北教組 働き方改革シンポジウム 長時間労働是正は急務 給特法廃止、定数増へ講演など(関係団体 2023-02-28付)
過密化する教育課程の改善などを訴える油布教授
北教組(木下真一中央執行委員長)は23日、ホテルライフォート札幌で教職員の働き方改革シンポジウムを開催した。「STOP!定額はたらかせ放題」をテーマに、早稲田大学教育・総合科学学院の油布佐和子教授による基調講演や、現職教員が登壇したパネルディスカッションを通して、教職員の長時間労働是正に向けた給特法廃止や教職員定数増などへの意識をあらためて強くした。
今回、連合北海道と共催でシンポジウムを開催。参集、オンラインを合わせて250人が参加した。
油布教授は「教職員の働き方改革の現状と長時間労働是正に向け必要なこと」をテーマに基調講演した。
OECD加盟国を対象とした教員の勤務実態調査などを契機に、給特法改正など教職員の働き方改革がスタートしたが、連合総研や北教組の9月勤務実態調査などの結果から「教職員の労働時間はやや微減にとどまっており、長時間労働改善の取組はほとんど前進していない」と断じた。
長時間労働が変わらない要因として、労働時間管理の意識が広がった一方で、労働時間削減に結び付かなかったり、学校における役割分担の整除に関する効果が大きくなかったりしたことなどを指摘し「度重なる教育改革や学習指導要領の変化など、本来業務の改革に踏み込んでいない。労働時間のほとんどが日課で消化されてしまう」などの課題を強調。「古い枠組みの中で新たな課題を遂行することが求められている」ことに疑問を呈した。
その上で、授業を十分に遂行するための給特法廃止や義務標準法・高校標準法見直しによる教員定数の改善、過密化する教育課程の改善、授業準備等に要する時間を「持ち授業コマ数」に盛り込んだ改革を進める重要性を訴えた。
このあと、小・中学校の現職教員らを交えたパネルディスカッションを展開した。小学校教諭は、1日当たりの所定の勤務時間の大半が日課で占められる過密な実態を吐露。中学校教諭も部活動を終えたあとに各種業務を消化する実態を報告した。
ある教員は「子どもたちに何が起こるか分からないため、トイレに行く時間もない」「教材研究に費やす時間がなく、やむを得ず家庭に持ち帰るしかない」などと明かし「私たちは“忙しい現場をどうにかしてほしい”という思いが一番。正規教員をもっと増やしてほしい」と切実な思いを語った。
参加者に向けて「私たちが“言ったところで変わらない”と諦めてはいけない。声を発信し続けることが大切だとあらためて強く感じた」と述べた。
(関係団体 2023-02-28付)
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