道教委・公募校長中間報告 高校改革へ 9校長が展望 地域連携、探究充実など成果
(道・道教委 2023-12-05付)

道立高校長庁内公募中間報告
道立高校長庁内公募中間報告

 道教委は10月下旬と11月上旬の2日間、道立高校長庁内公募に係る中間報告をオンラインで開催した。庁内公募で選ばれた校長9人が出席し、地域と連携した探究学習やICTを活用した新たな学び、業務改善など高校魅力化に向けた取組の進捗状況を説明。改革のさらなる推進に向けて展望を示した。

 道立高校における庁内公募(自己推薦校長の募集)は2年度人事から開始。2~5年度の4年間で計11人の校長を配置している。

 はじめに鹿追高校の俵谷俊彦校長が4年間をかけて実現した「鹿追創生アカデミア」構想を報告。大学・地域と連携したコンソーシアムの構築によって総合的な探究の時間の充実を図るとともに、ICTを活用した進学支援、カナダへの短期留学、プロ指導者の指導方法を共有する「NECメソッド」の導入など様々な取組によって学校の認知度向上や入学者数増加につなげる成果を示した。

 阿寒高校の吉田光利校長は、豊かな自然に恵まれ、多様な生徒一人ひとりに大切に寄り添う「ユニバーサルデザイン」の学校の魅力を積極的に発信するとともに、無料送迎バスを活用するなど新形態の体験入学会とするなど工夫を講じ、5年度入学者数が前年度比の2倍以上と大きく増加したことを報告した。

 余市紅志高校の生田仁志校長は、高校生によるワインの商品化など、ワイナリーをはじめとする地域資源を活用した教育活動を報告。農業・福祉の連携事業も数多く展開し、様々な体験や他者との連携を通じ、自己有用感や学力の向上など生徒の変容を伝えた。

 留萌高校の瀧澤共喜校長は、3学科横断の多様な選択教育課程を実現する教育課程編成の実現に向けた準備状況を報告。市内・近隣中学校の生徒・保護者に実施したアンケート調査を実施するなど方向性を固め、ICTを活用した業務改善に鋭意取り組んでいることを伝えた。

 当別高校の保格秀規校長は、普通科・園芸デザイン科・家政科の特色を生かした生徒主体による地学協働活動を報告。道教委の道CLASSプロジェクトによって構築した人材ネットワークを踏まえ、6年度以降、コミュニティ・スクールを組織して取組を加速化する考えを示した。また、働き方改革の目的・目標の明確化やICTの工夫を進めることで5年度(4~10月)の時間外在校等時間の月平均が前年度比14時間減の約21時間と大きく減少したことを報告した。

 帯広三条高校の合浦英則校長は、育てたい資質・能力を明確化する単元配列表やルーブリックの作成など「学びの三乗プラン」の成果を報告。主体的な学びに向かう授業改善によって生徒の学力・進路意識の向上に影響を与えていることを伝えた。また、道内各地の大学との連携強化に向けた今後の展望も示し、コンピテンシーベースの教育活動への転換と主体的な学びを育む教育活動の一層の推進に意欲を示した。

 松前高校の濱名一博校長は、教職員のチームワーク体制や創意工夫による活力ある学校の状況を報告し、授業力の向上や働き方改革など各方面の成果を報告。再生可能エネルギー関連をはじめとする民間企業との連携を深め地域学習を一層進めるとともに、同校の生徒が全国総文祭書道部門で文部科学大臣賞受賞を契機として、小・中学校や地域との交流を一層進める考えを示した。

 浦河高校の齊藤雄大校長は、地場産物の商品開発や1日防災学校など地域の教育資源を活用した体験活動を報告。ルーブリックによる学びの進捗状況の把握・共有、難関大学に合格した現役大学生との交流など進学・就職の希望の実現に向けた取組を伝えた。

 野幌高校の壽淺章洋校長は3年間一貫の探究学習プログラムの6年度の導入に向けた進捗状況を報告。学校、保護者、同窓会、地域が協働して主役となる生徒を育てる「生徒センタード教育」を推進する方針を示し、社会的・職業的自立に向けた進路指導を充実させるとともに、職員のやりがいや意欲を重視しつつ業務改善を一層進めていく考えを示した。

(道・道教委 2023-12-05付)

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