札幌市障害者スポーツセンター　道内初新設へ検討着手　次期計画素案に盛り込む

（札幌市 2023-07-26付）

　札幌市は本年度、道内初の障がい者スポーツセンターの新設に向けて、本格的な検討に着手する。市内関係団体から要望を受け、市が次期スポーツ推進計画素案に新規施策として盛り込んだ。建設候補地やスケジュール等は未定。体育の授業や運動部活動への参加に制約が生じている障がいのある児童生徒にとって、スポーツに触れる機会の増加につながることが期待される。

　同センターは、障がいのある人のスポーツ参加や指導者育成の拠点として全国２６ヵ所にある。一方、人口１００万人以上の政令市のうち札幌、仙台、川崎の３市が未設置の状況。

　市内には現在、市身体障害者福祉センター（西区）と市立札幌みなみの杜高等支援学校（南区）の２ヵ所に障がいのある人が利用できる体育施設があるが、個人利用が難しく、利用時間も限られている。

　このため、過日、市内の障がい者スポーツ関係者で構成する市障がい者スポーツ普及促進協議会が「障がい者スポーツセンターの整備が必要」とする報告書を市に提出した。

　報告書をみると、市内の障がい者を対象に行った調査で、軽運動を除く週１回以上のスポーツの実施率が１１・４％にとどまったことなどを踏まえて「まずは環境を充実させ、運動機会を増やすための拠点整備を行うことを検討すべき」と明記。施設はメインアリーナとサブアリーナ、２５㍍プール、卓球室などを設け、想定する延べ床面積は１万１６００平方㍍とした。

　また、市立小・中学校の通常学級に在籍する肢体障がいのある児童生徒が、体育の授業に参加できずに見学を余儀なくされたり、運動部活動やクラブ活動に参加できていなかったりと、健常者に比べてスポーツに触れる機会が不足している状況を指摘。施設の整備が「体育の授業や部活動への参加に制約が生じている子どもにとっては、専門家による指導のもと、伸び伸びと体を動かすことができる貴重な場となる」と明示した。

　市は報告書をもとに本年度、本格的な検討作業に入る。５年度から１０年間のスポーツ施策の方向性を示す次期スポーツ推進計画素案に、新規施策として「設置検討」を盛り込んだ。

　具体的な建設候補地や事業規模、整備スケジュールは未定。

(札幌市 2023-07-26付)