幕別中活用した義務教育学校案　５年度内に準備協設置　幕別町教委　増築・改修計画

（市町村 2023-09-29付）

　【帯広発】幕別町教委は、幕別中学校を活用した義務教育学校の設置に係る素案をまとめた。幕別小学校の施設老朽化等を踏まえ、６年度以降に幕別中を増築もしくは改修して義務教育学校を設置することを提案。アンケート調査を通じて、保護者からは小・中学校施設の一体化に概ね理解を得ている。１０月末の総合教育会議等を経て素案が通った場合、５年度内に「本町地区義務教育学校準備協議会（仮称）」を設置する見通しだ。

　幕別小および幕別中からなる「まくべつ学園」は元年度から、施設分離型の小中一貫教育を推進。義務教育９年間を見通した計画的・系統的な学習指導や生徒指導によって、学力向上や中１ギャップの緩和等に成果が出ている。

　幕別小は築４０年を超え、劣化状況評価の結果から長寿命化工事の次期対象施設として検討。幕別中は築３０年ほどたち、概ね１０年以内に予防保全的な改修工事、３０年以内に長寿命化工事を実施する計画を立てている。

　児童生徒数の減少も見込まれる中、町教委は昨年から、学園における小中一貫教育の今後の方向性を模索。①施設分離型の小中一貫型小・中学校②既存施設を活用した施設一体型の小中一貫型小・中学校③既存施設を活用した義務教育学校―の３点を検討事項とした。

　検討を進めるに当たり、学校便りや懇談会等を活用して保護者に情報を発信した上で、ことし５月に保護者アンケートを実施。実家庭数の８割以上が回答した。

　結果をみると、施設分離型・施設一体型・義務教育学校の３択では、それぞれ大差はないものの、施設一体型および義務教育学校を合わせた割合は６割を超えた。町教委は「一つの施設に集約することには理解を得ている」と分析。また、義務教育学校の認知度は８割超と高く「異学年交流による精神的発達」「中１ギャップの緩和」をメリットに感じる保護者が多かった。

　これらを踏まえ、町教委は「幕別中学校を活用した義務教育学校（案）」をまとめた。６年度以降、教室の不足解消や義務教育学校として特色ある学校づくりを進めることを念頭に置き、幕別中を増築もしくは改修することを提案している。

　５年度内に「本町地区義務教育学校準備協議会（仮称）」を設置し、増築および改修等の方法、学校名や校歌・校章、教育課程区分、指導形態などを検討することを想定。準備協議会は児童生徒の保護者や学園運営協議会の代表者、教職員等を構成員とする見通しだ。

　２６日に町民会館で開いた地域説明会で、菅野勇次教育長は「施設一体型と義務教育学校を比較検討し、総合的に義務教育学校は子どもにとっても利点が多いと判断した」と説明。保護者からは「意見集約の幅を広げるためにも、協議会の検討内容等を適宜発信してほしい」などの要望が上がった。

　１０月２４日に開催する総合教育会議で方針を決定する。素案どおりに進めば、１２月に開会する第４回定例町議会に提案し、準備協議会の設置に係る条例改正のあと、年明けにも設置する見込み。

(市町村 2023-09-29付)