鹿追高 実生活に結び付く英語力育成 3次元指導法を導入 体験・知識・理論関連図る
(学校 2023-12-18付)

鹿追高校・英語指導の取組
(右から)岡原さん、大西さん

 【帯広発】鹿追高校(俵谷俊彦校長)は、3年間で実用的な英語力を身に付ける「3次元指導法」に力を注いでいる。実体験・知識・理論を関連させ、段階的にアウトプットの難易度を上げていき、実生活に結び付く確かな英語力を育成。生徒からは「根拠を持って理論的に書いたり話したりする力や瞬発力が身に付いた」との声も上がっている。

 同校は、学習方法と平均学習定着率の関係を示す「ラーニングピラミッド」のもと、各教科でアクティブ・ラーニングを意識した実践を重ねている。

 中でも英語科は、実体験、知識(語彙・表現)、理論(学び方・文法)の3点を相互に関連させる「3次元指導法」を取り入れている。英語科教員が計画を練り、試行を繰り返してきた。

 1年生では基礎知識の習得に重きを置きながらも、ペアワークによる英語での対話を組み込んでいる。2年生では3人グループでのディスカッション、3年生では学級全体でディベートを実践。

 特にディベートにおいては、英字新聞の概要をチャットGPTで高校生レベルの英語に落とし込み、教科書の単元内容と関連性を図りながら話し合いを進めている。

 また、全校生徒がオンライン学習サービス「スタディサプリ」に加入するため、家庭学習によって知識・理論を身に付け、授業では実生活に結び付く学びを深めるなど、場面に応じて反転授業を採用。5年度から、帯広市内の英語学校「ジョイ・イングリッシュ・アカデミー」の浦島久学院長による1年生対象の特別授業も始まり、効果的な学習方法の定着にも力を入れている。

 英語科教員の一人、佐藤暢紀教諭は「自ら学ぼうとしないと身に付かないため、生徒たちが英語への興味を深められるようファシリテートし、今後もアウトプットの重要性を模索していきたい」と力を込める。

 同校は英語科の授業外においても、カナダ短期留学や海外留学生の受け入れに加え、生徒の自主的な語学留学を応援する体制整備など、「実体験」を通した知識・技能の活用に注力。卒業後を見通した海外留学システムづくりに向けて、5年度から、東海大学国際文化学部教授、ハワイ東海インターナショナルカレッジ学長を歴任した吉村卓也氏がコーディネーターに着任した。

 俵谷校長は「本校の英語カリキュラムは組織的・系統的かつ緻密であり、英語が苦手な生徒も楽しく学び、高い目標を持つ生徒をさらに伸ばすシステムとなっている」「町をはじめ、様々な協力者と共に鹿高生を導くチーム力が強まっていることを実感している」と話している。

◆初の合格者複数輩出 英検準1級 町の補助後押しに

 鹿追高校3年生の大西皓心さん、岡原渡さんはことし、英検準1級に合格した。同校で準1級合格者の複数輩出は史上初。

 鹿追町は義務教育9年間、英検の受検費用を全額補助。同校に通う生徒に関しては、オンライン公設塾に加入する生徒に同様の助成を実施している。

 2人は小学校高学年から受検し始め、「恒例行事のように年1回受け続けてきた」と、英検受検が町の子どもたちに浸透していることを語った。中でも大西さんは、大学入試の加点条件に向けて準1級合格を強く意識し「3回目に合格できて安心した」と笑顔を浮かべた。

 岡原さんは、学校の授業で得た知識・技能をベースに受検したという。「特に高校では実践的な授業が多く、根拠を持って理論的に書いたり話したりする力や瞬発力が身に付いた」と回顧。大西さんは「カナダ短期留学など、授業外でも海外の方と話す機会が多く、自然と語彙や英語力が上がったように思う」と振り返った。

 今後、岡原さんはワーキングホリデーを活用してオーストラリアに滞在する予定。大西さんは大学進学後、フリーランスの翻訳家を目指す。鹿追高校から、世界に羽ばたく人材が育成されている。

(学校 2023-12-18付)

その他の記事( 学校)

笑顔が輝く出発点に 式典で特色ある教育活動振り返る 美深高養あいべつ校が10周年

美深高等養護学校あいべつ校10周年記念式典  【旭川発】美深高等養護学校(濱裕晃校長)あいべつ校の開校10周年記念式典が昨年12月上旬、同校体育館で執り行われた。全校生徒をはじめ、来賓として上川教育局の岸本亮局長や愛別町教委の馬場信明...

