学校力向上中核校の厚沢部小が公開研 自己と関わり課題解決 道徳 多面・多角的に考える(道・道教委 2023-12-07付)
【函館発】道教委の学校力向上に関する総合実践事業中核校および地域連携研修主体校の指定を受けている厚沢部町立厚沢部小学校(松村浩良校長)は11月27日、同校で公開研究会を開いた。2年生と5年生の道徳科の授業を公開し、物事を多面的・多角的に考える授業づくりを実践発表。自分自身との関わりを中心とした課題解決学習を通して、児童の道徳的心情や判断力を養った。
研究主題は「自己についての考えを深め、主体的に実践しようとする児童の育成~自分自身との関わりで課題を捉え、物事を多面的・多角的に考える道徳科の授業を通して」。本年度は児童が道徳科で培った力を日常生活で発揮できるよう、自分自身との関わりで課題を捉え、物事を多面的・多角的に考えられる授業展開を工夫。全教育活動における道徳教育の計画的・発展的指導によって、より良く生きるための基盤となる道徳性や主体的な実践力の育成を目指している。
研究会では2年生と5年生の授業を公開。2年生(児童数15人)の「正しいと思うことを」は塚田聡美教諭が指導し、教材「ある日のくつばこで」を扱った。かずみがくみ子の靴を隠す瞬間をまり子ととしおが目撃し、かずみから口止めされたものの、まり子は勇気を出して注意すべきか悩む内容となっている。
塚田教諭は学習の見通しを持たせるため「友人がやってはいけないことをしているのを見たとき、どうするか」をテーマとした事前アンケートの結果を公表。多くの児童が「注意する」「先生に言う」の2択を選択した一方「何も言えない」と回答した児童が一定数いることを説明した。
教材の朗読後は「誰にも言わないでね」とかずみに言われたまり子の心情について、意見交流するよう促した。児童はまり子の心が晴れない理由や勇気を出そうと決心する葛藤を話し合ったあと、かずみに対しまり子がどのような注意をするかを想像した。それぞれが考えたせりふを演技し「謝らないと嫌な気持ちになる。解決できないなら先生に相談した方が良い」「放っておくと、解決しないままだから、一緒に謝りに行こう」などと発表した。
塚田教諭は学級内で実施した学習発表会の作文で「他人の良くない行いを注意できるようになり、自分に自信が持てるようになった」と振り返った児童の記述を紹介。導入で示したアンケートを踏まえ「上級生が良くないことをしていた際は注意できるか」と質問。多くの児童の「言いにくい」との意見を踏まえ「言えない場合は先生や大人に相談することが大切」と締めくくった。
5年生(児童数15人)の「ほんとうの自由」は北田俊介教諭が指導。教材「うばわれた自由」を扱い、2人の登場人物の考えから、規律を守ることで自由が保障されることを学級内の議論を通して考えを深める指導を行った。
研究会には檜山管内小・中学校の教職員ら約50人が参加。公開授業後は、うち30人が「道徳科のねらいに沿った授業づくり」「自分自身との関わりで議題を捉え、多面的・多角的な考えを引き出す授業づくり」の2点を柱に研究協議。
講演では、道教育大学旭川校非常勤講師の水上丈実氏が講師を務め「今後求められる道徳科の授業づくり~厚沢部小から学ぶべきこと」をテーマに児童の道徳性を育成するための効果的指導を検証した。
(道・道教委 2023-12-07付)
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