道社連 研究札幌大会 主権者育む授業構築へ 未来志向の学びに向け7授業(関係団体 2023-12-27付)
道社連全体会
第78回道社会科教育研究大会札幌大会および第50回札幌地区社会科教育研究大会が11月下旬、札幌市内のかでる2・7を主会場に開かれた。全道の会員約260人が出席。新たな研究主題「社会とつながり、価値を創造する北国の子の育成」のもと、小・中学校7授業を公開。主権者として必要な資質・能力を身に付けさせる授業の構築に向けて研鑚を積んだ。
道社会科教育連盟(道社連、千葉一博委員長)と札幌市社会科教育連盟(札幌市社連、同委員長)の共催。完全参集形式による大会は、コロナ禍の影響で元年度以来4年ぶり。
道社連は、本年度から新たな3ヵ年継続研究「社会とつながり、価値を創造する北国の子の育成」をスタート。社会参画につながる新たな価値を創造する子どもの学びの姿を追究するため、副主題を「見方・考え方を鍛え、確かな社会認識をもとに未来を志向する社会科の学び」を据えた。
授業における手だてとして「学級経営や教科経営による集団づくり」を土台に①子どもと社会がつながる教材化と単元デザイン②社会認識を深めるための1時間③社会参画につながる新たな価値を創造する1時間―の3点を設定。
社会の課題を自分事として捉え、主体的に主権者として必要な資質・能力を身に付ける授業の構築を目指す。
あいさつに立った千葉委員長は、昨年の全国大会が成功裏に終わったことに言及し「大会成功は一つの通過点。より良い社会科の授業を目指す気持ちを、一人ひとりが持ち続けることが大切」と訴えた。その上で、未来を志向する学びに向かう姿を実践で明らかにすることを呼びかけながら、研修をつぎにつなげていくことを説いた。
続いて、道社連の河原秀樹研究部長、札幌市社連の栗原聡太郎小学校研究部長、大坂聡中学校研究部長がそれぞれ、研究主題や副主題の設定理由、教材化や単元構成の手だてなどを解説した。
このあと、文部科学省初等中等教育局教育課程課の小倉勝登教科調査官が、研究主題に沿って講演。昨年の全国大会での成果を踏まえ、学習指導要領を熟読した上で、教師が単元のイメージを持つことの大切さを説きながら「問題解決的な学習過程」「単元デザイン」「問い」の重要性を訴えた。
◆札幌伏見小 地震題材に4年生 自助・共助の意識高め 厳冬期の防災対策考える
第78回道社会科教育研究大会札幌大会では、札幌市内の小・中学校7校で公開授業・研究討議が行われた。うち伏見小学校(児嶋大輔校長)では、4年1組「地震災害からくらしを守る」(小沼明日騎教諭)の授業を公開。厳冬期に地震が発生したことを想定し、季節に応じた防災対策を考えさせる学習を展開した。
札幌市社連の第4学年研究推進委員会では、冬季の地震災害を想定した防災対策を「防災グッズ」に焦点を当てて教材化を図った。厳冬期における防災対策として重要となる「温かさ」や、避難所における備蓄量には限りがあることを意識させ、自助の意識を高めることを志向。災害時に実現可能な取組を考えさせる態度の育成を目指した。
本時は8時間扱いの7時間目。前時までに、夏季に地震が発生した場合の備えや、学校の備蓄庫に常備されている物資、札幌市の地震対策に関する学習を進めた。
小沼教諭は冒頭、緊急地震速報を流し、1月に地震が起きた時の状況を想定させた。
北海道胆振東部地震の際に水道や電気、ガスなどのライフラインがストップした状況を振り返ったあと、児童たちに夏用と冬用の防災グッズの違いを考えるよう促した。
児童たちは、前時までの学習を思い出しながら「保温シート」「寝袋」「使い捨てカイロ」「毛布」など、準備すべきものを挙げた。
小沼教諭は、これらの物が学校にも備蓄されていることを指摘し「どうして自分たちで準備する必要があるの?」と問いかけた。児童たちは、学校が避難所として多くの地域住民が利用することを念頭に「高齢者や障がいのある人など、優先して使う人がいる」「自分で使う物はできるだけ自分たちで用意した方がいい」などと発言。自助・共助の意識を高めた。
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(関係団体 2023-12-27付)
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