国平均61・1%に対し48・8%、特別支援学校で全国平均9・6%に対し8・1%であり、いずれも全国平均を下回っている状況にある。

 道教委では、図書標準達成率の高い市町村での図書整備に関する好事例を各教育局のホームページに掲載するとともに、各学校の組織的な体制のもとで、図書の選定、廃棄、更新が行われるよう市町村に働きかけるなど、児童生徒の学びの基盤である学校図書館の整備充実に取り組んでいく。

 また、学校司書を配置している学校の割合は、小学校で全国平均69・1%に対し24・8%、中学校で全国平均65・9%に対し33・9%、高校で全国平均66・4%に対し6・2%、特別支援学校で全国平均9・3%に対し3・9%で、いずれも全国平均を下回っている状況にある。

 道教委では、本年度から新たに学校図書館担当職員講習をオンラインで実施し、学校司書となる人材を養成するとともに、講習修了者が実践している取組の好事例を収集し、広く周知するなど、未配置の市町村や学校で、配置が促進されるよう取り組んでいく。

P林委員 小・中・高、特別支援、いずれにおいても、かなり水準を下回っている状況にあり、特に高校の平均においては、全国平均の10分の1以下になっているという状況である。これは、喫緊の課題と捉え、早急に対応を進めていただきたい。

Q林委員 学校教育の中で、情報を収集したり、多様な考え方を知る上で、新聞を利用したりする取組が重要と考える。現在の新聞の配備状況はどのようになっており、また、今後どのように活用していく考えなのか伺う。

A桑原社会教育課長 新聞の配備と活用について。2年度の国の調査では、学校図書館に新聞を配備している学校の割合は、小学校で全国平均56・9%に対し42・6%、中学校で全国平均56・8%に対し52・4%、高校で全国平均95・1%に対し91・6%、特別支援学校で全国平均21・2%に対し23・6%で、特別支援学校で全国平均を上回っているものの、小・中・高校では下回っている。

 学習指導要領においては、新聞の活用によって、全ての教科等の学習の基盤となる言語能力、情報活用能力、問題発見・解決能力等を育成することと示されていることから、実社会の課題について、多面的、多角的に考察し、公正な判断力を育成する観点による複数紙配備について、各学校に対し指導するとともに、新聞の効果的な活用に関する教職員を対象とした研修会を実施するなど、児童生徒が新聞を活用した学習に取り組み、得た情報により思考を深め、知識を広げることができる教育活動が充実するよう取り組んでいく。

Q林委員 過日の文教委員会では、今後の重点的取組の一つとして、学校図書のデータベース化や電子管理を活用した貸し出し、返却、電子図書の導入や、1人1台端末との連携の検討を挙げている。今後どのように取り組むのか伺う。

A桑原社会教育課長 学校図書におけるICT化について。現在、道内の学校では学校図書館において、図書と1人1台端末を活用した探究的な学習活動、公立図書館が所蔵する電子書籍の1人1台端末による読書活動、学校図書館と公立図書館の電子管理システムによる連携など、ICT環境において1人1台端末を活用した取組を行っている。

 主体的・対話的で深い学びによって、児童生徒の資質・能力を育成するためには、実情を踏まえながら、教科書等の教材、書籍、新聞、雑誌、インターネット等を効果的に組み合わせて活用する必要がある。道教委では、学校図書館と公立図書館の電子システムによる連携を促すほか、1人1台端末のもとで、電子書籍を活用した好事例を収集し、普及することなどを通して、学校図書館において積極的にICTの活用が図られるよう、各学校に対し指導していく。

Q林委員 学校にとどまらず、家庭や地域を含めた社会全体で読書活動を進めることが重要であると考える。

 今後、道教委としてどのように取り組んでいくのか、考えを伺う。

A山上生涯学習推進局長 家庭、地域、学校の連携について。道教委ではこれまで保護者をはじめ、図書館職員、ボランティア団体、教職員などを対象としたフォーラムを全管内で開催し、子どもの読書活動の推進に向けて、目標の共有を図るなど、地域の方々と連携しながら読書環境の整備に取り組んできた。

 子どもの読書習慣を定着させ、自主的な読書活動を促進するためには、家庭、地域、学校がそれぞれの役割を果たすとともに、関係機関やボランティア団体等と連携協力しながら、その機能の充実を図ることが重要であることから、次期計画の重点項目に、保護者やボランティア、公立図書館との連携による読書活動を設定し、例えば、各地域における様々な団体が公立図書館と連携して読書イベントを開催することや、道教委が、ボランティア団体による読み聞かせ会などの様々な活動を道内各地で広げることができるよう、ハンドブックを作成することなどを通して、家庭、地域、学校が連携して、子どもが読書に親しむきっかけづくりや、読書習慣の定着に向けた取組が図られるよう取り組んでいく。

