渡島局　フロンティア人材推進協　縄文文化　価値醸成へ　南茅部高対象にガイド研修会等

（道・道教委 2023-07-06付）

渡島フロンティア人材育成事業推進協議会

　【函館発】渡島教育局は６月２８日、渡島フロンティア人材育成事業の第１回推進協議会を南茅部高校で実施した。同校の生徒を対象としたガイド研修会や南茅部地区の協力校が各校の教育課程を共有する交流会の開催計画など今後のスケジュールを周知。協議では、世界遺産「縄文文化」の認知度や価値の醸成に向けた課題などが話題に上がった。

　事業は函館市南茅部地区の小中高の児童生徒が各教育課程の中で縄文教育に取り組むとともに、異校種で連携した活動などを行うもの。渡島局は前年度、南茅部小学校、尾札部中学校、臼尻中学校、南茅部高の４校を事業の協力校に指定し、児童生徒と地域住民が対話する活動の場を設定。校種間や外部協力者との連携が進んだ一方、学習内容の発信方法の工夫や縄文に関する教育課程の重複などの課題も見られた。

　こうした成果や課題を踏まえ、本年度も渡島総合振興局等と連携し、事業を継続。南茅部小と尾札部中、臼尻中の統合校として本年度開校した南茅部中学校、南茅部高の３校を引き続き協力校として指定した。

　会議には、各協力校や渡島総振局、渡島教育局の担当者ら１０人が参加し、本年度の事業計画や協力校が総合的な学習の時間などで取り組む縄文学習の教育課程を確認〓写真〓。

　渡島局の深見亘教育支援課長は世界遺産縄文サミットにおける生徒の発表や地域住民との交流を通して「児童生徒の学びや思いが地域住民にも伝わったと思う」とあいさつ。今後は「土地に暮らしている人の実感や経験を通して縄文の良さを伝えることも大切」と説明した。

　事業計画では、道内外への発信や児童生徒の学びの深化に向けた活動に向け、本年度は南茅部高の生徒を対象に自然や文化、歴史を分かりやすく伝える「インタープリテーション能力」に定評がある講師を招いたガイド研修会や青森県の道の駅で縄文をＰＲする活動などの予定を周知。

　また、前年度の課題を踏まえ、協力校が効果的な縄文学習に取り組めるよう、年３回の教育課程交流会を取り入れるとした。

　協議では、各校の課題やこれまでの学習で児童生徒の興味・関心が見られた活動内容を交流。参加者からは市民の縄文に対する認知度や価値意識向上に向け「発表会を参観日につなげることで保護者や地域に縄文文化を発信する」など発信方法の工夫に関する意見が上がった。

　オンラインで参加した道教育大学函館校の奥平理准教授が助言者を務め「文化や歴史の発信は地域の活性化にも関わる。観光の価値が上がれば伝統に変わる」とした上で「価値を高める過渡期を担う地元の児童生徒による取組は効果的」と分析。児童生徒が楽しむ活動や体験活動と発表の往還部分で確認場面を取り入れる指導の工夫、動画撮影を取り入れた発信方法など今後の活動に向けたアドバイスを送った。

(道・道教委 2023-07-06付)