不登校支援の羅針盤に　道教委がガイドブック　組織対応、健康観察など要点

（道・道教委 2023-12-08付）

　道教委は５日、不登校支援ガイドブック「すべての子どもの笑顔のために～社会的自立に向けた支援のポイント」を公表した。学校の組織体制、１人１台端末を活用した健康観察など適切な支援へとつなげるポイントを掲載。校内研修で活用するなど全教職員で共通理解を図り、組織的な取組を推進するよう呼びかけている。

　道内小・中学校における４年度の不登校児童生徒数は１万２１７６人で５年前の２倍以上に増加。１０００人当たりの人数は３５・３人と全国平均の３１・７人を上回っている。

　このため道教委は、不登校児童生徒への支援の在り方について理解を深めることができるよう、学校・市町村教委用の指導資料を新たに作成。５日付で関係者に周知した。

　資料は主に①不登校の基礎知識②学校の組織体制③未然防止④早期発見・早期対応⑤継続的な支援―で構成。関係通知や資料の名称をクリックすることで該当ページにアクセスできる。

　多職種の専門家や関係機関で構成する組織体制の例を示し、目標を共有して支援の内容や役割分担を示す「チーム支援計画」やプランを作成する「チーム支援」のプロセスを記載。アセスメントシートを活用して情報や対応方針を可視化するよう呼びかけた。

　ＳＯＳの出し方に関する教育（援助希求的態度の育成）の充実に向けては、道教委が作成した自殺予防教育プログラムや各種チェックリストを周知。１人１台端末から児童生徒が相談する「おなやみポスト」の活用を呼びかけた。

　児童生徒の心のＳＯＳを早期に発見するため、グーグルフォームなど各ＯＳで活用できる健康相談・教育相談システムの活用方法や、道教委が作成したアセスメントツール「心と身体のチェック」を周知。睡眠や食事、学校の人間関係や家族関係を含めた複数の着目点から適切な支援へとつなげるチェックリストも記載している。

　道教委は多様な要因・背景が複雑に関連して起こる不登校は、教職員がどんなに努力していても生じることから「児童生徒の社会的自立を目指し、一人ひとりに応じた支援や児童生徒の努力を認める前向きな評価を行い、全ての教職員が組織的に対応することが大切」と呼びかける。

　道教委は５年度中に不登校によって学びにアクセスできない子どもをゼロとすることを柱とした「北海道版不登校対策プラン」を作成する予定。市町村教委と連携し、対策の徹底に取り組むとしている。

(道・道教委 2023-12-08付)