釧路管内5年度教育推進の重点 誰一人取り残さない 子、学校、家庭・地域を支援
(道・道教委 2023-04-27付)

釧路教育局長相川芳久
相川芳久局長

 【釧路発】釧路教育局の相川芳久局長は19日、管内市町村教育委員会教育長会議で5年度の管内教育推進の重点を示した。本年度の管内教育推進マップは、前年度の取組を継承しつつ道教育推進計画等を踏まえ変更を加えている。このほか、管内教育重点項目のキーワードを「子どもたちを誰一人取り残すことのない教育の実現を目指して」と変更するとともに①子どもへのS(サポート)②学校へのS(サポート)③家庭・地域へのS(サポート)―の3点を軸とした管内教育の改善・充実に努めていく。相川局長は、教育委員会や各学校と連携・協働し、子どもと学校、家庭・地域をつなぐ支援に努めるとともに「全力を挙げて管内教育の改善・充実に取り組んでいく」と述べた。

 教育推進の重点はつぎのとおり。

【5年度「釧路っ子の“学び”を支える管内教育推進マップ・3S(サポート)」について】

 管内教育推進マップについては、4年度の取組を継承しつつ、5年度からの5年間で推進される新たな道教育推進計画等を踏まえ、変更を加えている。

 4年度の柱の一つであった「ポストコロナ期への対応」については、新型コロナウイルス感染症への対応が、感染症法上の分類を、現在の2類相当から、「5類」感染症に位置付けられ、5月8日から適用されることとなり、また、道の感染症対策のレベル分類も「レベル1」に移行され、学校の教育活動においてもレベルを引き下げた取り扱いに変更されていることから、重点項目の柱から除くこととした。

 同じく、4年度の柱の一つであった「GIGAスクール構想の実現」については、各学校において1人1台端末と高速大容量のネットワーク環境が整備され、今後は、GIGAスクール構想で整備されたICT環境を適切に活用した個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実が求められていることから「GIGAスクール構想の実現」から「ICTの活用推進」に変更し、柱の一つとして位置付けている。

 「働き方改革の推進」については、教職員の在校等時間の計測・記録や、部活動の地域移行に向けた取組を推進していく必要があることから、継続して柱に位置付けた。

 以上のことから、重点項目の柱を「ICTの活用推進」「働き方改革の推進」の2つとした。

 なお、このマップに示ししている①~の重点項目については「5年度管内教育の重点項目」に対応し、道教育推進計画の「施策項目」にも対応している。

【管内教育推進の重点項目】

▼本年度のキーワードについて

 各学校において、学習指導要領に示された資質・能力の育成を着実に進めることが重要であり、そのためには、1人1台端末などのICTを最大限に活用しながら「個別最適な学び」「協働的な学び」の一体的な充実を図ることが求められていることから、前年度の「学びの保障」から、新たに「子どもたちを誰一人取り残すことのない教育の実現を目指して」に変更している。

▼重点項目

 基本的には、4年度の取組を継承しつつ、新たな北海道教育推進計画に示された枠組みに合わせて「子どもへのS(サポート)」「学校へのS(サポート)」「家庭・地域へのS(サポート)」にそれぞれ3つの目標を位置付けるとともに、重点項目の2つの柱を含めた21の重点項目を示している。

 ①~の重点項目にある「・」は、道教育推進計画にある「主な取組」や「施策の方向性」を踏まえるとともに、前年度までの各取組の内容を継承する形で整理している。

▼子どもへのS(サポート)

▽SDGs・ESDの推進

 SDGsの達成のため、子どもから大人まで全ての道民が、現代社会における地球規模の様々な課題を「自分事と捉え」て「解決に向けて考え」「行動する力を身に付ける」とともに「新たな価値観」や「行動変容」をもたらすESDを推進が重要であると示す。

 このため「持続可能な社会の創り手を育む主体的・対話的で深い学びの実現」をお願いする。各学校においては、地域の施設や人材等の教育資源を活用した体験的な学習活動を促進に向けて協力を要請する。

▽新しい時代に必要となる資質・能力の育成

 全国学力・学習状況調査結果等の客観的なデータを系統的に分析し、学力向上に向けた教育活動の検証と改善に全ての教職員が一体となって組織的に取り組むことが重要であると位置付ける。

