札幌開成中等６年生・岩下さん 物理五輪日本大会２冠達成に意欲 アジア大会で金メダル獲得

（札幌市 2023-06-26付）

金メダルを手にする岩下さん

　市立札幌開成中等教育学校（宮田佳幸校長）６年生の岩下幸生さんが、５月下旬に開催された第２３回アジア物理オリンピックで金メダルを獲得した。日本が参加を開始した３年以降、史上２人目の快挙を達成。７月１０日から東京都で行われる第５３回国際物理オリンピック日本大会の代表にも選ばれており、「金メダルを取れるように頑張りたい」と２冠をねらっている。

　アジア物理オリンピック（ＡＰｈＯ）は、国際物理オリンピック（ＩＰｈＯ）の前哨戦となる地域限定の国際大会。各国から選抜された最大８人の代表選手たちが、約１週間の会期の中で理論問題、実験問題にそれぞれ５時間かけて挑戦する。

　ことしは５月２２日から２８日までモンゴル・ウランバートルで開催。２８ヵ国・地域から１９６人が参加し、自らの知識や技能を駆使して問題に取り組んだ。

　岩下さんは、学校内に掲示されていたチラシを見て「やってみよう」と思ったことがきっかけで、ＡＰｈＯとＩＰｈＯの代表選考を兼ねた全国物理コンテスト「物理チャレンジ２０２２」に参加。初挑戦ながら、優秀な成績を収め代表候補者に選出された。

　その後、秋、冬の合宿と通信添削による研修を経て春の合宿での最終選抜に臨み、ＡＰｈＯとＩＰｈＯの日本代表選手の一人に選ばれた。「入れると思っていなかったのでうれしかった」と振り返った。

　大会本番で出題された問題は、例年より難易度が高かったという。多くの選手が苦戦した中、岩下さんは基準点（上位３位の得点の平均もしくは全参加者の中央値の得点の２倍のどちらか低い方）の９０％以上を得点し、日本代表から唯一の金メダルに輝いた。「少し手応えがあったので驚きは少なかったが、うれしかった」と喜びを述べた。

　将来は研究者を目指しているという岩下さん。「今後の様々な取組の中で、進むべき分野を決めていきたい」と展望を語った。

(札幌市 2023-06-26付)