ＯＫＡＥＲｅ南ひやま学で２年生　ゼミ形式で探究活動　ＳＤＧｓと地域課題解決　江差高

（学校 2023-06-23付）

江差高校地域学「ＯＫＡＥＲｅ南ひやま学」

　【函館発】江差高校（古谷尚校長）が総合的な探究の時間に取り組む地域学「ＯＫＡＥＲｅ南ひやま学」が２年目を迎えた。本年度は新たに２年生がゼミ形式で探究活動を開始。江差町内に障がい者支援施設「あすなろ福祉会」がある環境を踏まえ、障がい者福祉や共生社会を学ぶ「平等ゼミ」を立ち上げるなど、ＳＤＧｓと地域課題を視点に据えた活動を展開する。古谷校長は「持続性と独自性を生かし、地域と学校双方のメリットを考える取組にしたい」と力を込める。

　南ひやま学は、前年度から開始した同校独自の教育課程。生徒は通学圏域の江差町、厚沢部町、乙部町、上ノ国町の檜山南部地区で課題解決学習に取り組む。地域で活躍する大人たちとの関わりを通して、社会的自立心を身に付けることを目的としている。

　これまで、１年生では南檜山の課題を地域で働く大人たちとの交流を通して明確化する「ハイスクール・ミーティング」を実施。生徒が関心を抱いた課題についてグループで探究活動に取り組んだ。ことし３月にはフィールドワークで関わりのあった地域人材を招き、課題解決を提案する発表会を行った。

　本年度はＳＤＧｓ達成に向けて行動し、地域に貢献する態度を養うことを方針の一つに設定。前年度と同様に１年生のハイスクール・ミーティングを継続するほか、２年生は環境、経済、人文の３つのカテゴリーから農林水産業、食品、平等、ジェンダーなど９分野を細分化。１分野７～１０人の生徒がゼミ形式で活動を展開する。

　講師には、檜山振興局や地域おこし協力隊、あすなろ福祉会などで活動する地域人材を活用。生徒は地域課題の解決に向けた取組を学んだり、実際に活動に参加したりして、課題解決に向けた活動の実現を目指す。

　現時点では、海洋ゼミで密漁、食品ゼミで食を通じた町の活性化、平等ゼミで障がい者差別の防止や共生社会などのテーマ案が検討されている。

　１５日に同校で開かれた第１回準備委員会では、担当の教職員が講師を務める関係者１６人に本年度の計画を周知。古谷校長は「地域や学校だからできることを探し実践していきたい。持続性のある活動を通して、学校と地域のメリットを考え、町の活性化にもつなげたい」と呼びかけた。

　参加者からは「講師が道筋を示すのではなく、生徒の自発性を意識した活動にしたい。１回で終わる活動ではなく、持続性のある活動を考えられるように支援したい」「中間報告会や成果発表会の在り方をオンラインに変更した方が広く周知できるのではないか」など有意義な活動に向け、様々なアイデアが出された。

　前期のゼミ活動は今月から開始し、９月２８日に中間報告会を実施する予定。

(学校 2023-06-23付)