 このため「教育課程の実施状況を評価し、改善を図る検証改善サイクルの充実」をお願いする。各学校においては、育成を目指す資質・能力を明確にし、小学校から高校までの12年間を見通した検証改善サイクルの確立を推進するよう協力を求める。

▽特別支援教育の推進

 特別な支援が必要な子どもやその保護者が、乳幼児期から学齢期、社会参加に至るまで、地域で切れ目のない支援を受けられるよう、保健、医療、福祉、労働等との効果的な連携体制を構築し、一人ひとりの教育的ニーズに応じた支援体制の整備を推進していく。

 このため「切れ目のない一貫した指導や支援の充実」をお願いするとともに、各学校において個別の教育支援計画を活用した関係機関との連携を促進を求める。

▼学校へのS(サポート)

▽ICTの活用促進

 重点項目の1つ目の柱である「ICTの活用推進」については、各教員が教科等の指導において効果的にICTを活用し、学習指導要領が求める「主体的・対話的で深い学び」の実現に向け、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実した授業を実施することが重要であると示す。

 このため「教員のICT活用指導力の向上」をお願いするとともに、各学校において今日的に求められるICT活用を踏まえ、各地域や学校における、子どもの発達段階等の状況に応じたICT活用研修の充実を求める。

▽いじめ防止の取組の充実

 子どもたちがいじめの被害者にも加害者にもなることがなく、安心して過ごせる居場所づくりを、全ての学校で推進が重要。このため「いじめの早期発見・早期対応に向けた生徒指導体制の充実」をお願いするとともに、各学校において児童生徒間の「からかい」や「嫌がらせ」なども含め、いじめを積極的に認知し、その解決に向けた学校いじめ対策組織による早期発見・早期対応の徹底を求める。 

▽働き方改革の推進

 各学校の教育目標の実現に向けて、限られた人的・物的資源を効果的に活用しながら、真に必要な教育活動に注力するために行う取組であり、学校運営そのものであるという考え方のもと、各学校における学校改革の取組を進めることが必要とした上で「教職員の在校等時間の客観的な計測・記録および公表」を求めるとともに、各学校においては勤務時間を意識した働き方改革の推進と学校運営体制の充実を図るようお願いする。

▼家庭・地域へのS(サポート)

▽地域と学校の連携・協働の推進

 行政と学校、地域住民、企業等が連携し、子どもたちが主体的に学び、その成果を発信する場を充実させることによって、地域の課題解決や地域創生の実現に向けた取組を推進することが重要と位置付け「学校と関係機関等が連携したネットワークづくり等、子どもの育成を支える体制づくりの促進」を求める。

 各学校においては、地域社会や学校外の関係機関等との連携による、総合的な学習の時間や総合的な探究の時間等を活用した学習活動を充実するようお願いする。

▽安全・安心な教育環境の構築

 児童生徒が災害や事故、犯罪等から身を守ることができるよう、自ら危険を予測して回避するための知識や行動を身に付けるなど、危機管理能力、規範意識、社会貢献できる態度を育成のため、各施策への取組を要請する。

 このため「学校や家庭、地域、関係機関と連携し、体験を重視した効果的な防災教育、交通安全教育、防犯教育の充実」を求める。

 各学校においては、幼児期からの発達段階に応じた交通ルールや自転車の乗車等安全に関する知識・技能を身に付けさせるための体験型交通安全教育や、性被害対策を含めた不審者対応訓練など、警察や関係団体等と連携した防犯訓練、家庭や地域との連携による「1日防災学校」等を年間を通じて計画的に実施するようお願いする。

【おわりに】

 局としては、管内8市町村教育委員会や各学校と連携・協働しながら、これまで以上に「子ども」「学校」「家庭・地域」をつなぐ支援に努め、子どもたちを誰一人取り残すことのない教育の実現に向けて、全力を挙げて管内教育の改善・充実に取り組んでいくので、よろしくお願いする。

この記事の他の写真

釧路局管内教育の重点項目
釧路局管内教育の重点項目
釧路局管内教育推進マップ
管内教育推進マップ

(道・道教委 2023-04-27付)

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