(2024-01-11)  全て読む

札工高 課題研究発表会 地域等協働の成果示す 広場改修や河川調査など

札工課題研究発表会  札幌工業高校(太田潤一校長)は19日と21日の2日間、同校で3年生課題研究発表会を開催した。元町交流広場の改修や琴似発寒川における河川調査など、本年度取り組んできた学習の成果を発表。生徒は...

(2023-12-27)  全て読む

建設企業6者に感謝状 羽幌高 校舎横通路整備で

羽幌高校舎横通路砂利敷感謝状贈呈  【留萌発】羽幌高校(村田一平校長)は20日、同校で長寿命化工事を実施している堀松・山高共同企業体(JV)とハチロ・北日本・マツダJV、㈱公電社に感謝状を贈呈した。校舎横通路の整備に対するも...

(2023-12-27)  全て読む

道教大と内田洋行 GIGAセミナー 職場のIT環境考えて 舞鶴市教委・宮前氏ら講話

内田洋行GIGA活用セミナー  道教育大の後藤泰宏副学長は開会に当たり、教育現場におけるICT活用に地域や学校によって差が見られる現状に触れ「日本の教職員による教材研究の素晴らしさを土台に、ICT活用に関して共に考える場...

(2023-12-25)  全て読む

第1次検定に見事合格 2級土木施工管理技術検定 帯広工業高の環境土木科生76人

帯広工業高校・2級土木施工管理技術検定一次合格  【帯広発】帯広工業高校(中島泰彰校長)環境土木科2・3年生76人は、2級土木施工管理技術検定・第1次検定に合格した。2年生の受検は同校初の取組で、全員合格を達成した。  2級土木施工管理...

(2023-12-19)  全て読む

道教大附属釧路義務教育後期9年生 地域振興へ15歳が提案 探究活動の成果を一般公開

釧路をイメージした曲を演奏する清水さん(左)と輪湖さん  【釧路発】道教育大学附属釧路義務教育学校(早勢裕明校長)後期課程9年生71人は11日、3年間継続探究してきた地域学「くしろマスタープラン~15才の提案」を、総合的な学習の時間に一般公開した...

(2023-12-18)  全て読む

緑化活動啓発作品コンクール 恵庭恵明中 佐藤さんが最優秀 田中石狩局長が表彰状伝達

恵明中・緑化作品コン伝達式  恵庭市立恵明中学校(吉本浩志校長)は13日、同校で緑化活動啓発作品コンクールの表彰状伝達式を行った。3年生の佐藤麻莉菜さんが最優秀賞(北海道教育長賞)を受賞。石狩教育局の田中賢一局長が表彰...

(2023-12-18)  全て読む

118年の長い歴史に幕 思い出と経験を力に生きて 紋別小向小 閉校式

紋別市立小向小閉校式  【網走発】紋別市立小向小学校(川合伸幸校長)の閉校式が9日、同校で執り行われた〓写真〓。在校生、教職員、来賓ら約100人が出席。川合校長は、118年間の長きにわたって紡がれてきた同校の歴史...

(2023-12-18)  全て読む

勇建設に感謝状贈呈 恵庭和光小 樹木剪定で 児童や地域住民の安全確保

勇建設感謝状  恵庭市立和光小学校(渡邉琢真校長)は12日、近隣で工事を施工する勇建設(株)(札幌、坂昭弘社長)に感謝状を贈った。地域貢献活動の一環として、同校校地内で行った樹木の剪定作業に対するもの。 ...

(2023-12-18)  全て読む

網走養護 開校50周年記念式典 伝統を未来につなげて 地域の願いに応え 子大切に

網走養護学校開校50周年記念式典  【網走発】網走養護学校(大泉真哉校長)の開校50周年記念式典が8日、同校体育館で執り行われた。全校児童生徒をはじめ、来賓として道教委の大鐘秀峰委員や網走市の水谷洋一市長らが出席。大泉校長は...

(2023-12-13)  全て読む