オホーツク特別支援教育佐呂間大会 できること認め つぎに 特総研・笹森氏が講演
(関係団体 2023-12-19付)

オホーツク特別支援教育佐呂間大会
オホーツク特別支援教育佐呂間大会

 【網走発】オホーツク地区特別支援教育研究連盟(山田雄輝理事長)は8日、佐呂間町町民センターで第58回オホーツク地区特別支援教育研究大会佐呂間大会を開催した。研究主題「未来をたくましく生きる姿を目指して」のもと、分科会や講演を通して、障がいのある児童生徒の実態に即したより良い教育の在り方を探った。

 大会は、オホーツク地区特別支援教育研究連盟遠軽ブロック協議会主管、オホーツク教育局、佐呂間町教委など後援。管内の小・中学校、特別支援学校の教職員ら約100人が参加した。

 午前中は、研究主題の「未来をたくましく生きる姿」を目指すために子どもたちに身に付けさせたい力を「生活の基礎を育む」「生活に活かす力を育む」「人間関係を育む」「社会にはばたく」の4つのカテゴリーに分類し、それぞれ分科会を開いた。

 午後からは、国立特別支援教育総合研究所発達障害教育推進センターの笹森洋樹上席総括研究員兼センター長が「発達障害など多様な教育的ニーズのある児童生徒の指導のあり方について」と題して講演した。

 ①特別な教育的ニーズの考え方②発達障害の特性と支援③校内支援体制の構築―の3点から話を展開した。

 ①では、平成23年に改正された障害基本法を示し“障がい”というものが生得的なものではなく、社会的障壁によって重くも軽くもなる“状態”であることを強調。障がいを状態として捉えることで、問題意識を社会の側に向け、当人のニーズや権利に基づいた社会的障壁の除去による環境整備が求められていることを伝えた。

 また、教育において重視すべきものとして“自己肯定感”を挙げ、自己肯定感につなげるためには「成功体験だけではなく、他者からの承認や評価が影響する」とした。

 その上で「できないことをできるように促すのではなく、できていることを認めてつぎの意欲につなげてあげることが大切」と話した。

 ②では、知的障がいやASD、ADHD、LDなどの発達障がいの特性について説明。診断名で子どもを見るのではなく、あくまで一人ひとりの特性を把握することが大切であることを強調した上で、それぞれの特性に応じた支援の在り方を伝えた。

 また、障がいの特性によって生じる“一次的な障がい”と特性に対して適切な支援が行われないことが心理的負担となって生じる“二次的な障がい”の区別についても解説した。

 「一次的な障がいだと認識していたものが二次的な障がいであることも多い」とし、問題の所在を識別した上で、対処の仕方を考えていく必要があることを訴えた。

 ③では、校内の体制整備に加えて、スクールカウンセラーや巡回相談などの地域資源も積極的に活用していくことを勧めた。

 加えて、総合的に児童生徒の実態を把握し、その上で対策を講じていくためにも「本人と保護者、教員の願い・思いを共有し、具体的なアイデアを出し合って、子どもへの具体的な支援を行っていく必要がある」とした。

(関係団体 2023-12-19付)

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