札幌市教委 4年度人間尊重の教育 多様性に向き合う学校教育の推進⑧ 人間尊重への意識高める アイヌ文化の多面性理解し(札幌市 2023-07-12付)
西園小学校
【課題2 アイヌ民族に関する学習を窓口に人間尊重の意識を育む研究】
▼児童生徒・学校の実態
「学習などについてのアンケート」の結果からは「人の役に立つ人間になりたい」で肯定的な回答の割合が高い反面、「自分が必要とされていると感じている」で否定的な回答の割合も高く、学校は児童の自己有用感を高める場をより保障していく必要がある。
「西園の子どもアンケート」からは「勉強していて楽しいと思う」と回答した児童の割合が多い反面、「めあてをもって」「自分で計画を立てて」学習するなど主体的に学びに向かう姿勢に課題がある。
自分が周りと違うことを恐れたり、周りの人に自分と同じ行動をとるように求めたりする傾向が見られる。
▼ねらい(目標)
アイヌ民族の豊かで美しい文化に触れる活動やアイヌ文化の多面性を理解する学習を通して、「人間尊重」の意識を育む
▼活動内容
▽アイヌ民族の「今」を知る
▽「昔」の暮らしや文化について興味を持ち、一人ひとりがテーマを持って調べる
▽派遣事業やプログラムを活用し、実際(本物)に触れる経験を重視する
▽体験を通して学んだ成果を学習発表会の場で発信する
▼年間計画
▽6月
・学習指導計画の作成
▽7月
・派遣事業・校外学習の計画
▽8月
・関係団体との連絡・調整
▽9月
・オリエンテーション
・調べ学習開始(総合)
・アイヌ文化活動派遣事業(文様・舞踊・楽器等体験)
・社会科学習(アイヌ民族の昔と今)
▽10月
・アイヌ文化体験プログラム(ピリカコタン見学・体験)
・学習発表会練習・発表
▽11月
・振り返り・まとめ
▼成果
▽教職員自らの人間尊重の意識の向上
アイヌ民族が差別を受けた歴史や問題を解決する生き方を教材化する取組を通じ、教職員自らが多様性の問題を自分事として考えることができた。
アイヌの人との交流や体験活動を重視したことで、児童と共にアイヌ民族が身近な存在であることを実感することができた。
児童一人ひとりが「~したい」活動を尊重し、学習発表会を「学び」の成果を発信する場としたことで、児童の自己有用感を高めることができた。
▼課題
▽教職員自らの人間尊重の意識の向上
本学習の目的と成果を全教職員で共有するとともに、「子ども一人ひとりを大切にする」という意識をもって、日常の学習や学校行事に取り組むことが重要。
他学年の総合的な学習の時間に取り組んでいる高齢者や障がいのある方との交流や、LGBTへの対応など、様々な人権課題に向き合っていく活動を通して、教職員自らが相互承認の感度を高めていく。
▼これからの取組の方向性
▽教職員自らの人間尊重の意識の向上
各学年の年間指導計画を見直す取組を通して、「人間尊重の教育」を本校の教育活動の柱として位置付ける。
「本物」と触れる体験活動や一人ひとりの思いを尊重した自己表現の場を重視し、家庭や地域とも連携しながら自分の良さを発信する。
教科や道徳、総合的な学習の時間と学校行事との関連など、同僚性を発揮しながら学校独自のカリキュラム・マネジメントを推進する。
(連載終わり)
(札幌市 2023-07-12付)
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