苫小牧総経高がコンソーシアム設置 より求められる学校へ 企業も生徒理解深化希望
(学校 2024-01-15付)

苫小牧総合経済高コンソーシアム会議
地域の企業や行政等と共に今後の学校の在り方を探っていく

 【苫小牧発】苫小牧総合経済高校(池田隆校長)は昨年12月中旬、同校で学校連携組織(コンソーシアム)の第1回会議を開催した。これまで以上に地域や地元企業に求められる学校、生徒から選ばれる学校を目指し設立したもの。初回は今後の方向性について協議。中では企業から「情報系、IT系の人材の需要は非常にある」ことが示されたほか「今は逆に企業が生徒に選ばれたい。生徒が企業に何を求めているのかが知りたい」といった声が相次いだ。

 同校卒業生は、苫小牧市および近郊で就職する割合が高く、現在ではほぼ6割に達している。

 一方で、人口減少や少子高齢化、都市部への人口流出等の課題に直面する地域を支えるためには、地域との連携・協働が一層必要と考え、連携組織(コンソーシアム)を設置。地域の代表者と定期的に会議を開き、教育活動の方向性や取組内容について意見を聞き、よりニーズに応え、地域の発展に寄与できる学校を目指すこととした。

 コンソーシアムの設置は胆振管内では鵡川高校、白老東高校、伊達開来高校に次いで4校目で、都市部での設置は珍しいケースという。

 委員は北洋大学、トヨタ自動車北海道㈱、㈱ホテルニュー王子、苫小牧信用金庫、苫小牧市教委、苫小牧市から6人。池田校長と佐々木義人教頭が事務局として、胆振教育局の鈴木肇高校教育指導班主査がオブザーバーとして参加する。

 この日は冒頭、池田校長があいさつに立ち「これまでも社会、産業構造が変わるたびに学習内容を変え、ある程度成果は出してきた」「しかし果たして本当に地域と連携した深みのあるものになっているか。選ばれる学校を目指して実践していきたい」などと述べた。

 続いて現状を説明。「6割の生徒が地元で就職しているが、もっと地元の求めている人材を育成できないか。また、職業校として教育内容が時代に合っているか、本当に地域に求められているかという思いがある」「9年度には胆振東部で約120人の中学生が減少する。本校の3クラス全てがなくなる数で、これは危機的状況」などとし、学校改善に向け忌憚のない意見を求めた。

 このあと質疑応答や意見交換を実施。企業からは「Z世代の考え方が変わってきており、どう寄り添っていくか議論しているところ。納得のいくことを納得いくまでやりたいという感じを受けているが、先生方はどうか」「離職を避けるため、こう向き合うといいといったアドバイスはあるか」「今は会社が生徒に選ばれると思っている。生徒がどんなことを求めているか知りたい」などの質問が相次いだ。

 また「今の世代は感覚が変わってきているが、若くして起業するなど良いところもある。そういうところに目を向け、伸ばして企業とマッチングしていただければ」との要望も上がった。

 苫小牧市からは「中学生に選ばれるには特色がないといけない。資格はたくさん取れるが時代に合っているか。市内にはベトナム、ネパールなど東南アジアからの労働者も多いので、そうした方と接する場面もあると良いのではないか」「今は情報化、ICT化の時代。ゲームクリエイターやプログラマーなどの仕事もある。時代がそういう人材を求めており、そうした方面も学べると男子の入学も増えるのではないか」と提案。

 企業からも「情報系、IT系の人材へのニーズは各企業ともにすごくある」「企業もDXやAIなどを効率的に取り入れていかなければいけないので、そうしたカリキュラムを経験している人の方がいい。そういう力は非常に求められている」などの声が出された。

 池田校長は「生徒の夢や目標などをもっと深掘りし、皆さんに伝えていきたい」などと考えを示した。

 今後は6月に第2回、9月に第3回、7年2月に第4回会議を開いて、協議・意見交換を重ねていく予定。

(学校 2024-01-15付)

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