文科省　リーディングＤＸ夏季学習会　端末活用で新たな学び　鹿児島など３市が事例発表

（国 2023-08-23付）

文科省リーディングＤＸ夏季学習会

　文部科学省は９日、札幌ユビキタス協創広場Ｕ―ｃａｌａでリーディングＤＸスクール事業夏季学習会を開催した。鹿児島など３市の教育関係者が１人１台端末とクラウド活用の先進事例を発表。道内の教育関係者約３０人が参加し「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実の考え方や実施体制のポイントを学んだ。

　研修会は札幌、東京、大阪、福岡の全国４会場で順次開催した。

　開会に当たり文科省学校デジタル化プロジェクトチームの酒井啓至課長補佐は、端末の活用状況や持ち帰り状況の地域間格差、教員の意識差などの課題に触れ、研修会が改善の一助となるよう期待した。

　続いて実践発表。鹿児島市教委学校ＩＣＴ推進センターの木田博所長は、児童生徒自ら最適なツールを選択しながら課題解決に取り組む市内小・中学校の授業を紹介した。学びに向かう力や人間性など非認知能力を可視化する分析ツールも取り上げ、既存の見方や価値観にとらわれることなく、目的に向けて挑戦する姿勢の大切さを説いた。

　新潟市立大野小学校の片山敏郎校長は、学習支援ツールを子どもたちが適宜選択して多様な学びを実現する実践を取り上げた。授業改善と働き方改革の両輪で教育のＤＸを進める必要があるとし、クラウドを活用した授業実践や行事予定の情報共有など業務改善の取組を伝えた。

　春日井市教委教育研究所の水谷年孝教育ＤＸ推進専門官は、生徒自ら課題解決の方法を模索し、個別の学びや協働的学びなど多様な学びが同居する市内中学校の授業風景を紹介。効率的なコミュニケーションのためチャット機能を必須とし、活用の初期段階における適切な指導の大切さを伝えた。

　また、一斉指導からの脱却によって指導案が簡略化するなど業務改善の効果も伝え、日常における積極的なＩＣＴ活用や模擬授業など体験の重要性を説いた。

　質疑応答では校務用パソコンによるクラウド利用の実態を共有。情報セキュリティーの関係上多くの自治体が分離システムで運用している一方、春日井市や鹿児島県では活用のためのルールを定めていることが分かった。

　実践発表後、東京学芸大学教育学部の高橋純教授が講話。一般的なソフトウエアやクラウドをフル活用するというＧＩＧＡスクール構想の趣旨や、これからの資質・能力の育成には端末を用いた学びが必要であることに触れ、参加者は端末を活用して情報を整理・共有し、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に向けて考えを深めた。

(国 2023-08-23付)