文科省 校務DX自己点検結果 クラウド活用 学校間で差 欠席連絡デジタル化は58%
(国 2024-01-10付)

表
校務DX化の自己点検結果(クリックすると拡大表示されます)

 文部科学省は校務DX化チェックリスト(学校・教育委員会の自己点検結果)の速報値をまとめた。児童生徒の欠席・遅刻・早退連絡を半分以上デジタル化した学校の割合は58・5%、事務手続きをペーパーレス化している学校設置者は21・6%など取組状況に差がみられた。保護者・外部とのやりとりで押印・署名を必要とする学校は87・2%と大多数を占めた。

 文科省の調査集計システムを活用して今回初めて実施・公表したもの。校務DX化の取組を整理した項目に基づき自己点検の報告結果を集計した。

 調査対象は全国の公立小・中学校2万6364校(回答率90・9%)、学校設置者1690団体(同93・3%)。調査期間は5年9月29日~11月2日。

 学校調査では①教員・保護者間②教員・児童生徒間③教職員間―の取組状況を調査。教職員間の情報共有・連絡のクラウド化や職員会議の資料のペーパーレス化は7割となった一方、便り・配布物の一斉配信や小テスト等におけるCBTの導入率は3割と教職員間と比べて保護者・児童生徒相手の利用で低い傾向がみられた。

 生成AIの校務利用に関しては「ほぼ全教職員が利用」が0・3%、「一部の教職員(半分以上)が活用」が0・9%、「半分未満の教職員が利用」が22・9%、「全くしていない」が76・8%だった。

 各項目の達成状況に応じて学校の点数を集計した結果、平均得点が最も高かった道内の自治体は倶知安町の654・3点で、東川町、大空町と続いた。

 学校設置者を対象にした調査をみると、教育情報セキュリティポリシーの策定率は49・1%、学校への通知・調査のデジタル化は30・6%、事務手続きのペーパーレス化は21・6%など。点数化した結果、道内では鹿追町の460点が最も高く、苫小牧市、登別市・佐呂間町(同数値)の順に高かった。

 結果に関して文科省は、校務DXに関しては改善の余地が大きく、設置者である教育委員会と校長のリーダーシップのもとで学校全体の改善を進める必要があるとし、関係者にクラウドツールの一層の活用を促す。今後3年程度を集中取組期間と位置付けて校務DXを加速化し、資料やオンラインによる学習機会を提供するほか、国費によるアドバイザー派遣を行う。

 FAXの使用や保護者・外部とのやりとりにおいて押印・署名を必要とする学校が多数あることから制度・慣行の見直しも関係者に要請し、7年度末までの原則廃止に向けて関連団体や事業者に働きかけを行う。

 加えて、紙による名簿情報の大量配布が現場の過重な負担になっていることから学校に送付する文書のデジタル化を要請。名簿情報に関しては6年4月の入学事務手続きに向けて手入力による負担を可能な限り軽減するよう求めた。

 このほか、校務・学習系システムをパブリッククラウドに移行し、ロケーションフリーで柔軟な働き方ができるよう、教育委員会における教育情報セキュリティポリシーの策定を促す。

(国 2024-01-10付)

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