道教大と内田洋行 GIGAセミナー 職場のIT環境考えて 舞鶴市教委・宮前氏ら講話
(学校 2023-12-25付)

内田洋行GIGA活用セミナー
内田洋行GIGA活用セミナー

 道教育大の後藤泰宏副学長は開会に当たり、教育現場におけるICT活用に地域や学校によって差が見られる現状に触れ「日本の教職員による教材研究の素晴らしさを土台に、ICT活用に関して共に考える場を大切にしたい」と述べた。

 続いて、道教育大・未来の学び協創研究センター主任センター員の佐藤正範氏、京都府舞鶴市教委学校教育課主査の宮前敬太氏、内田洋行ネットワークサポートセンター課長の大塚輝氏が講話した。

 うち宮前氏は、舞鶴市内学校のネットワーク環境に関して、校務系・学習系を全体最適の観点から統合し、フルクラウドおよびゼロトラストで構築していることを紹介した。コミュニケーション方法や活動場所の自由度が高く、効率化を図るためのネットワーク環境の構築には、セキュリティー強度を高める必要があることを示唆。ネットワーク分離とは異なり、セキュリティー機能やアクセス認証によってデータ自体を守るゼロトラストの利点を説いた。

 一方で「セキュリティーに絶対はない」とし「一人ひとりが職場のIT環境を考える必要がある」と、職員の意識が重要となることを強調。業務効率化に加え、組織や働き方のデザインをゼロトラストの先に見据えた環境構築の大切さを呼びかけた。

 講話後、幕別町立忠類小学校の松浦尚人教頭、芽室町教委教育DX推進員の三上智弘氏、士幌町立士幌町中央中学校の加藤心教諭、上士幌町教委ICT推進担当教諭の深川優菜氏、帯広柏葉高校の戸川貴之教諭の5人が、自治体および学校の実践等を発表した。

 中でも、上士幌町教委の深川氏は、端末活用に関する子どもの健康面に焦点を当てて取組等を説明した。1人1台端末導入以前から、端末機器に依存していた子どもの事例を紹介した。

 家庭では端末使用を禁じられ、学校内で学習用端末を過度に使用する姿が見られたため、私的な使用を控えるよう指導する傍ら、タイピングや操作に慣れ親しんでいることを長所と捉え、学習活動での活用に移行させたことを説いた。

 また、町内ではメディア接触時間の削減を図る取組を年3回実施し、家庭内で子どもと端末の距離感を再確認する場面を設けていることを示した。

 帯広柏葉高の戸川教諭は、アプリやソフトの使用方法を特定せず、ICTを活用する利点や目的に意識を向けて実践を重ねる重要性を説いた。

 同校では「生徒に伝わるべき知識が伝われば、方法は問わない」という方針にのっとり、ICT活用を進めていることを説明。実践内容の共有は教職員間にとどまらず、同校特設サイトに掲載し、家庭や地域にも広く普及した。

 「“失敗”は、思ったとおりにならなかっただけであり、実践を止めないことが大切」「無理なく継続し、授業への価値観を変えていく必要がある」と伝えた。

 このあと、発表者5人によるパネルディスカッションを実施した。

(学校 2023-12-25付)

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