北音教札幌市小学校支部が研究大会　音楽の良さ語り合い　東白石小　２つの演奏聴き比べ

（札幌市 2023-12-06付）

　道音楽教育連盟（北音教）札幌市小学校支部（中屋賢一支部長）は１１月２９日、東白石小学校（中道寿美恵校長）で第２０回研究大会を開催した。東白石小の了馬伸恵教諭が模擬授業を披露。指揮者が異なる２つの演奏を聴き比べ、違いを交流する活動を通して、音楽の良さや面白さを実感させる授業実践を公開した。

　同支部は本年度、全道共通研究主題「音楽の良さを分かち合い、確かな力を育む音楽教育」を引き続き支部研究主題に掲げ、新たな体制での研究をスタート。「鑑賞」「歌唱」「器楽」「音楽づくり」の領域別プロジェクトによる研究活動などを進めている。

　研究の視点に①主体的・対話的で深い学びの視点に立った題材構成②生活や社会の中の音や音楽の働きについて意識を深める教材化③指導と評価の一体化を図り、一人ひとりの学習に応じた教師の関わり―の３点を据え、音楽文化と豊かに関わりながら、生涯にわたって音楽を愛好する児童生徒の育成を目指す。

　大会では当初公開授業を行う予定だったが、公開学級がインフルエンザの影響で学級閉鎖となったため、急きょ参加者を児童役とした模擬授業に変更した。

　了馬教諭が６年生「曲想の変化を感じ取ろう」の授業実践を披露。

　単元は、指揮者が異なる「ハンガリー舞曲第５番」を聴き比べ、違いを交流する活動を通して曲想の変化やその面白さなどを味わわせることをねらいとしている。

　３時間扱いの３時間目に当たる本時では、前時で扱ったクラウディオ・アバド指揮の演奏を振り返った上で、小澤征爾指揮の演奏を聴き、聴き取ったことと感じ取ったことを交流する活動を位置付けた。

　導入では、指揮者名を伏せた状態で小澤征爾指揮の演奏を鑑賞。単元を通して指揮を振りながら鑑賞する場面を取り入れており「前回より変化が激しいかも」「はじめが遅いような気がする」など、既習とのつながりから違いを捉えられるようにした。

　鑑賞したあと、前時とは指揮者が異なることを伝え「どこが違うのかもっと知りたい」という思いを持たせた上で展開につなげていく流れとした。

　２人の指揮者の演奏を聴き比べる場面では、個々の児童の「ここを繰り返し聴きたい」といった希望に対応するため、音源をグーグルクラスルームにアップしイヤホンを使って個別に鑑賞できる環境を整えた。

　交流では、速度や強弱に着目して聴き取ったことや感じ取ったことを共有することで、２つの演奏の違いを実感できるようにした。

　最後に、２つの演奏のどちらが「推し」かを選び、理由を交流する活動を設定。本時で学んだことを生かし、音楽の良さを語り合う場面を取り入れた。

　授業後の開会式で中屋支部長は、これまでの研究を振り返りながら「会員、事務局員の熱意を感じている」と謝意を示した。７年度に全道大会の開催を控えていることなどを踏まえ「私たちの研究が身内のものだけにとどまらず、多くの先生方に広まっていけば」と期待した。

　このあと、研究討議を行いより良い授業づくりに向けて議論を深めた。

(札幌市 2023-12-06付)