奥尻高　専門家招き総合探究で　起業家育成教育に着手　町の人材育成と卒業生起業へ

（学校 2023-09-19付）

　【函館発】奥尻高校（千葉健史校長）は本年度、総合的な探究の時間を活用した起業家育成教育に着手する。スタートアップ企業等を支援する専門家等から起業家精神を学ぶほか、ゼロカーボンや観光など様々な場面で活躍する専門家と共に活動する。社会課題解決に向け、アントレプレナーの要素を組み込んだ授業を展開し、町の人材育成と卒業生の起業推進につなげたい考え。

　国が掲げる経済政策「新しい資本主義」では新規創業を重視する視点への転換を図り、新たな付加価値の創造を行うことを目的に「スタートアップ企業加速およびオープンイノベーションの推進」を目標の一つに据えている。新規性のある技術やビジネスモデルで新たな市場や価値を創造するスタートアップ企業体への投資額は、５年間で現行の８０００億円から１０兆円規模へと引き上げる方針だ。

　こうした国の政策と連動し、町と同校はアントレプレナー教育を取り入れた教育プログラムに取り組むことを決めた。

　平成２８年度から全校生徒で取り組んでいる地域課題解決に向けた探究学習「町おこしワークショップ」において第三者の視点から当事者目線への転換に向けた視点を養う。

　具体的な活動内容は島民へのインタビューを通して、新テーマを設定。少子高齢化が続く島では、宿泊施設の減少など各産業における後継者不足が深刻化していること、環境省の脱炭素先行地域に指定されていることなど、地域の実態から「人材育成」「ゼロカーボン」などの新部門設立に向けた案が上がっている。

　今後、生徒らはオーストラリアでスタートアップ企業の支援に携わり、キリンホールディングス本社で事業開発のエグゼクティブアドバイザーを務める久保田貴宏氏から起業家精神やアイデアを形にするためのコンサルティング指導をオンラインで複数回受講する。

　各テーマに精通した専門家と共に企画を考え、島民にプレゼンテーション。地域住民が島を変革する支援を高校生が考えることで、町民の人材育成や島留学生を含む卒業生の起業推進の強化を目指す。

(学校 2023-09-19付)