札幌市教委と札私幼が幼児教育講演会　健全なＩＣＴ利用を　相模女子大・七海准教授招き

（札幌市 2023-10-10付）

　札幌市教委と札幌市私立幼稚園連合会（札私幼、藪淳一会長）は９月８日から２２日まで、５年度幼児教育講演会をユーチューブで限定公開した。相模女子大学の七海陽准教授が講演し、過度なメディア利用が及ぼす睡眠や心身への影響などを示しながら、健全なＩＣＴ・メディア習慣を身に付けさせる重要性を伝えた。

　保護者を対象に、幼児期の子育ての在り方について考える機会として実施しているもの。

　本年度は、七海准教授が「幼児期の子どもたちのゲームやメディアとのつきあいかた～ネガティブな影響を抑制し、ポジティブな効果を促すために」と題して講演した。

　乳幼児期のＩＣＴ・メディアの利用におけるネガティブな影響とポジティブな影響の両面について紹介。健全な発達に向けては「ネガティブな影響を抑制し、ポジティブな影響を促進することが大きなポイントになる」と強調した。

　睡眠時間とメディア利用の相関関係に関する研究事例などを示しながら「特に乳幼児期の睡眠は、情緒や脳の神経回路の発達に大きく影響すると考えられている」と話した。

　概ね１歳半から２歳ごろに安定した睡眠・生体リズムが形成されていくと言われており、遅寝や夜更かしによってそのリズムが崩れると、心身の発達に影響を及ぼす可能性があるという。

　学校生活に適応できないといった二次的な影響が生じる恐れもあり「後々、子ども自身がつらい思いをしてしまうことにつながりかねない」と警鐘を鳴らした。

　また、保護者のメディア嗜好や習慣も子どもに影響するという研究事例を紹介し「保護者が自身のＩＣＴ、メディア利用を省みて、適切な使い方をすることが大事」などと呼びかけた。

　これらを踏まえ、ネガティブな影響の抑制に向けて「生活習慣を整え、体内時計、リズムの基盤を形成する」「発達に応じてＩＣＴ・メディアへの接触時間、場面、状況、内容などを整える」の２点を心がけるよう呼びかけた。

　ポジティブな影響の促進に向けては「子どものＩＣＴ・メディアからの学びを促進する」「健全なＩＣＴ・メディア習慣を身に付け、特徴を理解して活用する力を育む」の２点を提示した。

(札幌市 2023-10-10付)