渡島管内いじめ問題等対策連絡協 子のSOS早期発見へ 自殺予防など見守り体制考える(関係団体 2023-09-15付)
渡島地域いじめ問題対策等連絡協議会
【函館発】渡島管内地域いじめ問題等対策連絡協議会は11日、渡島合同庁舎で第1回会議を行った。子どもの自殺予防やSOSの早期発見に向け、多様化する悩みに寄り添い、見守るための具体的な体制づくりを協議。学校、行政、PTA等それぞれの立場で実施している取組や課題を共有した。
開会に当たり、会長を務める山下幹雄渡島教育局長は、全国的にも不登校児童生徒数やいじめ認知件数が増加傾向にあることに触れ「これまで以上に児童生徒支援に向けた取組を推進していくことが求められている」と強調。児童生徒一人ひとりの状況に応じたきめ細かな支援の充実に向け、忌憚のない意見を求めた。
渡島局の三笠裕也義務教育指導班指導主事が全道のいじめ認知件数および管内の状況等を説明。不登校児童生徒への学習機会と支援の在り方について、国の不登校に関する調査研究協力者会議の資料をもとに「チーム学校による魅力ある学校づくり」「養護教諭・SC等を活用した心の教育」「校内教育支援センターの充実」などの具体的な取組を挙げた。
厚生労働省の調査で4年度児童生徒の自殺数は514人と、過去最多となっている状況を踏まえ、児童生徒の自殺予防、SOSの早期発見に向けた取組を図る必要性を強調。学校と家庭、関係機関で共通理解を図り、組織的かつ体系的な取組を求めた。
協議では「児童生徒の自殺予防」「SOSの早期発見」の2点をテーマに、管内の校長会、教育委員会、PTA連合会の代表者が意見を交換。
函館市中学校長会の吉田敬三亀田中学校長は組織的な体制づくりについて「生徒の違和感を見落とさないよう、教職員にアンテナを高くするよう呼びかけている」と説明。1人1台端末を活用した健康観察などささいな生徒の変容を見逃さないよう、担任と管理職で状況把握の連携を心がけているとした。
道高校長協会道南支部長の清水信彦函館中部高校長は1人1台端末等を活用した教育相談を始めていることを紹介。教職員のスキル向上に向けた校内研修の工夫について述べた。
特別支援学校長会道南支部長の野中宏函館養護学校長は、障がいのある子どもが様々な手段で発信できる機会をつくる必要性を強調。「障がいの特性によって子ども自身が伝えることは難しいが、表情や行動から気付き、教員同士で情報共有することが大切」と述べた。
渡島管内教育長会会長の児玉貢鹿部町教育長は不登校児童生徒への対応に向け、本年度から教育支援センターを開設したことを説明。「学校や行政、地域全体でいじめ問題を自分事として捉える必要がある。愛情と情熱を持ってしっかり対応すべき」としたほか、支援センターの開設について自治体の財政負担が伴う課題があることについて説明した。
函館市PTA連合会の向大喬副会長は「“いじめは起こるもの”との認識のもと、対処する教員や学校の姿勢を大きく評価すべき。保護者も安心して子どもを預けられるとともに、被害者も話をしやすくなる」との見解を述べた。
(関係団体 2023-09-15付)
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