文科省6年度予算概算要求案 端末更新に148億円 教科担任制前倒し 支援員増員も
(国 2023-08-29付)

 文部科学省は6年度予算概算要求案をまとめた。小・中学校の1人1台端末の更新費用として148億円を盛り込むほか、小学校高学年の教科担任の加配人数を前年度の約2倍に増やすなど、学校の指導・運営体制の充実に必要な経費を求める。教員業務支援員の配置人数は前年度の約2倍に拡充するほか、副校長・教頭をサポートするマネジメント支援員の新規配置も計画。主任・管理職手当の改善のための予算も求め、働き方改革の加速化とともに、教員の処遇改善や育成支援を重点に予算を編成する計画だ。

 6年度予算の要求・要望額は前年度比11・6%増の5兆9216億円。このうち文教関係が8・9%増の4兆3759億円、科学技術関係が21・2%増の1兆1859億円となっている。

 教職員定数の改善には5910人を要求。小学校高学年における教科担任制(外国語、理科、算数、体育)は前年度の約2倍となる1900人の定数改善を求め、4~7年度の計画で進める予定を1年前倒して完了させる。

 小学校における35人学級の計画的導入も進め、定数改善には3610人を見込む。また、定年引き上げに伴う特例定員として約4800人の活用を図ることで小学校の35人学級や通級指導などの基礎定数化を推進する。

 中教審で検討を進めている教員の給与体系の改善に関しても先行して経費を求め、主任・管理職それぞれの手当の改善に各4億円を措置し、7年1~3月分の給与に反映させる計画を示した。

 教員業務支援員は5年度の約2・1倍となる2万8100人に、学習指導員は約1・2倍の1万3800人にそれぞれ拡充するほか、新たに副校長・教頭マネジメント支援員を2350人配置するために17億円を要望する。退職教員、教育委員会勤務経験者、民間企業の事務経験者を活用し、勤務管理事務の支援、施設管理、保護者・外部との連絡調整、学校徴収金の会計管理などの業務を担う予定。

 教員の確保に向けては、教育委員会と教員養成大学が連携・協働した取組を支援する新規事業を計画しており、大学入学者選抜における「地域教員希望枠」の導入、地域課題に対応したコース・カリキュラムの構築、高校生を対象とする特別プログラムの構築・拡充を図る。教職課程を設置する国公私立大学35ヵ所を選び、1~5年間かけて補助を行う計画だ。

 GIGAスクール関連では、1人1台端末のうち児童生徒全体の3分の2台分と予備機の更新のために148億円を要望する。端末の利活用が進むにつれ故障の増加やバッテリーの耐用年数が迫るなど、一部の自治体では6年度中に更新を要するため。補助額はGIGAスクール構想開始時と同様に1台4万5000円を上限に定額措置し、今後3、4年程度をかけて計画的に更新を進める考え。また、インターネットの遅延・不具合を解消するための全国的なネットワーク診断や、生成AIの校務利用に向けた実証研究などの新規事業の開始を見込む。

 いじめ・不登校対策の新規事業をみると、全国の学校で端末を活用して心身の健康を観察する仕組みを導入するほか、保護者への相談支援など総合的拠点機能の形成に向けた調査研究を開始する。

 不登校特例校の全国的な設置促進を図るとともに、校内教育支援センター(スペシャルサポートルーム)を全国3600校に設置するための経費を新たに措置する。

 部活動の地域クラブ活動への移行に向けた実証事業には前年度の約2・4倍となる27億円を要望。運営団体・実施主体の体制整備など従来の補助を継続するほか、先導的に取組を進める「重点地域」の指定を開始。移動手段の確保や民間資金の活用など政策課題への対応を推進する。

(国 2023-08-29付)

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