Q林委員 国においても、次期子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画の策定が進められ、年度内にも示されると聞いている。

 道の計画策定に当たっても、必要な見直しや修正など、どのように反映していくのか伺う。

A山上生涯学習推進局長 国の計画について。現在、国が設置している有識者会議においては、発達段階や多様な特性に応じた読書習慣の形成、読書とICTの最適な組み合わせ、地方公共団体の推進体制の整備の3つが論点として議論されている。

 道教委では今後、国から示される具体的な内容や施策の情報が入り次第、推進方策や、重点的に取り組む項目、目標指標などについての見直しを検討するとともに、道社会教育委員や道民にも示し、幅広い観点から意見や提案を伺い、必要に応じて修正を加えるなど、社会全体で子どもの読書活動が積極的に推進されるよう、実効性のある計画を策定していく。

Q林委員 読書活動は、子どもが言葉を学び、感性を磨き、表現力や創造力を豊かなものにして、人生をより深く生きる力を身に付けていくためには欠かせない。

 道教委としては、今後、子どもの読書活動の推進に向け、どのように環境整備に取り組んでいくのか、考えを伺う。

A倉本教育長 計画の推進について。読書活動は、心を豊かにするとともに、将来の生き方に大きな影響を与える活動であることから、本道の全ての子どもが、読書習慣を身に付け、自らが積極的に読書活動を行うことができるよう、家庭、地域、学校が連携を深め、積極的にその環境を整備することが重要である。

 道教委では、子どもの読書環境を取り巻く状況が大きく変化していることを踏まえて、今後5ヵ年の重点的な取組として、新たに、障がいの有無にかかわらず、誰でも利用しやすい書籍や設備の整備、蔵書のデータベース化の導入や、電子書籍の導入の検討、読書環境の整備を担う学校司書の配置や運営体制の整備などを位置付けるとともに、取組の進捗状況を確認できる目標指標を設定して、本道の全ての子どもたちが、どこに住んでいても、豊かな感性や表現力、創造力を育成し、健やかな成長につながる読書活動の充実が図られるよう取り組んでいく。

◆新たな高校づくり指針

Q林委員 今後の高校教育の在り方に関する新たな指針の素案が、先の文教委員会に示されている。少子化が進行する中で、高校教育の機会を確保しながら、教育内容の一層の充実を図ることが求められる。

 今回の素案では、一定の通学圏域ごとに、高校の在り方を関係者が議論する仕組みを設けるとしている。仕組みの立ち上げや議論の進行に当たっては、道教委が積極的に支援していくことが必要と考えるが、どのように取り組んでいくのか伺う。

A唐川学校教育監 圏域ごとの協議について。圏域における協議の場は、これまで実施してきた学区ごとの地域別検討協議会や市町村との個別協議の場に加えて、新たに設けようとするものであり、協議に参画する市町村が、域内の現状や課題、それぞれの学校の機能や役割について認識を共有しながら、高校の在り方について協議していくことで、個々の学校の魅力化はもとより、圏域全体の高校教育の質の向上にもつながるものと考えている。

 道教委としては、今後、指針の改定についての検討と並行して、圏域の枠組みなどについて検討するとともに、改定指針の成案後は、関係する市町村の賛同も得ながら、優先度の高い圏域から、順次、協議の場を設けることができるよう進めていく考え。

 また、協議に当たっては、圏域の現状や課題について丁寧に説明するとともに、参画する市町村と課題意識を共有しながら議論を深めていくことができるよう、道教委としても、主体的に関わりながら協議を進めていく考え。

Q林委員 地域連携特例校については、一定の集中期間を設けて、学校の魅力づくりを進めるとしている。さらに、少子化が進むことが想定され、取組の成果が、結果として入学者数のみで判断されるのであれば、いずれは募集停止となる学校が増えることは明らかである。

 どのようにして効果の有無を判断するのか、あらかじめ明らかにしておくことが必要と考える。見解を伺う。

A堀本学校教育局長兼ICT教育推進局長 集中取組期間について。現行の指針においては、地域連携特例校等の再編に関わって、地域における高校の教育機能の維持向上に向けた具体的取組と入学者数の増加など、その効果を勘案した上で、再編整備を留保する特例的な取り扱いを行っており、所在市町村を中心に、一定の入学者数の確保に向けた様々な取組が進められているものの、多くの学校では、具体的な効果が得られず、留保期間が長期化する状況が続いている。

