令和５年　子の自殺者数　２年連続で５００人超　自殺予防徹底を　文科省

（国 2024-02-29付）

　令和５年の児童生徒の自殺者数は５０７人となり、２年連続で５００人を上回ったことが警察庁・厚生労働省の統計で分かった。文部科学省は２７日付で自殺予防の取組の徹底を求める通知を全国の教育委員会に送付。１人１台端末を活用した「心の健康観察」導入に向けた積極的な検討を呼びかけた。

　児童生徒の自殺者数は令和元年の３９９人から増加傾向が続き、４年は５１４人と過去最多を記録。５年は中高生女子の自殺者数が２４人増の２４０人と増加し、全体の４７・３％を占めた。月別でみると４月と１０月が大きく増加しており、過去５年間で最も多い数字となった。

　文科省は６年度の「心の健康観察」導入に向け、健康観察や相談機能を有する計２０の無償・有償システムの詳細を整理して周知。長期休業明け前後における学校内外の見守り活動やネットパトロールの強化とともに、進級・進学で支援が途切れることのないよう、いじめを受けた・不登校となった児童生徒の丁寧な引き継ぎを呼びかけた。

　同日の記者会見で盛山正仁文科大臣は、過日、東京都世田谷区教委において端末の検索履歴の把握が「検閲」に当たるとしたことに関して「教育委員会の主体的な検討の結果と受け止めている」と表明。

　一方、「自殺」「リストカット」などの言葉が端末に入力された場合、管理職を通してアラートが出る仕組みを構築して生徒指導上の課題の早期発見・早期対応につなげている例もあるとし「検索履歴を含めて端末のログやデータを活用するには、子どもの実態を踏まえつつ保護者等の十分な理解を得ながら取組を進めることが肝要。様々なデータを活用してきめ細かな指導や支援に生かすことが重要であり、各教育委員会が主体的に判断できるよう様々な取組や工夫の事例を収集・発信していきたい」と述べた。

(国 2024-02-29付)