道議会質疑 一般質問(9月21日)(道議会 2022-12-19付)
【Q質問Question A答弁Answer P指摘Point out O意見Opinion D要望 Demand】
【質問者】
▼滝口直人議員(自民党・道民会議)
▼小泉真志議員(民主道民連合)
▼林祐作議員(自民党・道民会議)
▼松本将門議員(民主道民連合)
【答弁者】
▼鈴木直道知事
▼森隆司環境生活部長
▼鈴木一博保健福祉部少子高齢化対策監
▼倉本博史教育長
◆巨大地震対策
Q滝口議員 道は、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の被害に対する防災対策の必要性を道民に周知することや、道内の市町村が個別の地域における防災対策を立案し、施策の推進に活用するため、市町村ごとの具体的な被害を算定して、被害の規模等を明らかにした。
このたび公表された具体的な被害を盛り込んだ防災訓練を、道は、市町村と共に企画し、個々の市町村と連携し、実施することが、住民の避難意識を高めるものと考える。
道は、住民の避難意識を高めるために、防災訓練をはじめ、どのように取組をする考えなのか伺う。
A鈴木知事 日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震対策に関し、防災意識の向上について。日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震で想定されている最大クラスの津波から命を守るためには、道民一人ひとりが正しい知識に基づき、まずは迅速かつ的確な避難をしていただくことが何よりも重要である。
このため、道では、これまでも、市町村や道民の皆さまに対する研修、防災教育などを通じて、防災意識の醸成に努めてきた。去る8月には、巨大地震による新たな津波浸水想定や被害想定を踏まえ、太平洋沿岸地域の市町村や公的機関、民間企業の参画のもと、津波からの住民避難訓練などを内容とした本年度の北海道防災総合訓練を6振興局管内で実施したところ。
道としては、今後とも、国や市町村、防災関係機関と連携協力し、こうした実践的な防災訓練を積み重ねるとともに、地域の防災リーダーや専門家の方々の協力を得ながら、防災教育の充実強化を図るなどして、道民の防災意識の向上に取り組んでいく。
◆こども家庭庁
Q滝口議員 こども家庭庁は、組織の縦割りを解消し、子ども本位の政策を実現する司令塔として、少子化対策や子育て支援といった子ども政策を一元的に担い、厚生労働省と内閣府の関係部局を統合し、5年4月に発足する。
道をはじめ、市町村は、少子化対策を政策の最重要課題としているが、出生率は、この6年間下がり続け、昨年の出生数は81万人と、過去最低を記録した。
道は、こども家庭庁の設置をどのように認識し、今後どのように対応する考えなのか伺う。
A鈴木知事 今後の子ども政策について。昨年、国が示した子ども政策に関する新たな基本方針では、常に子どもの視点に立ち、子どもの最善の利益を第一に考え、その権利を保障しながら関連する政策を推進することとしており、司令塔役を担うこども家庭庁には、年齢や制度の壁を克服した切れ目のない支援を展開することが期待されているものと認識している。
道としては、基本方針やこども家庭庁の基本理念も踏まえながら、子どもや子育て当事者の参画とその視点に立った政策の企画立案、市町村をはじめ、民間企業やNPOなど、多様な主体との協働連携、福祉・教育部局間のさらなる連携強化を基本的な視点として、子どもや子育て家庭が抱える様々な課題に対処していくため、少子化対策や貧困対策など、関連計画の統合や児童福祉に関する審議会機能の強化など、業務の見直しや重点化を進め、関係団体の意見も伺いながら、子育て当事者や保育関係者の利便性を考慮した効率的な推進体制の在り方について、教育庁をはじめ、関係部で具体的な検討を進めていく。
Q滝口議員 こども家庭庁設置法においては、こども家庭庁の所掌事務として「地域におけるこどもの適切な遊びおよび生活の場の確保に関すること」と規定している。
子どもの居場所づくりの政策は、こども家庭庁の設置によって、地方公共団体、民間団体を含め、これまで以上に総合的な推進を図ることが必要になると考える。
道は、子どもの居場所づくりにどのように取り組む考えなのか伺う。
A鈴木保健福祉部少子高齢化対策監 子どもの居場所づくりの取組について。子どもたちが心身共に健やかに成長していく過程で、信頼できる大人との出会いや地域とのつながりを実感する場所として、学習支援、食事の提供、遊びを行う子どもの居場所は大変重要であると認識している。
