十勝管内小中教頭会が研究大会　日頃から信頼関係を　上浦幌中・加藤教頭が提言

（関係団体 2023-11-30付）

　【帯広発】十勝管内小中学校教頭会（大場慎也会長）は１７日、十勝幕別温泉グランヴィリオホテルで研究大会を開いた。会員９２人が参加し、講演や分科会等を通して、教頭としての資質・能力向上や連携強化に向けて研鑚を積んだ。

　研究主題は「十勝の特性を踏まえ、未来を切り拓く持続可能な学校づくりの推進～変化と変革に対応する“学校力”“教師力”を高める教頭の役割」。アセスメント能力、ファシリテーション能力の２視点のもと、教育課題、子どもの発達、教育環境整備、組織・運営、教職員の専門性の５分野に関して研究を推進している。

　この日、大場会長は開会に当たり、今日的な教育課題に触れ「学校改善に直結する会員の英知を結集させ、その成果を十勝の教育の活性化につなげていきたい」と述べた。

　十勝教育局の多田博昭次長は、全国学力・学習状況調査の結果を踏まえ、小・中学校の今後を見据えた、資質・能力を育む授業改善が求められていることを強調。「今後も連携を一層緊密にし、研修会や学校訪問等の機会を通じて、これからの時代に求められる教育の実現に努めたい」と伝えた。

　十勝小・中校長会の中村俊緒会長は「学び続ける校長」をテーマに同会活動を推進していることから「教頭も校長と共に学びながら、次代を担う子どもたちやあるべき学校づくりのために、教職員の人材育成を力強く進めてほしい」と呼びかけた。

　続いて、浦幌町立上浦幌中学校の加藤伸啓教頭が研究主題のもと提言を発表した。予測困難な時代の中、広域分散型で学校規模が多様な十勝の特性を踏まえて①質の高い教職員集団の形成②新たな教師の学びの姿の実現―の２点を焦点化。それぞれの実現に向けて、学校課題を明らかにし、有効な手だてを考える「アセスメント能力」、物事がスムーズに進んでいくように調整する「ファシリテーション能力」の重要性を説いた。

　アセスメント能力に関しては「教育の動向を教職員が自分事として捉えられるよう考える場が必要」とし、課題解決に向けたＰＤＣＡサイクルの確立やマネジメントが重要となることを示した。ファシリテーション能力については、教職員の共通目標を策定し、自律的な成長を促す環境づくりの必要性を説明。いずれも教職員間の合意形成が要となり「日頃から教職員間の信頼関係を築くことが大切」と話した。

　また、校長の学校経営方針による「合理性のあるトップダウン」、職員一人ひとりが持つ力を発揮する「建設性のあるボトムアップ」によって、学校の自主・自立を支える経営体制が整えられることを説明。「この２つをスムーズに進めることが教頭の役割」と伝えた。　

　このあと、大妻女子大学の樺山敏郎教授による講演会、５分科会を展開した。

(関係団体 2023-11-30付)