函館高　生徒の資質・能力可視化　ＡｉＧＲＯＷを導入　総探や進路活動などに活用

（学校 2023-10-20付）

指の動きや行動に関する問いから潜在的性格などを測定する

　【函館発】市立函館高校（花松均校長）は「創造力」などの生徒の資質・能力を他者評価やＡＩ補正・分析を通して可視化するツール「ＡｉＧＲＯＷ」の導入を開始した。生徒が総合的な探究の時間で身に付ける「探究力」の効果検証をはじめ、進路活動などに幅広く活用する。ツールを活用した評価は生徒が課題研究に着手する事前段階と年度末の計２回実施。評価が難しい探究活動の教育効果を可視化することで、指導と評価の一体化にも期待が高まっている。

　ツールは自身の視点と３人の他者の視点から診断した気質診断とコンピテンシー（行動特性）にＡＩの補正を加えることで、個人の資質・能力や教育活動の教育効果を定量化するもの。ペーパーテストでは測定できない「個人的実行力」「傾聴力」など自身の強みを発見し、自己成長の支援に役立てられるため、企業の新卒採用試験でも導入が加速している。

　本年度は経済産業省の未来の教室実証事業で採択を受けたＩｎｓｔｉｔｕｔｉｏｎ　ｆｏｒ　Ｇｌｏｂａｌ　Ｓｏｃｉｅｔｙ㈱が全国の約８０校へ無償提供を実施。道内では帯広三条高校や苫小牧南高校などが対象となっている。

　同校では、学校設定科目「函館学」や地域探究学習等を通して、市の文化施設の有効活用を考えるなど、地域の伝統や文化に着目した取組を進めている。総合的な探究の時間では身近な興味・関心からテーマを設定し、課題研究発表を行っている。これら探究活動を通した生徒の成長の変容を見取る手だての一つとして、ＡｉＧＲＯＷの導入を開始した。

　ツールの診断では、同校が掲げる「主体的学習力」をはじめとする６つの育てたい資質・能力について「個人的実行力」「決断力」「創造力」など１２の能力と相関的に判断することができる。

　１１月から総合的な探究の時間における課題研究が本格化するのを前に、今月１２日には１・２年生がスマートフォンやタブレット端末で気質診断を受験した。回答にかかる時間や操作する指の動きをＡＩが分析し「内向性があるか外向性があるか」「保守性があるか開放性があるか」などの傾向を判断。個人レポートを通して自身の強みや特性を確認した。

　今後は探究活動の課題解決に向けて必要な視点や独創的なアイデアなどを測る「数理探究アセスメント」にも着手。「検証可能な仮説を立てる能力」「地域貢などを取り入れた独創的なアイデアをつくり出せる能力」など、総合型選抜の模擬試験のようなシミュレーション画面で個々の問題解決能力を測定する。

　担当の塩村亮教諭は「学校教育目標の検証や教育活動を根拠に基づいて紹介できる手段、多角的なキャリア観の育成につなげたい」と期待する。

(学校 2023-10-20付)