十勝版デュアルシステム実証事業 学びと職業の関係実体験 高校生が3コースで企業実習
(道・道教委 2023-08-30付)

デュアル実証事業上
デュアル実証事業①

 【帯広発】十勝教育局と十勝総合振興局が進める新たな企業実習制度「十勝版デュアルシステム」実証事業が、8月上旬から管内各所で行われた。管内の高校生6人が経営ビジネス・起業やSDGsなどに関する3コースに分かれて実習。生徒たちは実習で得た学びをもとに、今後の学習や日常生活に対する意識や探究心を高めた。

 事業は、十勝局と十勝総振局が連携し、3年度から3ヵ年計画で推進している「十勝人材育成プロジェクト」の一環で、高校生を対象に、実践的で高度な知識・技能の習得と勤労観・職業観等を醸成するもの。十勝の将来を担う人材を育成することを目的とし、インターンシップとは異なり、体験内容と学問につながりを持たせるよう意識している。

 本年度は「学業と職業のつながりを実体験!」をテーマに据え、コース設定を一新。社会経済・金融コース、経営ビジネス・起業コース、SDGs(ゼロカーボン・パートナーシップ)コースを用意。管内企業等11者が協力した。

 7月下旬には事前学習をオンラインで2回実施。うち1回は初の試みとして、協力企業等と生徒が交流し、参加した経緯や学びたいことを共有した。

◆地域の課題解決へ 経営・起業コース

 実習は今月上旬から各所で行われた。

 イノベーションや起業家精神を学ぶ「経営ビジネス・起業コース」では、課題発見・解決プログラムに参加する高校生や管内の起業家と交流。最終日は、公益財団法人とかち財団の小田晃一郎さんが講師を務め、地域課題をビジネスで解決する視点を学んだ。

 小田さんはビジネスに関して「解決しなければならない課題を、収益を得ながら解決すること」と説明。貧困推定率や人口密度が高い発展途上国において、衣料品ブランドの立ち上げによって労働環境を生み出した日本人経営者や、十勝管内で地域課題の解決に企業の創意工夫やその背景を紹介した。

 続いて、管内および帯広市内の課題を考え、ビジネスによって解決する方策を考える演習を実施した。参加者2人は「若年層が遊ぶ場所が少ない」「進学や就職によって管外に転出する人が多い」など、高校生の目線で地域課題を抽出。小田さんは「課題を具体的に考えて焦点を定めないと、ビジネスにつながりにくい」とアドバイスを送った。

◆事後学習で 成果を確認

 実習の全日程を終え、今月21日には事後学習がオンラインで開催された。十勝版デュアルシステムの目的や内容等を振り返り、生徒自身が実習の効果を認識することで今後の学校生活に生かすことが目的。

 社会経済・金融コースに参加した生徒は金融機関や郵便局等での実習を通して「金銭面での関わりだけではなく、企業と地域の深いつながりを感じた」「社会に出てからも学び続け、知識を応用して実践を積み重ねる姿を見て、本物の知識の活用方法を肌で感じた」と話した。

 SDGsコースに参加した生徒は「企業の取組が世界につながっていることが分かった」「職種によって環境のためにできることが異なり、業務と環境のつながりを発見する視点を学んだ」と振り返った。

 経営ビジネス・起業コースに参加した生徒からは「起業の発端に課題発見があることが分かり、自分も身近にある課題を見つけられるよう心がけたい」「決断力や行動力に加え、人に考えや思いを伝える説明力の大切さを実感した」などの声が上がった。

 生徒間交流では、今後力を入れて学びたい教科や学校生活等について話し合った。生徒の一人は「社会科を深く学び、世界の歴史や情勢を知ることで、今後の課題発見・解決につなげたい」と、学習面への意欲や探究心を高めた。

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デュアル実証事業下
デュアル実証事業②

(道・道教委 2023-08-30付)

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