特セン 自立活動研修講座　指導充実へ分類把握を　川口短大･井上教授講演など

（関係団体 2023-09-06付）

道立特別支援教育センター　自立活動研修講座

　道立特別支援教育センター（今井章文所長）は８月２４日と２５日、同センターで自立活動研修講座を行った。初日は、川口短期大学こども学科の井上昌士教授が基調講演し、自立活動の内容と各教科の内容との関連性を探った。参加者が持参した指導計画案を検討する演習を通じて、一人ひとりの障がいに応じた指導力の向上を図った。

　自立活動の意義について理解を深め、指導内容の設定や効果的な指導の在り方、各教科等と関連させた指導を行う上で必要な知識を学ぶことを目的としている。全道各地の教諭５８人が受講した。

　初日は、井上教授が基調講演。「自立活動の意義を踏まえた効果的な指導の在り方」と題して、適切な実態把握のもとに具体的な指導目標の設定、指導の充実に向けた連携・協働体制の構築が欠かせないことを訴えた。

　はじめに、学習指導要領によれば、自立活動は特別支援学校の教育課程において特別に設けられた指導領域として位置付けられていること、自立活動の意義が「障がいによる学習上または生活上の困難を主体的に改善・克服しようとする取組を促す教育活動」としていることを紹介。子どもを理解する上で、子どもが見せる姿の背景や事情を調べ、個に応じた対応に努める重要性を説いた。

　つぎに、学習指導要領上の自立活動に関する要点や流れ図作成のコンセプトを整理しながら、自立活動の内容と各教科の内容との関連性を探った。

　具体的には、知的障がいのある自閉症の児童を想定。○、△、□の羽目板を使って同じ形をマッチングできるとき「時間の指導と捉えると自立活動のどの区分の項目で設定できるか？別のアプローチはあるか？」という視点から、小学部算数科１段階Ｂ「数と計算」や２段階Ｂ「図形」としての展開例を示した。「自立活動の内容は教科の目標を達成するために教科別の指導の中で加えて指導すべき」と述べた。

　また、指導を充実させるためには「自立活動の内容を分類する６区分２７項目を正確に把握する必要性がある」と強調。連携・協働体制の構築には、専門的な知識や技能を有する教師を中心として、全教職員の協力や外部専門家との連携を図るよう呼びかけた。

　続いて、自立活動の個別指導計画作成上のポイントを踏まえて、参加者が持参した計画案を検討する演習を行った。学びの場別の部会に分かれ、意見交流や方策を検討。井上教授は「指導計画は個別に作成することを基本として、最初から集団で指導することを前提とするものではない」ことを確認した。

　２日目は、代表教諭が自立活動の実践と課題を発表。改善と充実に向けて協議した。

　１１月２２日には、遠隔での事後研修を予定している。

(関係団体 2023-09-06付)