道教育振興会など 北海道教育会議 子の地域参画環境整備を 連携・協働を柱に取組共有(関係団体 2023-12-15付)
北海道教育会議
道教育振興会(濱田美樹会長)と道退職校長会(千田薫会長)は1日、ホテルライフォート札幌で第22回北海道教育会議を開いた。推進指標で掲げる「家庭・学校・地域の連携・協働」を柱に、校長会など各団体が取り組むICTを活用した実践やコミュニティ・スクール、地学協働活動などを共有。参加者からは、子どもたちが主体的に地域に参画できる環境を構築する必要性を訴える声などが上がった。
両会は昭和59年度から北海道の教育の正常化を願い、教育に関する諸問題を協議する教育懇談会を開催。平成14年度からは、協力教育関係機関・団体が一堂に会し、教育に関わる喫緊の課題を論議し、その成果を北海道教育の指針として共有する場として北海道教育会議を開いている。
本年度の主題は一昨年度から引き続き「“令和の日本型学校教育”で目指す子どもの姿をどのように実現するか」を設定。副主題は新たに「自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら豊かな人生を切り拓こうとする子どもを育むには」とした。
当日、オンラインを含めて約100人が出席した。
開会に当たり、道教育振興会の濱田会長があいさつ。子どもたちを取り巻く様々な教育課題に触れ、将来の予測が困難な時代においても自律的・主体的に社会の形成に参画していくための資質・能力を育んでいくことや多様化するニーズや社会変化を踏まえ、学びの場や学ぶ内容も従来の枠にとらわれない新たな学校教育を推進する大切さを指摘。その上で、社会に開かれた教育課程を編成・実施することが重要であり、家庭・学校・地域が教育課題を共有し、課題解決に向け、連携・協働して未来を担う子どもたちのための教育を計画的・継続的に取り組む重要性を強調した。
引き続き、同会の橋本敏昭常任理事が主題の趣旨、推進指標を説明し、これに基づき意見を交わした。
司会進行は、同会の神谷敦常任理事が担当。「例年学校の話題が多くなってしまうが、家庭地域に関わっても社会に開かれた教育の観点から広く意見・話題をいただきたい」と呼びかけた。
先陣を切った道高校PTA連合会は、道内各支部の研修会や高校生、教員、保護者がテーマに沿って話し合う「高校生と語る集い」を紹介。「札幌だと希望する高校に家から通えるが、地方の出身だと、希望する学校が都市部であれば、親元を離れて通わなければならない」と高校の通学において生じる地域格差問題を指摘した。
道PTA連合会からは「子どもたちの成長には、自分の家族、親以外の人と関わる機会が重要になる」「自分の子ども以外にも目を配り、地域の子どものために頑張る大人の姿を見せることで、令和の時代を担う子どもたちが育っていく」などの声が上がった。
道小学校長会、道中学校長会は、道内のICTを活用した実践例を紹介。地域と一体となって子どもを主語とした学力向上に取り組んでいることを報告した上で、ICTの利活用を推進するに当たって「自治体や学校規模、個々の教師の力量、地域の環境による格差」などの課題が挙がっていることを伝えた。
道高校長協会は、年度当初から「支える」「備える」「攻める」「育てる」の4つのSに基づいて学校経営を進めていることを示し「教員に教育者としての自信と誇りを持たせて、生徒の指導に当たらせるとともに、令和の日本型学校教育の望ましい生徒の姿に少しでも近づけるよう足並みをそろえた経営を進めたい」との考えを示した。
札幌市小学校長会、中学校長会は、来年度から順次導入される「札幌らしいコミュニティ・スクール」に触れ、主体的に自分らしく生きていく子どもに育むために「可能な限り子どもと向き合って寄り添っていく時間を確保したい」と述べた。また「子どもが自主的に取り組む意識を育てるために自ら地域に発信するなど、保護者や地域とつながれるような仕組みをつくることが大切」との声も上がった。
札幌市立高校・特別支援学校長会は、市立学校間連携の取組を報告し、地域住民など様々な人と関わる力を育むことや自信のアイデアで街の活性化を考える取組を進める必要性などを示した。
道特別支援学校長会は、伊達高等養護学校の「藍で繋がる伊達愛プロジェクト」と中札内高等養護学校が取り組む道教委の「道立学校ガバメントクラウドファンディング事業」など、地域と連携した特色ある取組を紹介した。
道公立小・中・特別支援学校女性管理職会は、研究大会の提言内容を紹介した上で、地域の人材を取り入れた教育活動や子どもの教育に関する全ての事柄において、目的や意義、姿を共有しながら子どもたちを育てていこうという気持ちを醸成させる大切さを説いた。
道国公立幼稚園・こども園協議会は、道内において幼保小架け橋プログラムの検証・開発に取り組んでいることを伝え「公立幼稚園、こども園の存在意義を理解いただけるよう引き続き課題の解決に努めていきたい」と述べた。
各地区の振興会は、各地域で進めるコミュニティ・スクールや地域学校協働活動、生徒会が主体となって地域行事に参加する取組などを紹介した。
このほか、道立教育研究所人材育成部の目黒範和研究主幹、道教委社会教育課の国枝知主査、札幌市教委の伊達峰史教育課程担当課長が話題提供。ICTの活用に関わって個別最適な学びと協働的な学びの育成や、道教委のCLASSプロジェクトの活動を踏まえた地域協働活動、札幌らしいコミュニティ・スクールなどを視点に発言した。
(関係団体 2023-12-15付)
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