札幌市立高・特校長会 4年度事業報告研究紀要から 第1回(札幌市 2023-05-08付)
◆進路探究学習推進委員会①
▼はじめに
「進路探究学習の充実」は、市教育アクションプラン(後期)における9つの重要項目の1つとなっている。また「進路探究学習(キャリア教育)」は、4年度市学校教育の重点における教科等の枠組みを越えた教育の一環として掲げられている。
本委員会は、市立高校・中等教育学校が相互に協力し合い進路探究学習を推進していくために「進路探究セミナー」「インターンシップ等推進事業」「高大連携等推進事業」の3つを事業の柱としている。
進路探究セミナーは1年生を対象に実施しているもの。本年度は、新川高校から6校に配信する方式で実施した。
第1部講演の講師は中屋敷剛氏へ依頼。第2部は森本優氏をコーディネータとして、配信校に集合した各校の代表生徒の発言を中心に進めるフォーラムを開催した。
職場体験学習は、市立高校4校が札幌市経済観光局および㈱マイナビ主催の職業体験イベント「ジモトのシゴトワク!WORK!」を活用し、事前学習からイベント参加および事後学習を通して探究活動を行った。4校以外の学校は、各校独自の取組として職場体験学習、インターンシップ等を実施した。
高大連携事業では、小樽商科大学および北海道医療大学は対面、札幌市立大学看護学部・デザイン学部、およびはこだて未来大学はオンデマンドまたはオンラインの配信によって様々な形式で高大連携公開講座を開講し、希望生徒が参加した。
▼活動の目的
進路探究学習は、市立高校教育改革ビジョンに掲げた3つの基本的方向性に基づき、基本施策である市高スタンダード(全校共通)の取組の一つとして「生徒の学習意欲を高め、より主体的に学ぶ生徒を育てるため、自分自身を発見し、将来の生き方や進路について考えさせるための学習」を目的に活動しているものである。各校が共通して取り組むことによって、市立高校ならびに市立札幌開成中等教育学校の独自の事業として「選ばれる魅力ある市立高校づくり」を推進していくことも重要な目的の一つである。
平成15年度から、市立高校の共通施策として進路探究学習の充実を図り、進路探究学習推進委員会を設置し、札幌市教委・札幌商工会議所・各大学の支援のもと、市立高校・市立札幌開成中等教育学校間が連携・協働して進路探究に係る事業を実施している。
▼4年度進路探究セミナー
▽概要
進路探究セミナーはことしで20年目を迎え、市立高校1年生が一堂に会する進路探究学習として定着している。28年度を除き、カナモトホール(札幌市民ホール)を会場として2日間で実施していたが、感染症対策を踏まえ、3年度は旭丘高校、新川高校を配信校としたオンライン開催での2日間日程、4年度は新川高校を配信校としたオンライン開催での1日間日程で市立高校7校が参加した。
第1部講演では、中屋敷左官工業㈱代表取締役の中屋敷剛氏に講師を依頼した。講演では自身の体験の中から「選択に迫られたら本当の自分と向き合い、心の声を聞いてほしい」「夢や目標を持つことが大事、幸せはあなた自身が決める」と語りかけていただいた。事後アンケートでは、9割強の生徒が「大変興味を持てた」と回答した。
第2部パネルディスカッションのテーマは「私の夢、生き方の理想」で意見交流を行った。このテーマは「自分のキャリアをデザインする力を身に付けてほしい」との考えから設定されたものである。
パネルディスカッションのコーディネーターは、FM北海道アナウンサー森本優氏である。第2部の時間帯を3つのクールに分割し、各クールにおいて、2、3校の代表者(パネリスト)が発表し、その後代表生徒・代表教員および第1部講演講師がディスカッションを行う形式である。
各校での参加生徒にはワークシートを配布、リフレクションのタイミングを設けた。受信校での形態は、体育館での一斉形や、クラスでの個別形など各校の実情に応じた形態であった。コーディネーターには配信形式という難しい状況にもかかわらず、配信現場と受信校の一体感を高めるパネルディスカッションにまとめていただいた。
▽アンケート結果
進路探究セミナー実施後に生徒および教員対象にアンケートを実施した。
①生徒アンケートの結果
「進路探究セミナーに参加してどのように感じましたか」の問いに、興味・関心を大いに持てた、または持てたと回答した生徒は、前年度同様に9割を超えた。本セミナーが進路を考えるきっかけとして一定の役割を果たしていると考える。また、記述内容から進路に関して前向きに考えていくきっかけとなった等の感想が多く見られた。
・セミナーの目的に沿った質問項目では、約8割以上の生徒が肯定的な回答をしている
・「前半の講演は、時間的にどう思いましたか」の問いに、ちょうど良かったと回答した生徒の割合が、前年度と比較して110ポイント以上増えた。講演時間を削減したが、妥当な判断であったと考える
・「後半のパネルディスカッションは、時間的にどう思いましたか」の問いに、前年度より時間を多くとったが、もう少し短くて良いとの回答は減少した。ただし記述では意見交換の場をより多くしてほしいとの要望が見られた
・「市立高校1年生が合同で進路探究セミナーを行うことについてどう思いましたか」では9割を超える生徒が、高校1年生が合同でセミナーを開催することが良いと感じているので、次年度以降もセミナーは合同で開催すべきであると考える
②教員アンケートの結果
・「趣旨や意義に賛同できますか」の問いに回答した教員の9割以上が「賛同できる」と答えている
・「講演とパネルディスカッションの2部構成」については教員の9割以上が「評価できる」と答えている
・「実施方法」については、AB日程に分けてやった方が良いという回答がかなり減り、本年度同様一堂に会してやった方が良いとの意見が7割を超えた。次年度の実施形態を検討する時の参考にしたい
生徒および教員のアンケートから得られた意見や進路探究学習推進委員会で得られた反省の内容を生かし、5年度は、4年度以上の満足度となる進路探究セミナーへと改善していきたいと考える。
▼5年度進路探究セミナー実施計画(4年12月現在)
配信の形式で1日日程で開催する。
▽日程=5年5月10日
▽参加校=新川高校、旭丘高校、藻岩高校、大通高校、清田高校、平岸高校、啓北商業高校。計1990人
札幌市立高校・特別支援学校長会は、研究紀要第41号をまとめた。市立高校・中等教育学校8校と市立札幌みなみの杜高等支援学校の実践に加え「進路探究学習」「国際教育」「教育相談・特別支援教育」に関する3つの推進委員会と「教務部長」「特別活動部長」「ICT」「図書」「養護教諭」「教科別」の6連絡協議会の各種事業などを掲載。ここでは4年度に実施した各推進委員会、連絡協議会の事業等を連載で紹介する。
(札幌市 2023-05-08付)
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