子が主語の学校教育へ 道研連 第78回研究発表大会
(関係団体 2023-09-13付)

第78回道研連研究発表大会
第78回道研連研究発表大会

 【帯広発】第78回道教育研究所連盟研究発表大会(十勝大会)兼第65回全国教育研究所連盟道地区研究発表大会が8月31日から2日間、幕別町内の十勝教育研修センターおよび百年記念ホールで開かれた。オンラインを含め、全道から延べ350人が参加。基調講演や分科会等を通して、道内教育の充実・発展とともに、所員および研究員、教職員の資質向上に向けて研鑚を積んだ。

 開会に当たり、道教育研究所連盟を代表して、道立教育研究所の中澤美明所長が登壇した。令和の日本型学校教育を担う新たな教師の学びの姿が求められていることに触れ「教育研究・研修を推進する中で、教育研究所および教育研究センターの役割は極めて重要」と強調。「大会参加によって、皆さん自身が“主体的・対話的で深い学び”を実現してほしい」と呼びかけた。

 全国教育研究所連盟の瀧本寛委員長に代わり、国立教育政策研究所初等中等教育研究部副部長の白水始統括研究官があいさつ。GIGAスクール構想の推進等を踏まえ、6年度の全国学力・学習状況調査から順次CBTを導入することを伝え、関係業務への理解と協力を求めた。

 十勝教育局の新山知邦局長は「各地域の教育の専門機関として、教師の資質・能力の向上、新たな教師の学びの姿の実現に向けて果たす役割は非常に大きい」と強調。広域分散型で小規模校が多い道内教育の課題を踏まえ、研修機会の確保や人材育成の充実に期待を寄せた。

 続いて、十勝教育研究所の山本由佳所員が、道研連に加盟する機関の所員等による共同研究に関して説明。5年度から始動した第18次共同研究「一人一人の子どもを主語にする学校教育の実現に向けて」においては「全ての子どもたちの可能性を引き出す“個別最適な学び”と“協働的な学び”」「子どもの成長を支える連携・協働体制の構築」の2点から研究を進めていることを説いた。

国研の白水氏講演 子の解き方考えて

 記念講演は、国立教育政策研究所の白水統括研究官、廣谷貴明教育政策・評価研究部研究員が登壇。授業実践と環境整備の2つの観点から講演した。

 うち白水統括研究官は、全国学力・学習状況調査を活用した体験型研修を提供した。調査結果を最大限に生かすため①問題を解いて趣旨を読み解く②結果を参考に児童生徒の解き方・考え方を理解する③解釈を仮説として同様の問題を用いて検証する④日々の指導改善・充実に役立つアイデアを出し合う―の4点を提示。「平均正答率を見ても、問題を解答する子どもの思考過程は分からない」「結果を解釈して仮説を立て、児童生徒の解き方から気付きを得ることが、指導改善・充実の根幹をなす」と伝えた。

 また、実際に問題を解き、大問の意図や各小問の相違点などを参加者間で交流。結果の見方を補足するため、クロス集計や正答数別類型割合などの統計手法に関して説き、一人ひとりの子どもを主語にする授業の具体案を提示した。

 2日目は「“個別最適な学び”と“協働的な学び”の充実に係る取組」「教職員の学びや働き方を支えるICT活用の在り方」の2テーマで分科会を実施し、同時に所長研修会を開いた。

この記事の他の写真

第78回道研連研究発表大会講演
第78回道研連研究発表大会講演

(関係団体 2023-09-13付)

その他の記事( 関係団体)

渡島管内いじめ問題等対策連絡協 子のSOS早期発見へ 自殺予防など見守り体制考える

渡島地域いじめ問題対策等連絡協議会  【函館発】渡島管内地域いじめ問題等対策連絡協議会は11日、渡島合同庁舎で第1回会議を行った。子どもの自殺予防やSOSの早期発見に向け、多様化する悩みに寄り添い、見守るための具体的な体制づく...

(2023-09-15)  全て読む

十勝管内中高特連絡協が研究協 指導の充実へ70人研鑚 3校長の提言発表や分科会

管内中高特連絡協議会研究協議会  【帯広発】十勝管内中学校・高校・特別支援学校連絡協議会(会長・須藤克志帯広柏葉高校長)は4日、幕別町内の十勝教育研修センターで研究協議会を開いた。各校種の校長約70人が参加。提言発表や分科...

(2023-09-14)  全て読む

道労働局 6年3月新規高卒者 求人倍率 過去最高2・92倍に 求職者11・3%減5346人

新規高卒者職業紹介状況の推移表  道労働局は、6年3月新規高校卒業者の求人・求職状況(7月末現在)をまとめた。求職者数は前年同月比11・3%減の5346人、求人数は7・2%増の1万5630人。道内求人倍率は0・5ポイント上...

(2023-09-14)  全て読む

道高教組・道教組が声明 民意反映した指針策定を 高・特配置計画決定受け

 道高教組(尾張聡中央執行委員長)と道教組(中村哲也執行委員長)は、道教委が示した2024~26年度における公立高校配置計画および24年度公立特別支援学校配置計画に対する声明を発表した。「数...

(2023-09-14)  全て読む

意思疎通など大切 旭工高生 建設企業で就業体験

旭工高の原田さん田中組でインターンシップ  【旭川発】旭川工業高校(稲津誠校長)建築科2年の原田望生さんは6日から3日間、建設企業の(株)田中組旭川支店(鈴木聡支店長)でインターンシップに臨んだ。座学や測量などの実習を通して建設業の...

(2023-09-14)  全て読む

帯教研 大妻女子大・樺山教授講演会 「学びの文脈」意識して 個別最適、協働的な学びへ

帯広市教育研究会教育講演会  【帯広発】帯広市教育研究会(川上裕明会長)は6日、帯広市民文化ホールで教育講演会を開いた。大妻女子大学の樺山敏郎教授が「個別最適な学び・協働的な学びを実現する実践プラン」と題して講演。学び...

(2023-09-13)  全て読む

働く車 かけるかな タイヤショベル題材に写生会 赤平小

赤平小写生会  【岩見沢発】赤平市立赤平小学校(疋田博和校長)は8月下旬、同校でタイヤショベルを題材に写生会を実施した。地元企業・植村建設㈱が授業に協力し、重機を用意。4年生45人は地域を支える働く車を観...

(2023-09-13)  全て読む

道教育振興会が教育フォーラム ポジティブな心構えを ストレスマネジメント主題に

みんなの教育フォーラム  道教育振興会(濱田美樹会長)は5日、札幌市立中島中学校を主会場として第27回子育てを深めるみんなの教育フォーラムをオンライン開催した。ココロの塾「笑華尊塾」代表の塩谷隆治氏が「誰でもできる...

(2023-09-12)  全て読む

道小 教育研究渡島・北斗大会 学校改善と教育質向上へ 4年ぶりに分科会参集開催

 【函館発】道小学校長会(森田智也会長)は8日から2日間、北斗市総合文化センターかなで~るを主会場に、第66回教育研究渡島・北斗大会を開催した。大会主題「自ら未来を拓き ともに生きる豊かな社...

(2023-09-12)  全て読む

デジタル教科書起点に新サービス こども未来教育協が発足 教科書ポータル 6年3月開始

 6年度からのデジタル教科書の本格導入を見据え、教科書発行者や教育ICT関連事業者6社による「こども未来教育協議会」が6日に設立された。参画企業が連携してデジタル教科書を起点に学びをつなぐ新...

(2023-09-11)  全て読む