自他往還する授業展開

（札幌市 2023-07-31付）

道教大附属札幌中　夏季研究大会

自他往還する授業展開

１年社会　多様な面から表現

　道教育大学附属札幌中学校（萬谷隆一校長）は２６日、同校で５年度夏季教育研究大会を開催した。研究の目的「“自他”を往還し、批判的・創造的に学ぶ生徒の育成」のもと、８授業を公開。１年生社会では、これまでの学びの蓄積をもとに、古代の日本について多様な面から表現させる授業を展開した。

　同校は、４年１月から研究の目的に「“自他”を往還し、批判的・創造的に学ぶ生徒の育成」を掲げており、昨年８月から２年次目の研究に取り組んでいる。

　研究目標には①各教科・領域をつなぐカリキュラム・デザインの構築②既習と未習を意識的につなぎ合わせ、自他の思考を吟味しながら課題解決へ向かう授業の実践③研究目標①と②による変容の質的・量的な分析と検証―の３点を設定している。

　公開授業のうち、１年Ｂ組社会「古代までの日本を大きくながめて」（生徒数３６人）は成田芳教諭が指導。これまでの学びの蓄積をもとに、古代までの日本について多面的に捉え表現する活動を設定した。

　生徒たちはこれまで「弥生時代や古墳時代の日本」「飛鳥・奈良時代の日本」「平安時代の日本」など、古代における時代ごとの学習内容を“振り返りシート”にまとめ蓄積している。本時では、生徒たちが特定の時代に偏ることなく、古代日本を大きく捉えて表現できるよう振り返りシートを活用した。

　成田教諭は、本時の活動について、歴史の教科書を執筆することになったと仮定し「見開き２ページで古代の日本について紹介しなければならない」と説明。その上で「古代の日本について表すためには、どのような内容に着目すると良いのだろうか」と課題を提示した。

　生徒たちは、振り返りシートを見直しながら重要だと思う出来事やキーワードを考え、３つのトピックを設定。グループ交流に移り、それぞれ設定したトピックの違いがどのような背景で生じたのか検証した。

　グループ交流で気付いた点を全体で共有。成田教諭は「時代ごとの出来事を書いた人と、現代との変化に着目して書いた人に分かれていた」「縄文時代と弥生時代をどう捉えるかに違いがあった」などの発言を価値付け、多様な面から古代を捉えられるよう促した。

(札幌市 2023-07-31付)