OECDがPISA調査公表 読解力改善 3分野上位 授業改善、コロナ対応奏功か
(関係団体 2023-12-07付)

1面表
質問紙調査のOECD加盟国比較(クリックすると拡大表示されます)

 経済協力開発機構(OECD)は5日、2022年の国際学習到達度調査(PISA)を発表した。日本の読解力は前回18年調査の15位から3位へと大きく上昇。数学的リテラシーは5位、科学的リテラシーは2位と各分野の順位を上げた。

 PISA調査は、義務教育修了段階の15歳の生徒を対象に、知識・技能を実生活の課題解決に活用する力を測るために概ね3年ごとに実施している。

 感染症の影響で1年延期して実施した今回、81の国・地域から約69万人、日本から高校1年生約6000人が参加した。

 OECD諸国の平均得点は低下した一方、日本の平均得点は、読解力が516点、科学的リテラシーが547点、数学的リテラシーが536点といずれも上昇。3分野とも1位はシンガポール。

 習熟度別では、日本の読解力と科学的リテラシーの低得点層(習熟度レベル1以下)の割合が減少するとともに、数学的リテラシーと科学的リテラシーの高得点層(習熟度レベル5以上)の割合が増加した。

 今回の結果に関しOECDは、日本では新型コロナウイルス感染症のため休校した期間が他国より短かったことが影響した可能性を指摘する。

 感染症の影響で3ヵ月以上休校した生徒の割合が少ない国・地域では特に数学的リテラシーの平均得点が高い傾向にあるが、3ヵ月以上休校した日本の生徒の割合は15・5%とOECD平均の50・3%を大きく下回った。

◆数学の授業規律1位 学校への所属感が急上昇

 質問調査の結果をみると、授業における集中度や落ち着きなど複数の項目に基づき算出した「数学の授業の規律ある雰囲気」の指標値はOECD加盟国中1位に。「数学の授業における教師の支援(先生は生徒を助けてくれる、関心を持っているなど)」は8位と高い一方、実生活の課題を数学で解決する自信や日常生活と関連させた数学の指導に関する指標値は平均より低い。

 「数学の成績」「教育のウェルビーイング」「教育の公平性」の側面で安定・向上がみられる国・地域を調査した結果、日本、韓国、リトアニア、台湾の4国・地域が該当した。

 OECD諸国では「生徒の学校への所属感(友人関係、一体感、学校の居心地など)」の指標値が悪化したが、日本は0・23ポイント上昇し0・25と最も向上した国となった。

【ICTの活用状況】

 生徒全員のデジタル機器の整備など「学校のICTリソースの利用しやすさ」の指標値はOECD平均を上回る。

 授業中にICT機器を利用して注意散漫になる生徒の割合は日本の4・0%に対してOECD平均が25・2%となった。

 各教科におけるICTの利用頻度は国語が15・2%(OECD平均27・3%)、数学が16・1%(同24・5%)、理科が22・0%(同30・4%)と低かった。

 情報の収集・記録・分析でICTを活用する割合や、ICTを活用した探究型の教育の頻度はOECD平均を下回る。

 情報モラルに関しては「ネットで検索するときは様々な情報源を比較する」「SNSで共有する前に情報の正しさを確認する」と回答した割合は75%とOECD平均の64%より高い。

 コンピューターやプログラミングに対する興味・関心は平均よりやや低く、プログラムを作成できる生徒の割合は32・5%と平均の43・0%を下回った。

 全体的にSNSやゲームに費やす時間が一定時間を超えると3分野の得点は低下する傾向にあるが、SNSを3時間以上する日本の生徒の割合は19・0%(OECD平均33・8%)、ゲームは17・4%(同24・5%)と少ないことが分かった。

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7面表
3分野における上位20ヵ国・地域の推移(クリックすると拡大表示されます)

(関係団体 2023-12-07付)

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