札幌市教委 授業公開や研究協議通し研鑚 札教研事業 秋の研究集会・上(札幌市 2023-10-19付)
南区小学校算数研究部
札幌市教委は17日、札幌市教育研究推進事業(札教研事業)秋の研究集会を市内各会場で開催した。小学校11研究部、中学校10研究部、小中合同5研究部が授業公開や研究協議を実施し、参集、ハイブリッドなど多様な方法で研究実践を発信した。本紙は公開授業6会場を取材。各会場の様子を2回にわたって紹介する。
◆単位そろえ問題解決へ 真駒内公園小 南区小学校算数研究部
南区小学校算数の会場となった真駒内公園小学校(甲斐瑞恵校長)では、5年2組「単位量あたりの大きさ」(中村歩世教諭、児童数23人)の授業を公開した。
南区小学校算数研究部の研究主題は「分かる・できる・楽しい算数~見方・考え方を働かせる算数の授業」。数学的な考え方の育成に向けた視点として①教材化②教師の関わり―の2点を据え、豊富な言語活動や多様な考えの価値付け、話し合いの視点の焦点化などに留意した授業改善を進めている。
本時は、12時間扱いの8時間目。前時までに学習した「時速・分速・秒速」の関係性や、比較する際に量をそろえることなどを活用し、問題解決に向かう態度の育成を目指した。
中村教諭は導入で、ロープウエーとエレベーターが動く動画を提示した。「ロープウエーは720㍍を4分間で進む」「エレベーターは350㍍を50秒間で上がる」という条件を示し、単位が異なるときの比べ方を考えるよう促した。
児童たちは個別に計算方法を考えたあと、互いのノートを見比べたり、意見を言い合ったりしながら友達と考えを交流した。
全体交流では、児童たちが自らの考えを出し合った。ある児童は、4分間を240秒に直しロープウエーが1秒間に進む距離を導き出す方法を発表。別の児童は、エレベーターが1秒当たり7㍍進むことに着目し、60をかけることで1分当たりに進む距離を出すことで比較する方法を提案した。
また別の児童は、ロープウエーが1分当たり180㍍進むことに着眼し、60で割ることで1秒当たりに進む距離を出して比較することを提示。発表を通して、児童たちはいずれの方法も単位をそろえることで比較できることを確認した。
◆ICTで良い動作確認 新琴似南小 北区保健体育研究部
北区保健体育研究部の会場となった新琴似南小学校(加藤勝宏校長)では、5年1組「ボール運動“ゴール型”~みんながシュート!バスケットボール」(中山明朗教諭、児童数29人)の授業動画を公開。授業では、パスを出す側と受け取る側の視点から全員がシュートしてゴールできる方策を考える活動を展開した。
同部会では、研究の視点に①子どもが課題を見いだすための手だて②子どもが学ぶ楽しさや、分かる・できるようになった喜びを実感できる指導と評価の工夫―の2点を設定している。
視点①では、これまでパスがつながったプレーをクリップ動画として撮り溜め、児童が動画を見返すことで自分のチームの動きと比較しながらより良い動きを見い出すことにつなげた。
視点②では、児童自身や友達の伸びに気付き、喜びを実感するため、シュートカウンターの役割を設定。また、ICTを活用し、チームができるようになったことやシュート数が伸びた理由なども記録させた。
この日同校のグラウンドで予定していた公開授業は雨天のため中止。急きょ、録画した授業動画を視聴しながら授業内容を検討するスタイルに切り替えた。
授業では、ルールを簡易化するために、シュートの決まりやすいゴールリングを用意。また、守りの相手がいない空間を見つけやすくするためにコートを9マスに分けた。
前時までに児童たちは、ボールをもっていないときにどんな動きをすれば良いかを知識として身に付けてきた。5時間扱いの4時間目に当たる本時では、前時までに得た知識を全員が実践することを目指した。
児童たちは、パスを出す側と受け取る側のそれぞれの視点で練習・話し合いを重ね、スペースの作り方やパスが通りやすい場所などを模索。実際に試合を行い、空いてるスペースに向かって移動することや守りと重ならないように動くことなどを意識して実践した。
ゲームを通して中山教諭は「相手がいないところに動いたり、動き直したりすることでパスがうまく回る」とまとめた。
◆“なるほど”が生まれる授業 芸術の森小 南区小学校理科研究部
南区小学校理科研究部の会場となった芸術の森小学校(首藤功二校長)では、4年生「とじこめた空気と水」(金塚聡太教諭、児童数26人)の授業が行われた。
本年度の全市研究テーマは「自ら自然に関わり、科学的に追究する喜びを味わう子どもの育成」。これを踏まえ南区では「一人一人が目を輝かせて追究し、“なるほど”“わかった”の生まれる理科学習」を研究主題に据えた。
研究の視点に①追究の意欲や問題意識を生む学習の構成②見方・考え方を働かせ学びを深める教師のかかわり―の2点を設定した。
単元を通して意欲を持続させ問題解決が連続する単元構成や、子どもの様々な言葉を共通化し目標につながる発言を価値付ける教師の関わりを意識した授業づくりを目指している。
本時では、空気を押したときの体積や手応えを調べる活動に進んで取り組み、予想や実験方法、結果などを友達と伝え合いながら問題解決しようとする態度の育成を目標に位置付けた。
児童たちは、前時までに空気鉄砲で玉を飛ばす活動に取り組み、押すときの手応えや中の空気のイメージなどを膨らませた。
金塚教諭は冒頭、本時の教材「ピストン」を提示し「空気が閉じ込められたピストンは押すとどうなる?」と問いかけ。児童たちは「はね返る」「途中まで押せるけれど、(その後は)固くなりそう」などと予想した。金塚教諭は「押すと体積はどうなる?」と再度問いかけると、児童たちは「縮まる」と答えた。
このあと、6グループに分かれてピストンを押す実験を開始。児童たちは「固い」「これ以上押せない」と感想。空気を押し縮めると体積は小さくなるが、押し返す力が大きくなることへの理解を深めた。
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(札幌市 2023-10-19付)
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