道ＮＩＥ推進協第７回セミナー　効果的な新聞活用探る　３校の授業実践発表など

（関係団体 2023-08-24付）

　道ＮＩＥ推進協議会（菊池安吉会長）は８月上旬、札幌市内の道新本社ビルを主会場にＮＩＥ第７回北海道セミナーをオンライン開催した。会場、オンラインを含め４２人が出席。田中学園立命館慶祥小学校、旭川市立明星中学校、浦河高校による実践発表やグループ討議を重ね、新聞を活用した効果的な授業方法などについて研鑚を積んだ。

　冒頭、主催者を代表して菊池会長があいさつ。千葉県や鹿児島県からの参加者にも触れ「活発に意見を交換して、北海道のＮＩＥの力を共有してほしい」と呼びかけた。

　実践発表では、立命館慶祥小の山形昇平教諭が情報検索能力や情報リテラシーを養う情報活用教育の一環として、ニュースに接する習慣づくりを紹介。１～４年生を対象に、記事データベースを活用し、日常的な学びに関連する新聞記事を探す実践を説明した。

　４年社会「郷土の伝統・文化と先人たち」では、地域を紹介するパンフレットを作成する際、副読本には書いていなかった情報を記事から発見できたという。

　実践を通して、新聞から情報を入手する力を身に付けさせることができた一方で、学習内容との関連を見いだすことが難しい点や、全校的・計画的に実践していく必要性などを報告した。

　明星中の大島泉教諭は、２年生を対象に社会科地理的分野での実践を発表した。千歳市に進出するラピダス社の半導体工場を題材に、学習課題「北海道で工業が発展する可能性はあるだろうか」を設定。関連する３つの記事を提示し、千歳市が候補地として選ばれた背景や工場地として決定した理由などを考察させた。

　データベースの速報性や豊富な情報量を成果としつつ、新聞を読み慣れていない生徒数が多かったこと、見出しの捉えにくさなどの課題を共有した。

　浦河高の佐藤友洋教諭は、社会との関わり方を考えさせる総合学科の趣旨から、全学年で週２回、記事データベースから教材を作成し、漢字の読み書きやグラフの読み取り、主催者の意図などを問う朝学習に活用していることを紹介した。

　公民科「公共」では、難民問題に関する複数の記事を提示し、現状把握や自分にできることを考察させたり、総合的な探究の時間では、過疎化・高齢化問題を和らげるための社会的価値のある提案を考えさせたりと教科内でも積極的に活用している。企業研究や大学研究にも応用し、進路学習の一環としても活用している例を示した。

　グループ討議では、一組６人前後に分かれて、自校での取組や児童生徒が日頃新聞に触れるために必要な対策などを意見交換した。図書館を活用する方法やコラムを書かせる取組などを話題に、授業における新聞の効果的な活用を協議した。

　同協議会の髙辻清敏顧問は講評で「本日学んだＮＩＥや新聞活用の魅力についてあらゆる場面で広めてほしい」と呼びかけた。

(関係団体 2023-08-24付)