道ではこれまで、子どもの居場所に関する運営費の助成や民間企業などから提供を受けた寄贈物資のあっせんのほか、新規開設に向けた手引書の作成、配布や相談対応、コーディネーターの派遣や研修の実施などによって、各地域における子どもの居場所づくりに取り組んできた。
道としては、今後とも、地域の様々な団体による取組を支援するとともに、未設置市町村に対し、支援制度の周知や積極的な活用を働きかけながら、子どもの居場所の設置を促し、各地域において子どもたちが安心して過ごすことのできる遊びや生活の場の確保に努め、誰もが健やかに成長できる環境づくりを推進していく。
◆いじめ問題
Q滝口議員 旭川市において発生した女子中学生へのいじめ重大事態について、旭川市教委が設置した第三者調査委員会から提出された最終調査報告書の内容が9月20日に公表された。
調査結果報告書では、学校および市教委の対応について、いじめに関する法やガイドライン等の基礎的な知識を欠いていた、市教委がいじめ問題への意識を抜本的に見直してこなかったと、厳しく指摘している。
旭川市教委から最終調査報告書の提出を受けた旭川市長は、再調査の意向を表明したところ。
道教委としては、このたびの旭川市の調査結果をどのように受け止め、今後、いじめ問題にどのように取り組んでいくのか、また、市長部局による再調査についてどのように受け止めているのか、教育長の見解を伺う。
A倉本教育長 いじめ問題への対応について。旭川市の事案の調査結果では、学校、市教委の関係法令に基づくいじめへの理解不足や、法令やガイドラインに基づいた対応を怠ったことなどが厳しく指摘された。
これまで、市町村教委と共に、いじめ防止に取り組んできた道教委としても、調査結果の中で指摘されたことを重く受け止めている。
道教委では、今後、調査結果を参考に、市町村教委との連携など、自らの対応の課題を整理し、いじめ問題審議会の意見を伺いながら、いじめ防止基本方針の改定に取り組み、全ての学校において、いじめに対する理解など、法令や基本方針を踏まえたいじめ問題への対応が徹底されるよう、指導力を発揮していく。
また、旭川市において、市長の付属機関による調査を実施することについては、市長が重大事態への対処や再発防止のため、調査が必要と判断したものと受け止めている。
道教委としては、旭川市において、いじめ問題への対応や適切な再発防止等が確実に進められるよう指導助言するとともに、今後の推移を踏まえながら丁寧な支援を行っていく。
◆子の権利保障
Q小泉議員 現在、道には、子どもの権利に関する規程として、北海道人権施策推進基本方針、北海道子どもの未来づくりのための少子化対策推進条例、第4期「北の大地☆子ども未来づくり北海道計画」があるものの、これらにおいては、子どもの権利条約や他自治体の条例のような子どもの権利を具体的かつ明確に示していない。所管する部局も明確ではない中で、来年4月にはこども基本法が施行されることから、北海道においても、子どもの権利条例といった規程を整備する必要があると考える。知事の所見を伺う。
A鈴木知事 子どもの権利に関する取組について。道では、児童の権利に関する条約の理念も踏まえながら、少子化対策推進条例や人権施策推進基本方針の中で、子どもの権利および利益を尊重していくことを掲げており、これまでも、権利ノートを活用した意見表明機会の確保や、北海道子どもの未来づくり審議会への部会の設置によって、子どもの意見を施策に反映させる取組を進めるとともに、人権啓発を推進するための指導者研修会や心の教育推進フォーラムを開催してきた。今後とも、子どもの権利に関する知識や理解を深めることが重要と認識している。
こども基本法の成立を踏まえ、国では、子ども政策の決定過程における意見反映プロセスの在り方について、国内外の事例収集や有識者による検討を始めた。道としては、こうした国の動向も注視しながら、子どもが年齢や発達段階に応じて自ら意見を述べる機会を確保し、その意見を尊重しながら政策決定に反映させる方策の検討を行うなど、全庁を挙げて子どもの権利や最善の利益が確保されるよう取り組んでいく。
◆障がい者への学習支援
Q林議員 国においては、平成29年に文部科学大臣による特別支援教育の生涯学習化に向けたメッセージを発出して以来、「障害者の多様な学習活動の充実」や「学びの場づくりの担い手の育成」「学びを推進するための基盤の整備」などを掲げ、本年度を最終年度とした「障害者の学びに関する当面の強化策」を推進している。
一方で、地域において障がい者の生涯学習を支える基盤は決して整備されているとは言えない状況であり、障がい者が、学校卒業後に、そのライフステージに応じて、自身の興味や関心、就労上で必要のある学びを選択して自己形成できる環境や支援の充実が課題となっている。
道教委では、障がい者の生涯学習について、どのように認識し、今後どのように推進していくのか伺う。
