旭川高等支援生徒の探究活動 簡易冷房装置開発に挑戦 雪氷熱利用の可能性を探る(道・道教委 2023-04-28付)
スコップで雪山を成形しもみ殻で覆った
【旭川発】旭川高等支援学校(菅原靖博校長)は、総合的な探究の時間の一環として冬の残雪を利用した簡易冷蔵・冷房装置の研究に4~6年度の3ヵ年計画で取り組んでいる。生徒たちは授業で培った知識を活用し、もみ殻を活用した断熱効果の検証に挑戦。5年度は、前年度の結果を踏まえ、より効果的に雪を残す方法を検討する予定で、豪雪地帯における雪氷熱利用の可能性を探っている。
同校普通科3年生は、授業でSDGsや地球温暖化、再生可能エネルギー等について学習する中で、北海道の雪の利活用事例を知った。
学校裏の石狩川河川敷には例年6月ごろ、学校敷地内でも5月ごろまで雪が残っており、工夫によって暑さが厳しい7月ごろまで雪を残すことができるのではないかと考えた。
7月には教室の気温が30度を上回ることもあり「体育の後に冷たいものを飲みたい」「学校が涼しくなってほしい」などの思いから雪山の保存に挑戦。
実習で関わりのある当麻町の農家からコメのもみ殻の提供を受け、理科の本間友明教諭の指導のもと、雪の保存に挑戦することとした。
①雪山②雪山をもみ殻で覆う③雪山を防風シートで覆う―の3パターンで効果を検証する。
雪山は、体育館の屋根から落ちたものをベースに、スコップを使って手作業で台形に加工。②のもみ殻は、風で飛んでしまわないよう、もみ殻消毒袋(約600袋)に入れ、断熱効果が期待できるとされる厚さ約30㌢㍍になるよう設置した。
並行して、雪冷蔵・雪冷房の効果を検証。雪冷蔵では、クーラーボックスに雪を入れ、保冷効果の実験を行った。1日たっても半分ほどの雪が解け残っていた。
雪冷房では、コンテナに雪を入れ、扇風機で風を送った。コンテナの周りでは涼しさを感じられたものの、教室全体を冷やすには不十分と判断。換気扇を使った冷房装置を考案中だ。
生徒は道教委の「S―TEAM教育推進事業」の一環として3月中旬に札幌市で行われた「探究チャレンジ北海道」に出場。ジャムボードで調べたことや意見をまとめ、グーグルスライドで同時編集したスライドを用い、3ヵ年の今後の計画を発表した。
5年度は4年度の結果を受け、もみ殻の量や雪山のサイズを調整、外部との連携を行い、より効率的に雪を残す方法を検討する。
6年度は、冬場に検証したことを残った雪で実践し、まとめを行うとしている。
生徒は「もみ殻を袋に詰めるとき、量が多くて大変だった」「雪冷房は、また別の方法を考えたい」などと感想を述べた。
山田賢一教頭は、生徒たちの姿勢について「“なぜ”と疑問を持って取り組んでいる。仲間と協力し、自分たちで解決策を見つけ出しながら研究を進めている。研究の成果が表れ、来年につながってほしい。物事を前向きに捉えるきっかけになれば」と期待している。
(道・道教委 2023-04-28付)
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