 道教委としては、改定版指針の策定に当たり、地域の教育機能の維持向上と、高校が地域で果たす役割等を踏まえ、再編整備の基準である1学年の在籍者数20人以上の確保に向けた、学校や地域の特色を生かした取組を集中的に行うための期間を新たに設け、期間中において、入学者数や地域の中卒者数の見通し、道外からの出願者数の傾向、地元進学率の状況などのほか、特色ある教育活動や、地域と密接に連携した取組、また、その効果を総合的に勘案しながら判断していく考え。

Q林委員 少子・高齢化が進行する中で、特に農林水産業をはじめ、本道の産業を担う人材を育てる職業学科の役割は、ますます重要になっていると考える。

 現在、北海道産業教育審議会では、今後の職業教育の充実に向けた在り方について審議が行われているが、その答申結果も踏まえ、どのように職業教育の充実を図り、地域を担う人材を確保するのか。指針にも反映する必要があると考えるが、見解を伺う。

A山城高校教育課長 職業教育の充実について。職業学科を設置するいわゆる職業高校においては、産業分野ごとに必要となる基礎的、基本的な知識や技術を習得させるとともに、企業や大学等の関係機関と連携を図りながら、時代の変化に対応できる実践的な資質・能力の育成に向けた教育活動が行われており、本道の地域産業を支える人材育成において重要な役割を果たしていると認識している。

 こうした中、現在、道産業教育審議会では、探究的な学びを通して地域創生に貢献できる人材の育成など、新時代に対応した資質・能力を育成する本道産業教育の在り方について審議が進められているところ。本道の産業を支える人材の育成に向けて、本審議会における審議経過はもとより、改定版指針の素案に対するパブリックコメントや、有識者から構成される北海道教育推進会議の専門部会での議論などを十分踏まえながら、指針案の検討に取り組んでいく。

Q林委員 少子化が進む中で、近年、都市部の公立高校においても欠員が目立っており、2次募集後に40人以上の欠員が生じて、学級減となる学校も多くみられる。

 生徒の進路選択幅の確保にも留意しながら、都市部の再編も検討する必要があると考える。どのように取り組んでいくのか伺う。

A岡内道立学校配置・制度担当課長 都市部における高校配置について。一定規模の生徒および教職員の集団を維持し、活力ある教育活動を展開していく観点から、複数の高校が所在する都市部などにおいては、再編によって学校規模を確保することも引き続き大切である。

 このため、都市部において高校の小規模化が見込まれる場合などは、市町村との意見交換や地域別検討協議会の場を通じて、現状や今後の見込み、再編の必要性などについて説明し、あらかじめ地域との共通認識を図るとともに、今後設けることとしている一定の圏域などでの協議の場において、多様な学習ニーズに応えることのできる学校の役割など、学校規模を含めた、望ましい配置の在り方などについて検討し、地域全体として教育環境の充実を図っていく考え。

Q林委員 素案では、私学について、生徒の進路選択幅を確保する観点からも配慮が必要であるとされている。

 これまでも、生徒の増減に応じて、協調しながら定数調整を進めてきたと思うが、特に中卒者数の減少によって、私学の経営そのものが危ぶまれる地域もあると伺っている。より一層の配慮が必要と考えるが、今後どのように取り組んでいくのか。

A岡内道立学校配置・制度担当課長 私立高校との関わりについて。私立高校は、独自の建学精神と教育理念に基づき、特色ある教育活動を展開しており、生徒の進路選択幅を確保する観点からも、公立高校の配置については、私立高校の配置状況を十分に考慮して検討する必要があると考えている。

 道教委としては、今後とも、私学が所在する学区では、中卒者数の増減に応じ、公立と私立の定員比率を勘案の上、公立高校において、必要な定員調整を行うとともに、公立、私立の高校関係者と知事部局および道教委で構成する道公私立高校協議会において、中卒者数の減少を踏まえた定員調整の在り方や、公私の役割分担などについて十分協議し、適切な高校配置となるよう努めていく。

Q林委員 今後、本道の地域創生につながる新たな指針の策定に向けて、どのように取り組んでいくのか伺う。

A倉本教育長 現在検討を進めている、これからの高校づくりに関する指針においては、Society5・0時代に向けた社会の劇的な変化や、地域創生の観点を踏まえながら、高校の小規模化が進む中で、これからの本道の高校に求められる役割や機能など、高校づくりに関する基本的な考えや具体的な施策について、道民に明確に示すことが重要であると考えている。

 今後は、素案に基づき、道議会はもとより、パブリックコメントや、各振興局管内で開催する意見を聞く会を通じて、広く道民から意見を伺うとともに、有識者会議や産業教育審議会における専門的な見地からの審議経過も踏まえながら、将来の本道を担う人材の育成と、地域創生の実現につながる魅力と活力のある高校づくりに資する指針の策定に取り組んでいく。

(道議会 2023-01-26付)

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