人と関わる喜びを実感 北小英研 札幌米里小で研究大会
(関係団体 2023-12-13付)

北小英研全道大会
札幌市米里小での公開授業

 道小学校英語教育研究会(北小英研、関敏明会長)は1日、札幌市立米里小学校で「第1回道小学校英語教育研究大会札幌大会」兼「札幌市小学校英語教育研究実践研究会第7回研究大会」を開催した。研究主題「英語を通じて人と関わる喜びを実感し、世界を広げようとする児童の育成」のもと、6年生の授業公開と実践発表2本、研究討議を実施。「知りたい」「伝えたい」という思いを持ちながら他者とつながる子どもの姿を共有する機会を実現した。

 大会運営は札幌市小学校英語教育実践研究会(札小英研、関敏明会長)が担当した。

 札小英研では、目指す授業像として「思考力・判断力・表現力を活用して問題を解決し英語を通じて人と関わる喜びが生まれる授業」を掲げている。目的を達成しようとする過程で生じる問題を思考・判断・表現しながら解決し、人と関わる喜びを実感する深い学びを目指している。

 研究の視点には①思考力・判断力・表現力を活用して問題を解決し、課題を達成する教材化②単元を通して、学ぶ意欲を高めていく教師の関わり―を設定。

 ①では、児童がやってみたいと思える魅力的な課題を設定。目的・場面・状況に応じて、既習内容を活用し問題解決する場面を設定することによって、本当の思いや考えを伝え合う姿を引き出す。

 ②では、振り返りに重点を置いた授業展開を通し、前時・次時とのつながりを意識できる単元構成を重要視。授業では音声中心の学習から文字を扱った指導へと細かな段階を踏む。新たにパフォーマンス評価を行い「見える化」「記録化」を通じた妥当性・信頼性のある総括的な評価で見取ることとしている。

 公開授業では、同校6年1組「Unit5 We all live on the Earth」(学級担任・副田麻里教諭、児童数33人)を実施。

 地球上に暮らす生き物を題材とする単元で、8時間を充てている。「ALTの先生のために“守りたい動物図鑑”を作ってプレゼントしよう!」という単元目標を設けており、前時までに絶滅危惧種の動物の生態、食べる物、生息地などについて取材を重ねてきた。

 7時間目となる本時のめあては「“思い”がこもった図鑑にするためには?」。

 動物を守りたい気持ちを示す表現「I want to save~」を学習したり、思いがより伝わる文章構成を考えたりする言語活動を行った。

 冒頭、児童たちはクラス全体で自分の紹介文を見せ合ったあと、副田教諭が守りたい動物を紹介。オカピを挙げ「すみかの熱帯雨林がパーム油開発のために奪われている」と伝え、守りたい気持ちを表現するには「I want to save~」が使えることを導入した。

 表現を繰り返し音読し、耳で慣れ親しんだあと、身ぶり手ぶりを交えて音からスペルを連想させた。「aの発音が難しいよね」「bとvの違いに気を付けて」と補足しつつ、音声と文字を合致できるよう指導した。

 つぎに「特別な図鑑にするために、どんなことを付け加えたらいいかな?」と既習表現を用いて動物の特徴や餌などを表せることを共有した。

 児童たちは「live in」「~can run fast」「~are cute」などと自分なりの表現を加えて図鑑をグレードアップさせた。

 振り返りでは「動物の好きなところを英語で表現したい」「どうして~だから(理由)を表現したい」と意欲的に自己表現する姿が見られた。

◆個々が主役の授業へ 開会式で関会長あいさつ

 公開授業後は、開会式を行った。

 はじめに、清水忠明副会長(旭川市立啓明小校長)が開会宣言。

 平成14年度から本格実施となった総合的な学習の時間の一例として国際理解教育が掲げられたことに触れ「20年以上研究されてきた小学校英語教育。旭川から足を運んで自分の目で実際を見ることができた」と話し、全道規模で開催できた本大会をきっかけに「英語教育に関する全道のネットワークが広がることを願う」と期待を寄せた。

 続いて、関会長があいさつした。

 ここ3年間を振り返り、2年度には学習指導要領の全面実施に伴って5・6年生で「外国語」教科化、3・4年生で「外国語活動」が位置付いたことや、コロナ禍での教育活動の制限などに触れた。

 その中で「北小英研を設立し、道小学校・中学校・高校英語教育研究会を組織できた」とし、11月の研究大会では「北海道レベルで小中高の緊密な連携のもと、発達段階に応じた指導法を学び、英語を学ぶ児童生徒の姿を共有する機会を実現できた」と振り返った。

 「大会は札小英研の原点回帰であり、北小英研の第一歩。一人ひとりが主体となる授業、他者とつながっていく子どもたちの姿を目指していく。成長過程にあるが、意見や助言を賜れば幸い」と訴えた。

 会場校を代表して、神園真校長があいさつ。

 先日、5年生2クラスが学級閉鎖になったことをALTに伝えようとした自身のエピソードを通じて「英語を話せるようになれば子どもの可能性が広がる。ある程度の時間をかけて苦労したことが自分を成長させることは間違いないので、本研究が主体的・対話的に学ぼうとする子どもの姿につながってほしい」と胸を膨らませた。

◆実践発表

 2本の実践発表では、児童の学習状況を随時確認するための手だてを報告した。

 外国語活動部会から、手稲西小の田中由紀教諭が実践発表。9月21日に行われた幌南小3年3組「Unit5 What do you like?」(学級担任・天池力都教諭、児童数30人)について、相手を意識した伝え方を考えながら、何が好きか尋ねたり答えたりする言語活動を紹介。評価基準表やワークシート構成の工夫を伝えた。

 5年生部会から、真栄小の中島裕美教諭が実践発表。10月27日に行われた澄川小5年2組「Unit6 What would you like?」(専科・赤坂春奈教諭、児童数38人)について、和食レストランの店員として注文を聞いたり客として注文したりする言語活動を発表。ジャムボードに「店員さんのお仕事メモ」を書きためたこと、注文の様子を動画で保存すること、教科書に載っていないが使いたい表現をスライド「まいぴく Unit6 5年生」にまとめたことなどを共有した。

◆新規会員を募集中

 北小英研は新規会員を募集している。小学校英語教育のネットワークを全道に広げ、小中高で連携した英語教育を目指すもの。担任や専科など様々な立場から、授業づくりや学習評価について研鑚を積む。年会費無料。申し込みは2次元バーコードから。

 問い合わせは、事務局の札幌市立新琴似南小学校・電話011(762)3274まで。

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