第33回十勝こだま塾に100人 最適化する学び実現へ 大妻女子大・樺山氏理論提案
(関係団体 2023-12-11付)

こだま塾
十勝こだま塾

 【帯広発】第33回十勝こだま塾が2日、十勝幕別温泉グランヴィリオホテルで開かれた。管内教職員約100人が参加。理論提案や実践発表等を通して、個別最適な学び・協働的な学びの一体化を図る授業づくりに向けて研鑚を積んだ。

 主催の十勝こだまの会(会長・鈴木洋孝浦幌町立浦幌小校長)は昭和60年に発足。「理論と実践の還流」を基本理念に掲げ、教育に関わる諸論文について理解を深め合う研修や実践研究によって、管内教育の振興を図っている。

 十勝こだま塾は、教育学者から学び、十勝の教育実践を見つめ直すことで、教育の質向上を目指すもの。33回目を迎え「変革の時代の学校教育を展望する~子どもの学びの姿を変える授業づくり」をテーマに開催した。

 鈴木会長は開会に当たり、個別最適な学び・協働的な学びの一体化を図る授業づくりに主眼を置いて学校教育を展望することを強調。「われわれ十勝の教師が本気で自分を磨き、本気で教育を語り、本気で深く学ぶ教師となることを期待している」と述べた。

 続いて、大妻女子大学家政学部児童学科の樺山敏郎教授が、理論提案のため登壇した。

 樺山教授は、自己決定や判断力が求められる未来を想定し「最適化される学び」から「最適化する学び」への変換が重要となることを強調。

 誰一人取り残さない授業づくりには、子どもの自己調整能力が必要となることから、学習者が学びの連続性や発展性を考えながら資質・能力の拡張と共創を生み出す「学びの文脈」をキーワードに据え、実現に向けた方法論を解説した。

 最適化する学びの実現に関しては、児童生徒一人ひとりが異なる目標を設定し、探究段階を中心に学習の個性化を図り、自ら学びを調整する授業方法を紹介。

 居場所や学年、時間の制約を必ずしも受けず、多様なペースで個別・協働し、能動的に学習を進めることで、自己実現に向かう展開を説いた。

 また、指導の個別化には、共通課題をもとに個々の学習過程を尊重する「単元終末探究型」の学びを説明。学習の個性化には、個人の課題設定に基づき探究的に学習を進める「全行程探究型」の学びを示した。

 学びの文脈は、特定の文脈における複雑な要求を十分に満たす資質・能力「キー・コンピテンシー」に由来することを説明。「現在の学びがどの文脈で生きるか」「様々な文脈の中で、得た学びを組み合わせて目標の実現に達するか」を子どもが実感する大切さを伝えた。

 このあと、本別町立本別中央小学校の青木佑真教諭、帯広市立広陽小学校の長谷川知英教諭、中札内村立中札内中学校の佐藤悠樹教諭が実践提案。発表後は3会場に分かれ、参加者間で交流した。

(関係団体 2023-12-11付)

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