A倉本教育長 障がいのある方の生涯学習について。全ての人が、障がいの有無にかかわらず、相互に人格や個性を尊重しながら学ぶことのできる環境の整備や、社会全体の理解の促進を図ることは、重要である。
道教委では、令和2年度から、医療、福祉、教育などの関係者によるコンソーシアムを設置し、障がいのある方々が学習を進める上で必要な合理的配慮の在り方やニーズに合わせた学習内容等について協議し、全道交流会において具体的な取組を普及するとともに、障がい者の学びを支援する人材を養成するため、市町村教委の職員を対象とした研修会を実施している。
今後は、こうした取組を生かして、コンソーシアムの構成団体が連携した学習プログラムの開発や、障がいの有無にかかわらず、体験を共にするインクルーシブキャンプの実施など、多様な学びの場を提供するなどして、生涯を通じて学び合える学習環境の充実に取り組んでいく。
◆子の安全確保
Q林議員 犯罪予告への対応について、ことし5月から6月にかけて、道内を含む全国の複数の自治体に、小学生に危害を加えるなどの脅迫メールが届いたという報道があった。
実際に脅迫メールが届いた場合に、学校の対応についてどのように行っているのか、教育長に伺う。
A倉本教育長 学校に対する犯罪予告などへの対応について。道教委では、学校での様々な危機を想定し、学校と家庭、地域、警察が連携した危機管理の基本的指針を示した手引を作成し、各学校、市町村教委に周知している。
この手引では、警察との連携による校舎内外の不審物の点検や不審者の警戒に万全を期すことなど、犯罪予告や爆破予告があった際の対応、児童生徒の避難誘導や保護者への引き渡しなど、危機発生の可能性がある場合の対応などの事例を示している。
各学校においては、こうした手引を参考に、市町村教委と地元警察との緊密な連携によって、実情に即して適切に対応しているものと承知している。
Q林議員 ことし5月、長野県内の小学校に男が侵入し、児童に暴行を加え、けがをさせるなど、学校に不審者が侵入し、児童生徒に危害を加える事件は過去にも起こっている。
学校に不審者が侵入するといった不測の事態に備え、子どもたち自身が自らの身を守ることができる力を身に付けることが重要と考える。同時に、不審者の侵入を想定した訓練など、まだまだ重要な課題はある。
道教委は、児童生徒の安全確保に万全を期すため、どのような取組を進めていくのか伺う。
A倉本教育長 不審者侵入等への対応について。道教委では、学校安全の徹底を図るため、管内ごとに、道警と連携し、教職員を対象とした学校安全推進会議や、校内に不審者が侵入したことを想定した防犯講習や訓練を実施している。
また、各学校においては、日ごろから不審者の侵入が想定される校舎や校舎周辺の危険な個所の点検を実施するとともに、児童生徒を対象とした防犯教室や防犯訓練を実施するなどして、児童生徒の危険予測能力や危機回避能力の育成にも取り組んでいるところ。
道教委としては、今後も、各学校において、児童生徒の安全を確保するため、実効的な学校安全対策が徹底されるよう、日常的に市町村教委や警察等の関係機関などとの連携を強め、取組を徹底していく。
◆海洋ごみ問題
Q松本議員 海岸漂着物に係る取組状況では、発生抑制に関する道の取組として普及・啓発を進めている中、知事自らがポイ捨てされたプラスチックごみが、河川から海へ流れ出ることによって、地球規模での環境への影響が懸念され、本道の美しい海は、世界に誇る食や観光を生み出す貴重な財産であり、これらを守り、つぎの世代に引き継ぐためには、プラスチックごみ対策をより一層推進していくと述べ、職場をはじめ、家庭においても、できることから一つずつ行動を起こしていただきたいとのメッセージを発出していると承知している。今後、どのように海洋ごみ問題の啓発をさらに進めていくのか伺う。
A森環境生活部長 海洋ごみに関する普及・啓発について。道ではこれまで、海岸環境の保全に向け、ポイ捨て防止と海洋ごみに関するシンポジウムの開催や、パンフレットの作成、配布のほか、広くポスターや標語の募集を行い、道庁ロビーや地下歩行空間などで展示するなどして、道民へ普及啓発を行ってきた。
今後においても、子ども向けの海洋ごみに関する勉強会や、海洋ごみ対策に関するパネル展を実施するとともに、関係団体と連携し、プラスチックごみの海洋流出を防止するため、マイボトルの持ち歩きやペットボトルの回収、海や川の清掃を呼びかけるマイボトルエコアクションといった様々な取組を行うなど、海洋ごみの発生抑制に向け、効果的な啓発に取り組んでいく。
(道議会 2022-12-19付)
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