江差町 北小と北中で公開研 小中接続の実践を披露 乗り入れ授業やICT活用等(学校 2023-12-11付)
江差北小中公開研(江差北小算数)
【函館発】江差町の公開研究会が11月29日、江差町立江差北小学校(中山晴生校長)と江差北中学校(米谷優校長)で開かれた。両校が進める小中一貫教育の研究として、小学6年の算数科と中学1年の社会科の2授業を公開。小学校では中学校教員による乗り入れ授業を通して9年間の系統性を見据えた指導や個別最適な学びを、中学校ではICTの共有機能を生かした協働的な学びを展開し、生徒が多面的な視点で課題解決策を導く学習過程を披露した。
併設型小中一貫校の両校では全教科で小中系統表の作成に取り組み、9年間で身に付けさせたい資質・能力を検証。算数や外国語活動では中学校教員の乗り入れ授業を導入し、生徒指導面の見取りや中1ギャップの解消に向け、日常的に相互連携を図っている。
公開研究会には、町内の教職員や江差町教委、檜山教育局の職員ら約20人が参加。小中接続期の小学6年と中学1年の授業を児童生徒の視点に基づく変容を視点に参観し、授業内における児童生徒の認知変化、教員の手だて、ICTの効果的活用の3点を軸に研究協議を行った。
◆江差北小6年算数 比例の利用
江差北小6年(児童数6人)の公開授業「比例の利用」は同校の杉山憧教諭と江差北中の宮嶋美彩生教諭がチーム・ティーチングで指導。個々の児童が学習しやすいICT環境を構築するとともに、専門性のある中学校の数学科教員との連携によって児童が中学校の学習とのつながりを意識できるような授業づくりに努めた。
本時は比例を利用して紙300枚を用意する方法を考える小単元。枚数と重さ、厚さの関係から答えを導くに当たり、児童が表や式を用いて説明できる力を身に付けさせた。
児童は各自計測器や定規で1~20枚の用紙の重さや厚みを確認した。300枚用意するためには「10枚当たりの重さが40㌘のため、30倍の1200㌘を用意すると良い」「10枚当たりの厚さが10㍉のため、30倍の3㌢用意すると良い」などと回答。ICTを活用した共有場面では、答えを導き出すための公式を書いたノートを写真撮影する児童や、ロイロノートに直接表を記入する児童など、それぞれが取り組みやすい方法で他者と交流した。
授業のまとめで杉山教諭はXやYなどの代数式によって答えを導き出せる中学校の学習内容を紹介。宮嶋教諭は料理のレシピを作りたい分量で計算する方法を引用し、学習を振り返ったほか、カーナビの到着時刻や距離の試算にも活用されていることを説明。比例を利用することで身の回りの生活を便利にできることを伝えた。
◆江差北中1年社会 アフリカの産業等
江差北中1年(生徒数10人)の社会科は福井奨平教諭が指導。アフリカ州が貧困から抜け出せない要因を様々な資料から情報収集する表現活動を通して、生徒が要因を多面的・多角的に分析する能力を身に付けさせる授業を行った。
本時は生徒がアフリカ州で生産する農産物、鉱産資源の割合、世界的な価格変化に伴う輸出額などのグラフをもとに、産業の特色を読み取る学習を展開した。
生徒は1人1台端末上に手書きで線や文字を書き込める学習支援システム「スカイメニュー」に導入されたグラフを確認し、考察を記入。福井教諭は机間指導で正しく資料を読み取れているかを確認した。グループ交流に移り、生徒はコーヒー豆や茶などの原産国であること、銅の価格が高騰すると、輸出額が上がることなどワークシートにまとめた気付きを共有。
全体交流では「プランテーション農業による農産物の生産・輸出が大半を占めている」「原料生産が多く、加工品を輸出していないため、安価でしか出荷できない」「紛争が多く農業を維持できない」と説明した。生徒の発表を聞いた福井教諭は既習と資料の結び付きを意識したポイントを指摘し、次時への学習見通しを持たせた。
助言者を務めた檜山局の井田昌之義務教育指導班主査は両校の授業について「一人ひとりの児童が表現しやすいICTの活用を進めており、個別最適な学びにつながっている。小中接続期における授業を公開していたことで、入学生の実態把握や各校種の指導改善につながる機会だった」と振り返った。
(学校 2023-12-11付)
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