子の虐待防止へ人材育成ビジョン案　行動指針など明確化　札幌市　協働性・専門性向上へ

（札幌市 2023-03-06付）

職員育成ビジョンの構成図（クリックすると拡大表示されます）

　札幌市は、子ども虐待防止に関する職務に従事する職員の人材育成ビジョン案をまとめた。元年６月に市内で当時２歳の女児が虐待死した事例を踏まえて、市が今後、子ども虐待防止に向けて目指すべき全体像や行動指針を明確化した。児童福祉をはじめとする関係職員の協働性や専門性の向上を図る。

　元年女児死亡事例の外部評価報告書では、職員の専門性向上や育成体系作成の必要性が指摘されていた。これを受けて市は、児童相談所のほか、母子保健や精神保健などの関係職員が一体となって、専門性向上を目指す共通基盤をつくろうと、育成ビジョンの策定作業に着手。同時に作成する職種別の育成方針にも反映させる。

　育成ビジョンは、４つの段階的な要素で構成する。職員と組織が最重視する姿勢を「存在意義」として最上位に位置付け、存在意義を実現するために「目標とする職員像」を明示。具体的な行動や組織の役割を「職員行動指針」「組織としての責務」で整理した＝図＝。

　存在意義は「虐待死亡事例を決して風化させず、子どもの最善の利益の観点から、未然防止を含めた支援に努め、あらゆる虐待から子どもを守る」と設定した。目標とする職員像に①当事者の立場で考える視点②協働の視点③それぞれの業務における専門性と自覚に支えられた高い使命感―の３点を掲げた。

　職員行動指針や組織としての責務には、自らの実践を常に批判的・反省的に検証することで専門性の獲得を目指すことや、協働の組織文化醸成のために多職種合同研修を実施することなどを盛り込んだ。

　市は「市全体で同じ方向を向きながら、職員の育成を一体的に進めていく」としている。５年度中に策定する予定。

(札幌市 2023-03-06付)