札幌市小学校長会4年度研究成果 研究集録から 第10回 人材育成部・中(札幌市 2023-08-28付)
【2年間の取組】
▼人材育成の方向性を示す(環境づくり)
人材を育成することは、校長の大きな役割である。しかし、問題が生じたときに、対処療法的に行う、成果が期待できそうな取組を網羅的に行うということの連続で、成果を実感できないということもあるのではないだろうか。また、学校によって課題は様々で、人材育成の考え方や取り組み方も多岐にわたっている。
そこで、人材育成部では、札幌市の教育の重点を学校を客観的に見つめ直すための指標として、学校課題を整理し「学校課題の解決を進めるために人材を育成する」と捉え、研究を進めていくこととした。
「学ぶ力の育成」を課題とした学校では「ICT分野」に力点を置き、人材を育成する取組を行うこととし、ICT活用に関わる情報を校長から積極的に配信した。個別最適化を意識したICTの活用は、学力向上だけではなく、教職員の業務の効率化、円滑な情報発信による家庭や地域との連携強化につながっている。これらの取組が、教職員に新しい発想を生む素地を育てることとなった。
「特別な配慮を必要とする子どもへの教育」「授業力の向上」を課題とした学校では、教職員の主体性の発揮を促し、人材育成を行っている。
特別支援コーディネーターを柱とし、特別支援に関わる実践を研修で学ぶことができるようにし、対応力の向上を試みた。また、同時に授業実践をデータベース化し、日々活用することが、授業力の向上につながった。このように札幌市の教育の重点を指標とし、学校の現状や課題を考えながら、何を重点に置き人材育成を進めていくか、その方向性を示すことは、校長の大きな役割である。
▼人材育成(教師集団への関わり)
校長は、自校の教職員を個として、集団としてという2つの指標から評価し、学校課題を設定していると考える。個の力はあるが、集団としてのまとまりが弱く改革や改善が進まない学校では活性化という視点で組織づくりを行う必要がある。また、集団としてのまとまりはあるが、個の力が弱い場合は、研究や研修を通して個の育成を図り、より強固な組織づくりを行う必要がある。
人材育成部では「組織づくり」と「研究・研修」という視点で実践交流を行ってきた。各校の実践を交流する中で、組織力をより向上させるキーワードとして「機能性・機動性・活性化」の3つが挙げられた。
部の交流の中では、様々な事例が挙げられた。どの事例においても、一人ひとりの主体性を引き出すための組織の編成、参画意識を高めるための業務の精選、自己研鑚を促す仕組みづくりに校長の関わりが見られた。校長は、教職員の個性や特技、人柄などを考慮しながら持ち味を発揮させ、組織力を高めることで人材育成につなげていくことが大切である。
▼人材育成(教師個人への関わり)
教師個人への関わりを考える上で、部では教員育成指標に着目し、その中で示されている大きな2つの観点、「学習指導力」「生徒指導力」について交流を進めた。「学習指導力」を育成するためには、実態把握のために授業観察が欠かせない。教師の指導力を観察しつつ児童の力を把握し、児童を支援していくという立場で関わることが効果的である。
経験年数の浅い教員が増加傾向だが、校長は、誰をどのように関わらせるかという方向性を早めに示し、長期的な視野で育成を進めていくことが大切である。
「生徒指導力」についてだが、ここ数年、支援を要する児童の数が増えている。目の前の子どもの姿だけではなく、家庭環境などのバックボーンを踏まえて関わる力が必要である。教師個人の対応力を育てるとともに、チームで対応しながら、個人の危機管理意識や対応力を育てていくことが必要である。育成指標は改定が重ねられ「学習指導」「生徒指導」「マネジメント」のほかに教育課題への対応として、「特別支援教育に関する専門性」「ICT活用能力」が加えられている。長期的なビジョンでバランス良く教職員の資質を向上させていくことが今後大切になる。
(札幌市 2023-08-28付)
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