若手教員の授業力向上へ浦河町教委 未来を生きる力育んで 第1回授業改善クリニック
(札幌市 2023-07-12付)

 【苫小牧発】浦河町教委は6月中旬、オンラインで第1回若手教員授業改善クリニックを実施した。オンラインの講義と訪問指導を組み合わせ、若手教員の授業力向上を目指す新規事業。初開催となる今回は、講師を務める北海道文教大学の石垣則昭教授が「子ども達の学力向上のために~主体的・対話的で深い学びの原理」をテーマに講義。39人が参加し、今求められている授業の本質について理解を深めた。

 若手教員に授業づくりの基礎的事項を解説するとともに、実践的なアドバイスを行うことで日々の授業改善を支援するもの。

 大学教授による指導はこれまでも行っていたが、浦河町の各校までの訪問は負担が大きく、少しでも回数を増やす方策として、オンラインを組み合わせた。

 本年度の構想では、90分程度のオンライン研修を年3、4回開催し、基礎的事項を解説するとともに、若手教員から悩みや疑問などを寄せてもらいながら、具体的に理解を深める。

 また、年2回の訪問指導を実施。講師が学校を訪問し、希望する受講教員の授業を参観して直接指導助言を行う。

 講師は長年にわたり同町の教員研修に携わってきた石垣教授。第1回授業改善クリニックはオンライン形式で行い、町内各小・中学校の若手教員はもとより、校長、教頭、養護教諭も含め39人が参加した。

 石垣教授は「子ども達の学力向上のために~主体的・対話的で深い学びの原理」をテーマに講義を展開。「なぜ主体的・対話的で深い学びなのか?本質的なところが極めて重要」と投げかけた。

 その上で「2030年にはAIが人間の知能を超すと言われている。今の仕事の半分はAIやロボットのものになる。学校は、単なる暗記ではなく、AIにできない力を育てなければならない」「知識を覚えるよりもどう考えるか、思考・判断、創造や問題解決、実践的な力にシフトしていく必要がある」などと説明した。

 また「主体的・対話的で深い学びを本質的に理解している学校と、やった気になっている学校の差は顕著。未来を生きる力を育てるのに、本質を理解しない授業で責任が取れるのか」と指摘し「今あらためて意味を掘り下げる時期」と述べた。

 さらに、授業のポイントとして「学習目標さえ書かない学校があるが、学習には動機付けが必要」「今までは何を学ぶかを大切にしてきたが、これからはどう学ぶかを追究しないと考える力が身に付かない。そのための主体的・対話的で深い学び」「認め合い、理解し合う学級・学校の環境も大切。不登校やいじめが多い学校は学力が上がらない」「教師のしゃべりすぎは駄目。インプットが多い授業は教師の自己満足的授業。子どもがアウトプットしてこそ理解が深まる」「学習のまとめを教師がしてしまうのではなく、子どもにやらせること。一番大事なところを奪ってはいけない」「子どもが発言した内容を絶対に否定しないこと。否定してしまうと活動が活発化しなくなる」など、多くの具体的なアドバイスを行った。また、各会場の参加者の声も聞きながら全体でより良い授業の在り方について深めた。

 次回は19、20日に訪問指導を実施。実際に学校を訪れ、授業参観した教員に対して、直接指導助言を行う予定。

(札幌市 2023-07-12付)

その他の記事( 札幌市)

札幌市教委 4年度人間尊重の教育 多様性に向き合う学校教育の推進⑧ 人間尊重への意識高める アイヌ文化の多面性理解し

西園小学校 【課題2 アイヌ民族に関する学習を窓口に人間尊重の意識を育む研究】 ▼児童生徒・学校の実態  「学習などについてのアンケート」の結果からは「人の役に立つ人間になりたい」で肯...

(2023-07-12)  全て読む

札幌市など 児童虐待対応研修 緊急事案 冷静に対処 模擬家屋で強制立入演習

児童虐待対応合同研修  札幌市は6月22日、道警、道と合同で児童虐待対応に関する研修に取り組んだ。市内の道警察学校にある模擬家屋で強制立入の演習を実施。怒号が飛び交う中、参加した職員は連携しながら冷静に対応に当た...

(2023-07-12)  全て読む

札幌市 生物多様性ビジョン素案 学習パッケージ新たに開発 担い手育成へ教員研修など

 札幌市環境局は、2050年を展望した生物多様性に関する取組の指針「改定 生物多様性さっぽろビジョン」の素案をまとめた。教育関係では、学校との連携や保全活動の担い手育成の機会が不足しているこ...

(2023-07-12)  全て読む

6年度学校施設整備概算要望 新規に琴似小など改築 幌北小など15校長寿命化 札幌市教委

 札幌市教委は、6年度の学校施設整備に係る概算要望額をまとめた。学校施設環境改善交付金の事業費に当たる配分基礎額は241億6260万円。危険改築と不適格改築で70億9602万円を計上し、新規...

(2023-07-12)  全て読む

一部表現が不適切 教員数減で特支転校 秋元札幌市長が会見

 札幌市の秋元克広市長は10日の定例市長会見で、市立小学校の特別支援学級に通っていた児童が、学校から新年度に教員数が減ることを理由に文書で転校を促され、実際に転校したことを受けて「一部表現が...

(2023-07-12)  全て読む

札幌市教護協会 理事等研修会 生徒の今 認めて 詩画作家・坂本氏が講演

札幌市学校教護協会  札幌市学校教護協会(須藤勝也理事長)は6月29日、ホテルライフォート札幌で5年度第1回理事幹事研修会を開いた。元中学校教諭で、詩画作家の坂本勤氏が講演。130人が参加し、指導が必要な生徒へ...

(2023-07-11)  全て読む

札幌市教委 4年度人間尊重の教育 多様性に向き合う学校教育の推進⑦ 縦のつながり通して 人間尊重意識育む アイヌ民族の学習を窓口に

緑丘小学校 【課題2 アイヌ民族に関する学習を窓口に人間尊重の意識を育む研究】 ▼児童生徒・学校の実態  札幌市共通指標「学習などについてのアンケート(R4)」によると「意見の違う人と...

(2023-07-11)  全て読む

2030冬季五輪運営見直し案 オープンハウス型説明会開催へ 子の国際感覚等を育成 札幌市

 札幌市は、2030冬季オリンピック・パラリンピックに向けた大会運営見直し案の中間報告をまとめた。また、市民理解促進に向けた対話事業としてオープンハウス型説明会などを開催する方針を示した。大...

(2023-07-11)  全て読む

札幌市教委 4年度公務災害認定 28件大幅増の127件に 小14件増71件、中12件増42件

8面表  札幌市教委は、4年度公務災害認定状況をまとめた。認定件数は127件で、前年度と比べ28件と大幅に増加した。校種別にみると、小学校で14件増の71件、中学校で12件増の42件などとなった。市...

(2023-07-11)  全て読む

札幌みなみの杜高支工房コース ものづくり技術を体感 パーティション加工実習

みなみの杜  市立札幌みなみの杜高等支援学校(田中進一校長)の工房コース1年生が6月22、27日の2日間、プラスチック加工の(株)アイドウで、新型コロナ対策の飛沫防止のパーティションを加工する実習を行っ...

(2023-07-11)  全て読む