学校力向上へ事務職員情報交流会 学び合う雰囲気が大切 道教委 国研・藤原氏が講演
(道・道教委 2023-08-30付)

学校力向上事務交流会
道教委・学校力向上事務交流会

 道教委は24日、道庁別館を主会場に学校力向上に関する総合実践事業第1回事務職員情報交流会をオンラインで開催した。国立教育政策研究所初等中等教育研究部長の藤原文雄氏が「学力・ウェルビーイング向上に向けた学校事務職員の職務」をテーマに講演。誰もがリーダーシップを発揮するための校長が果たすべき役割や、学校事務職員の学校経営への参画意識高揚、他の優れた実践を職場内に還元する意識の重要性を説いた。

 道教委は、平成25年度から学校力向上に関する総合実践事業を開始した。管理職のリーダーシップのもと、全教職員が一丸となって包括的に学校改善を推進。実践の成果を普及・啓発することで、本道の小・中学校の学校力向上を図っている。

 本年度は、新規7地域を含む28地域を指定。中核校28校、指定校79校において「ICT活用」「働き方改革」の2点に関する取組を進め、今日的な教育課題の解決に資する学校モデルの構築を目指す。

 事業の重要性を鑑み、学校事務職員の学校経営への参画意識高揚、学校事務の共同実施等による業務の効率化に関する共通理解を図るため、新たに事務職員を対象とした情報交流会を企画した。

 この日は、全道の中核校・指定校、希望する事務職員や、指定地域の教育委員会職員、校長ら370人余りが参加した。

 国研の藤原氏が「学力・ウェルビーイング向上に向けた学校事務職員の職務~優れた教訓・理論の共有による学校改善」と題して講演。6月に閣議決定された新たな教育振興基本計画で示されたコンセプト「社会の創り手の育成」「ウェルビーイングの向上」を挙げ、これらの実現に向けて教職員のウェルビーイングを高める必要性を示した。

 その上で、学校力向上事業に必要な要素として①地域全体の公正で質の高い教育の実現に責任を負う校長②優れた実践や教訓を自校で活用できるスキル③みんながリーダーシップを発揮し学び合う学校づくり―の3点を強調した。

 校長が果たすべき役割について「教師や事務職員を応援したり、後押ししたりする仕組みや雰囲気をつくることで、様々な人が力を発揮する信頼関係に満ちた職場づくりにつながる」と説明。GIGAスクール構想導入期において、ICTに長けた若手教員が活躍したことを例に「状況に応じて様々な人材がリーダーシップを発揮するために、学び合う雰囲気をつくることが大切」と説いた。

 全国学力・学習状況調査の経年分析から、みんながリーダーシップを発揮することで得られる“リーダーシップ総量”が高い学校は「学力が上昇し続ける傾向にある。校長だけが頑張る学校は決して良い学校とは言えない」と訴えた。

 学校事務職員は、教育資源の最適活用を担う「リソースマネージャー」と定義。平成29年の学校教育法改正によって、事務管理や校務運営への参画が求められていることを指摘し「教員とコミュニケーションを図ることができる教育的素養が必要」と呼びかけた。

 そのためにも「理論や政策を学び自校の実態に即して適用する」「日々の実践で教訓を獲得し、優れた実践を共有する」ことの重要性を訴えた。

 一方で、学校事務職員の資質・能力向上には「校長の影響が大きい」と指摘した。成果が見えにくい業務を価値付けることで「事務職員の意欲を高めることにつながる」と説明。業務改善の推進に向けては、校長や教育委員会の理解・支援が大きく影響していることを強調した。

 このあと、中核校・指定校の事務職員らが情報交流。講演で得られたこと、自校・指定地域での取組などについて意見を交わした。

(道・道教委 2023-08-30付)

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