道立生涯学習推進センターが研修会 地域全体で課題解決を 地域スポーツ推進テーマに
(道・道教委 2023-08-29付)

社会教育スキルアップ研修会
社会教育スキルアップ研修会

 道立生涯学習推進センターは22日、第1回社会教育スキルアップ研修会を開いた。道教育大学岩見沢校の山本理人キャンパス長が、地域におけるスポーツ推進に向けて講話。グループ討議では、各地域の実情や今後の見通しを意見交換し、部活動改革や地域活性化について理解を深めた。

 「地域におけるスポーツの推進~生涯にわたりスポーツに親しむために」と題した今回は、健康で豊かな地域づくりを目指して生涯学習・社会教育の視点からスポーツ振興について学ぶことを目的としており、今回が初の開催となった。全道から教職員や社会教育関係者ら10人が出席した。

 開会に当たって、伊藤直人センター長は各地域に応じた課題対応、日頃の悩みや疑問点などの情報交流を通じて「スポーツに対する知見と交流を深め、今後の業務の充実に生かして」と述べた。

 続いて、道環境生活部スポーツ局の古野健太郎主査が本年度から運用を開始した第3期道スポーツ推進計画の概要を説明。道ならではの特色を生かしたスポーツによる地域活性化と共生社会の実現などの5つの基本方針や各到達目標などを解説した。

 つぎに、道教育大岩見沢校の山本キャンパス長が「地域におけるスポーツの推進に向けて、生涯学習・社会教育が取り組むべきこととは」と題して講演した。

 スポーツの歴史的変遷を振り返り「運動を楽しみ、気を晴らす」というスポーツの意義を示した。障がいの有無や年齢を問わず、誰もが楽しめる競技として、ゆるスポーツや超人スポーツ、eスポーツ、サイバスロンなどの具体例を挙げながら、青少年を取り巻くスポーツ環境が多様化している傾向を指摘した。

 部活動改革の現状と課題も整理。岩見沢市を参考事例に、少子化が進行した影響で運動部活動の加入率が低下傾向にあることや、生徒が部活動に希望する運動が多様化していること、大会引率や指導に係る教員の休日負担や競技専門性などの論点を並べた上で「運動部活動自体の問題として捉えるだけではなく、運動部活動を含めた青少年に関わるスポーツ環境の問題として捉えることが重要」と強調した。

 また、日本では部活動・クラブ活動を学校が中心として運営する一方で、欧米圏では地域を中心に運営する国が多いことを踏まえて、海外における事例から地域中心型モデルの参考を示した。「生涯を見据えた長期的な視点が根底にある」とし、積極的に複数の種目に触れること、ポジションなどの専門化や選抜チームの廃止、シーズン制、身体に悪影響を及ぼすと考えられるプレーの禁止などを紹介した。

 山本キャンパス長は「スポーツの価値をあらためて考える機会。子どもたちを巻き込みながら地域全体で課題の解決に取り組んで」と締めくくった。

 情報交流会では、各市町村の地域移行に関する進行状況や、部活動改革の困り事などを共有した。移動手段の保護者負担が大きいことや運動競技団体との関連性、財源確保策が不透明であるとの声などが上がった。

 今後の部活動の在り方に関しては、競争を前提とした勝利重視への懸念、ニーズを踏まえ幅広く参加できるスポーツ環境構築の重要性などについて意見交換。

 あるグループでは、清水町において部活動・少年団活動に参加する児童生徒に対する無料送迎バスを運行している事例や北見市によるカーリング授業導入支援事業が話題に上がった。

(道・道教委 2023-08-29付)

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