文科省 義務教育の在り方WG 遠隔特例校の実践発表 情報活用能力育成へ 幌延問寒別中
(国 2023-08-31付)

 文部科学省が設置している義務教育の在り方ワーキンググループの第8回会議が24日、同省で開かれた。3年度から遠隔教育特例校の指定を受けている幌延町立問寒別中学校が遠隔教育の取組を発表。受信側、配信側の生徒同士で遠隔でのコミュニケーションの方法を工夫するなどして情報活用能力の育成につなげていることなどを報告した。

 文科省は、4年10月に義務教育の在り方ワーキンググループを設置。Society5・0時代に向けた社会変化の加速度的な進展や学校を中心とする学びの在り方の基本的な考え方を整理するとともに、1人1台端末等の活用を含めた多様で柔軟な学びの具体的な姿を明確化するため、これまで議論を重ねてきた。

 オンラインの活用に関わっては「山間地域や離島等の小規模校では、オンラインの活用によって地理的・空間的制約を乗り越えることができ、協働的に学ぶ上で有効」「オンラインは今後さらに当たり前のインフラとなる。学校に登校して学ぶというこれまでの原則に加えて、オンラインでの学びをどのように活用すると有効か、議論が必要」などの意見が上がっている。

 24日に開いた第8回会議では、道教委と幌延町教委が「北海道の小規模校における遠隔教育特例校制度を含めたオンラインの活用」をテーマに実践発表した。

 北海道の北部に位置する幌延町には、幌延小学校、幌延中学校と約30㌔㍍離れた問寒別小中学校の3校がある。3年度から問寒別中が遠隔教育特例校制度における「遠隔教育特例校」の指定を受け、遠隔授業の配信校となる幌延中と連携し、特別の遠隔教育を実施している。

 会議では、担当者が4年度遠隔教育特例校としての取組を報告。通年での遠隔授業のほか、月1、2回、対面での合同授業を実施していることや、小学校道徳の合同授業や合同行事前の事前交流、中学校国語の合同授業などで幌延地区と問寒別地区の学校の遠隔教育を日常的に実施していることなどを伝えた。

 受信校の問寒別中では「社会科で配信側の画面共有等の工夫によって対面授業と同様の授業が行われ、生徒が配信側の教員に質問できる」「対面での合同学習だけではなく、配信側の生徒と交流できる」などの成果を報告。配信校の幌延中では「配信校の受信側、配信側の生徒同士で遠隔でのコミュニケーションの方法を工夫するなど、情報活用能力の育成につながっている」「同じ授業を受けられ、配信側の生徒と意見の交流ができるので、学習意欲が高まる」などの利点が上がっていることを伝えた。

 道教委は、町内における小規模校同士の取組を進める別海町や、近隣村間における小規模校同士の取組を推進する神恵内村と泊村、深川市と岩見沢市の他市間における小規模校同士の取組、東神楽町の同町内における中学校と小学校の取組などを報告した。

 また、道立高校の小規模校化の課題に対応するため、3年4月に開設した遠隔授業配信センターを紹介。道内の小規模高校に授業の配信等を行うなど、教育課程や教育活動の充実を図り、多様な進路を目指す各地の高校生をサポートしていることを伝えた。

(国 2023-08-31付)

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