札幌市教委 4年度人間尊重の教育 多様性に向き合う学校教育の推進⑦ 縦のつながり通して 人間尊重意識育む アイヌ民族の学習を窓口に
(札幌市 2023-07-11付)

緑丘小学校

【課題2 アイヌ民族に関する学習を窓口に人間尊重の意識を育む研究】

▼児童生徒・学校の実態

 札幌市共通指標「学習などについてのアンケート(R4)」によると「意見の違う人とも、よく話し合おうとしている」と回答した割合が86・8%と他者の考えに向き合おうとする児童が多い。

 「外国の人と関わることが楽しいと思う」と回答した割合が78・3%であり、今後、多様性に向き合う意識を学校全体として高めていく必要がある。そのために、多様な民族の文化や考え方を知り、ものの捉え方を広げていく。

 アイヌ民族に関する学習において、本校では3・4年生の社会科の学習で学ぶ機会があり、5・6年生では行っていない。

▼ねらい(目標)

 アイヌ民族に関する学習を窓口に3年~6年生まで(縦のつながり)の学習を通して、人間尊重の意識を育む。

▼活動内容

▽3年生(知る)

・道徳「昔からある文化を知ろう」

▽4年生(学ぶ)

・社会「アイヌ民族と今につながる文化」

▽5年生(今につなげる)

・家庭科「暖かく快適にくらす工夫」

▽6年生(未来に向ける)

・社会「新しい日本 平和な日本へ」

▼成果

▽縦のつながりから人間尊重の意識を育む

 3~6年でアイヌ民族に関する授業を「知る」「学ぶ」「今につながる」「未来に向けて」と系統性・連続性を意識した授業を構成したことで、「縦のつながり」を意識して取組を行うことができた。

 特に、アイヌ民族に関する学習を行っていなかった5・6年生にとっては3・4年生の学習を生かして、発展的に学ぶことができ、人間尊重の意識を育むきっかけとなった。

▽教職員(授業者)の意識の変化

 アイヌ民族に関する学習を縦のつながりを意識して授業実践を行ったことで、教職員としても「人間尊重の教育」についての必要性、そして自覚が芽生えるきっかけとなった。

▼課題

▽人間尊重の意識がどれだけ高まったか

 今回の授業を通して、児童がどれだけ人間尊重の意識が高まったのか不透明なところがあった。授業前と授業後の変化など振り返りなどを通して「見える化」することも必要であった。

▽教職員全体としての意識

 授業公開等を行い、教職員全体としての人間尊重の意識を育むきっかけとなったが、継続して取り組むという点はこれからの課題である。

▼これからの取組の方向性

▽他の人権課題を窓口に

 アイヌ民族に関する学習を窓口に人間尊重の意識を育むことを目的にしたが、「子どもの権利」「性に関する指導」などそれぞれの個別の課題を窓口に、教科等横断的な視点から教育活動全体で人間尊重の意識を育むことが重要である。

▽札幌市全体で広げる

 今回、授業を通して人間尊重の意識を育むことができた。また、社会科以外でも道徳や家庭科などで実践することができたことも成果の一つである。この取組が多くの学校に周知され、実践されることで人間尊重の教育を育む手だてとしていきたい。

(札幌市 2023-07-11付)

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