インクルーシブな学校運営　文科省　１４地域でモデル事業　特支・小中高連携で共同学習

（国 2024-01-11付）

　文部科学省は６年度から３ヵ年計画で「インクルーシブな学校運営モデル事業」に取り組む。全国１４地域で特別支援学校と小・中・高いずれかを一体的に運営する「学校運営連携校」を指定し、障がいのある児童生徒とない児童生徒による交流・共同学習を発展的に推進。多様な教育的ニーズに柔軟に対応して学びの連続性を高める新たな可能性を模索する。

　インクルーシブ教育の推進を巡っては、国連の障害者権利委員会が４年９月、特別支援教育を障がい児を分ける分離教育と捉え、わが国に対して個々の教育上の要請を満たす合理的配慮の保障を求める勧告を行った経緯がある。

　これに対し文科省は、インクルーシブ教育システム理念の実現に向けて多様な学びの場を保障する現行の特別支援教育を継続する方針を示しており、特別支援学校が有する専門的な知見・施設などのリソースを生かして各自治体の判断で特別支援学校と小・中・高のいずれかを一体的に運営する学校運営モデルの創設に取り組む。

　事業期間は３年間。事業の受託先となる都道府県・政令指定都市・市町村教委においてモデル校となる学校運営連携校を指定。障がいのある児童生徒とない児童生徒が交流・共同学習を発展的に進め、共に教育を受ける状況と柔軟な教育課程・指導体制の実現を目指す。

　事業の推進に当たり関係機関で構成する連携協議会を設立するほか、２校間の教育課程の把握や調整を担う「カリキュラム・マネージャー」を配置する予定。対象となる特別支援学校の障がい種や連携する学校間の距離などの要件は設けないもようで、共同学習に重点を置いた新しい授業の在り方を検討する。

　６年度当初予算案において事業費７９００万円を計上。予算の成立を経て、早ければ２月上旬から事業の公募を開始する見通し。

(国 2024-01-11付)